クマの独り言III

この半年、私の副業側が忙しくてトコさんからの写真取材依頼を果すだけで精一杯でした。結果として「クマの独り言」もすっかりほったらかし状態でした。で、前回約束していた「今一番関心を持っているデジカメの新機種」ですが、結論から言いましょう。現時点で主にフォグレスの取材に使っている機種は、以前のオリンパスのCamedia C-3030からミノルタのDimage5に切り替わっています。

購入当時(2001年11月)には、次の3機種を検討していました。
Olympus E-10 (上位機種E-20もある) www.olympus.co.jp
Fuji Finepix 6900Z www.finepix.com
Minolta Dimage7 www.dimage.minolta.co.jp

この3機種の共通点は、全て一眼レフタイプであることです。しかし、「プロシューマー」向という位置付けなのでレンズ交換式ではありません。勿論前回お話した通りマニュアル露出設定ができる機種を選びました。

現在市場には数多くのデジカメが出回っています。同格範囲の中でも、画像サイズや画質、機能などでは私が候補に上げている3機種を上回るものもあります(例:Nikon Coolpix 995, 5000, Canon Powershot G2等)。しかし、ここでは前回触れた現代美術取材の現状に適していて、更に下記に暴言させて頂いている私の偏った理想概念に近いカメラを探すことが目的なので、その他の機種は意図的に除外しています。更に、未だにデジカメの比較によく使われる画像サイズやピクセル・レベルでのノイズやアーティファクト等の比較は、3.3メガピクセルを超えている画像をウエブ上で使う際に、またはPhotoshopで画像処理を行った後A4用紙以下でプリントする際に意味がないのでこの記事では無視させて頂きます。

E-10はオリンパスのフラッグシップ機種として発表された機種でもあり、3機種の中では一番高級感があります。ファインダーは光学式で、最も明るくて見やすい感じでした(視野率95%)。更に、アイピースシャッター等細かい配慮がされており、機械的な完成度も高く老舗のカメラ・メーカーとして相応しい出来です。しかし、その反面サイズも一番大きく、電池抜きでも1キロを超えます。機械フェチの私としては魅力をそそられましたが、毎日パソコンを担いでいる万年肩こり症のクマにはちょっと無理がありました。

Finepix 6900Zは、3機種の中では一番小型・軽量(410g、電池含まず)です。富士フィルムはフィルム市場でも無敵であり、デジタル画像の発色も筋の通ったポリシーを感じさせる独自開発のスーパーCCDハニカムというCCD技術を使っています。FujiFilmのポジフィルムにProviaのやや暖かい発色とVelviaのコントラストとシャープネスって言った感じでしょうか。一眼レフ式ではあるのですが、ファインダーにも液晶表示(11万画素、視野率 約90%)を利用しているのが特徴です。個人的な意見ですが、私としては本当の意味でのデジカメはファインダー表示は全て液晶で有るべきだと考えています。

そもそも一眼レフというカメラの概念は、フィルムの表面に写る画像により近いものをTTL(through the taking lens) 方式でファインダー内へ見せることです。しかし、銀塩時代にはフィルムの表面に写された画像は、現像/プリントするまで眼で見ることができませんでした。従って、鏡やプリズムを使うことにより光学的な実像をファインダーの中へ映していました。デジタルカメラになり感光耐はフィルムからCCDへと変わりました。と同時に、大多数のデジカメではCCDが捕らえている画像を後部にある液晶ディスプレイへと映すようになりました。しかし撮影の際には、この液晶ディスプレイではなくファインダーを使うのが未だに一般的だと思います。勿論スナップ系の写真では液晶ディスプレイのみでも問題はありませんが、じっくりと構図を決める時はやっぱりファインダーが必要です。

昔、昔、大昔の話ですが、ライカ等のカメラで交換レンズ用のファインダーと距離測定用のレンジファインダーとが分かれていたことがあります。距離測定にはレンジファインダーを使い、構図を決める時はファインダーを使うって感じです。実は最近日本でケンコーがドイツのカメラ・ブランドVoigtlander(フォクトレンダー)を復活させ、「新」Bessaシリーズを発売しています。シリーズの中のBessaTでは、レンジファインダーは本体に搭載されているものの、レンズ用には各レンズ別の交換式ファインダーが用意されています。これはどちらかっていうと古き良き時代へのオマージュみたいなもので、それなりにいいと思います。

