3月14日

Exit Through the Gift Shop

 

バンクシーの映画「Exit Through the Gift Shop」を観てきました。

今年のサンダンス、ベルリン両国際映画祭で上映されたこの作品は、謎につつまれた素性とゲリラアートでセレブに上り詰めたあのバンクシーがメガホンを取り、出演もしているという今話題の映画。

「バンクシーが素性を明かす」との前評判にそそられて観に行きましたが、実際のところスクリーンの中のバンクシーはフードを目深にかぶり、変声機で声を変えた正体不明の人物。また、映画の主役も、バンクシーではなくてティエリー・グエッタ(Thierry Guetta)という別のストリート・アーティスト。

よってやや期待はずれではありましたが、意外な点で面白かったのが、この映画がバブルに煽られたここ数年のアート業界の愚かさを描いた暴露映画になっていること。また、バンクシーという謎の人物と同じく、どこまでが本当でウソだかよくわからない曖昧な出来になっていること。

ドキュメンタリー形式をとる本作は、「Mr Brainwash」ことグエッタが洋品店のオヤジからLAを代表するトップアーティストへと成功を極めていく様を、バンクシーとグエッタそれぞれが撮ったとおぼしき映像をミックスして描いたもの。

自称映像作家のグエッタがストリートアートに出会い、彼らの活動を夜な夜なビデオに収めるうちに、謎のゲリラアーティスト、バンクシーの虜になる。ひょんなことから念願かなってバンクシーのドキュメンタリー映画を撮れることになるが、撮った作品は駄作中の駄作。

グエッタの才能に見切りをつけたバンクシーは彼にストリートアーティストになることを勧め、グエッタは道を改めるが、時は折りしもアートバブルの真っ最中。 金を持て余した投資家が「優良株」たるアーティストの作品を買いまくり、その波に乗ってストリート・アーティストが道から画廊へと活動の場を移していった時代。

バンクシーの成功を目の当たりにして我もと決意したグエッタは、その度胸のよさを武器にアーティストに転身する。大勢のアシスタントを雇い、誰かのコピーのような作品を大量につくり、盛大な個展を開き、メディアを操り時の人となり、ウォーホルのようなトップアーティストへとのし上っていく。

というのが、そのストーリー。そんな馬鹿げた話があるかと一笑に付したくなる展開なのですが、これがフィクションではなくて、成功の一部始終を記録したドキュメンタリー映像として提示されているために笑いたくともなかなか笑えない。ネットで調べてみたところグエッタはどうも実在の人物らしく、彼のサクセスストーリーも実話のよう。

アート業界とはこんなに愚かだったのかと痛感せずにはいられない映画。また、バンクシーの姿こそ暴かれていないものの、グエッタの向こうに彼自身を感じ取ることのできる自伝的な作品。そしてさらに、ストリート・アートがファイン・アートに吸収されていった時代を記録したドキュメンタリー映像でもある。このように何レイヤーにも渡って面白い映画ですが、一番の魅力は彼のグラフィティと同じあの痛快なトーンでしょう。「さすがバンクシー!」と拍手喝采したくなります。詳しくはこちらで。(トコ)

 

3月8日

レビュー掲載

 

ドイツ・ボーズ写真賞のレビューを載せました。

 

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Banksy: Exit Through the Gift Shop
(3.14)

レビュー掲載
*ドイツ・ボーズ写真賞
(3.8)