私には多くのデジカメが、この遠い昔の技術的制限から出来てしまったスタイルを不思議にも引き継いでいるような感じがします。この違和感はプロ用デジカメでも依然と受け継がれていて、ごくわずかな「プロシューマー」という曖昧な位置付けのモデルにしか私の理想概念に近づく機種がないのが現状です。

最後の機種Dimage7でもファインダーは勿論液晶を使っています。表示されるピクセル数は22万画素相当でFinepix 6900Zの11万画素を大幅に上回ります。更に視野率が100%であり、ケミカメ(chemical camera 銀塩カメラ)式の一眼レフでは光学上不可能だった完全なるTTLを果しています。今や一般的になっているホワイトバランスのオート/プリセット/手動調節の他、彩度、コントラスト等の調節も素早くでき、ミノルタ社の長所ともいえる単体露出計/カラーメーター部門からくる「色」へのこだわりを感じることができます。発色とコントラストはディフォルト値の場合どちらかというとAstiaのようで、他の富士フィルムのポジフィルムの発色に比べるとやや控えめです。搭載されている28-200mm(35mm相当) GTレンズもワイド側での収差修正が行き届いています。

確かに外部筐体やダイヤル/スイッチ等の外見/品質は一番貧弱に感じられますが、私の理想に限りなく近いことは確かです。しかしその一方で、不具合も色々とあり決して理想的なデジカメではありません。最大の問題点は、保存される画像ファイルの色空間(colour space)が一般的に使われているsRGB基準ではなく独自の値を利用していることです。ふつう異なる色空間のファイル変換にはICCプロファイルを使い、対応している画像処理プログラム(例:Photoshop5.5以上等)で読み込むことで解決出来ますが用意されていません。そもそもホワイトバランス、彩度、コントラスト等の調節を行うデジカメからの画像に対しては、単純なICC変換では賄えない気もします。確かに画像ファイルの色空間は(別売りの)Dimage Image Utility(DIVU)を使えば修正はできますが、Photoshopへ直接読み込めないのは不便です。せいぜいプラグイン形式で提供してくれれば助かるのですが・・・。 更に、DIVUで色空間の変換をするとガンマ補正も自動的に行われてしまいます。カメラ側で導入されたかなり専門的な色へのこだわりと、ソフト側で見られる一般ユーザへの配慮から来る全自動処理との間に目的のギャップを感じるのは私だけでしょうか。

私はスナップやアクション撮影を専門にやっている訳ではないので移動可能なスポット・フォーカスができ特には気になりませんが、AF(auto focus)がぐずぐずしている事は指摘するべきでしょう。その他の問題としては電池の消耗が異常に激しいことでしょう。取材にはニッケル水素電池を3セット持っていきます。旅行だったら100-240volt対応の充電機を忘れないことを祈っています。しかし、充電電池は使用可能時間が環境や充電歴(メモリ効果等)によって不安定なので軽量/長持ちなリチウム電池をカメラバッグへ忍ばせておくべきだともアドバイスを受けています。

そうです。私が使っている機種はDimage7では無くDimage5です。唯一の違いはCCDの解像度とサイズ、結果としてレンズの焦点距離です。
詳しくは:

Dimage7
CCD: 2/3型、画素数524万、
有効画素数: 495万 (2568x1928)
レンズの焦点距離:28-200mm (35mm相当)

Dimage5
CCD: 1/1.8型、画素数334万、
有効画素数: 317万 (2056x1544)
レンズの焦点距離:35-250mm (35mm相当)

最終的にDimage5を買った理由は二つあります。値段・・・と、このクマが里帰り(東京都新宿区ディカウントショップ街)していた時、Dimage5の発売日の1週間前でした。カウンターの後ろに立っている店員さんの足元をみると、何とDimage5の箱が一つ置いてあるじゃないですか!店頭にはDimage7しか出ていません。他に誰も持っていない物が欲しくなりました。ねだりました。店長さんも呼びつけました。明日アフガニスタンへ取材に行く話もしました。で、何とか手に入れてロンドンへ戻ってきました。

© kuma、2002年3月

 


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