■ The Empire Strikes Back: Indian Art Today @ Saatchi Gallery
「帝国の逆襲」と、人気SF映画のタイトルをひっさげて始まったこちらの展示。長いこと英国の支配下にあったインドが現代アートを武器に反旗を翻したというイメージが浮かぶが、なんだか興味深いのが、この展示がスペースオペラに負けぬくらいポップで派手なこと。たまに出てくるガンジーやネルーなどの重い言葉をスパイスに、何百の鍋釜でつくったSubodh
Guptaの「UFO」や、何千もの骨型アルファベットで書いたJitish Kallatの「壁文字」、空気マットを積み重ねたTallur
L. N.の「黒こげベッド」など、巨大で、陽気で、見せ場を心得た作品がごろごろ並ぶ。 作家陣の聞きなれた名前からすると、これが今のインドのトップアートであるのは間違いなさそうだが、不思議なのが、作品がことごとく欧米的なこと。サーチの好みなのか、グローバリゼーションやアートバブルの弊害なのかわからぬが、スーツケースに押し込んだラクダの立体や本を抱えた少年の巨大ブロンズ像など、あちこちにデミアン・ハーストやマオリツィオ・カテランなど欧米の作家の影響が伺える。インドの現代アートは欧米でヒットした後に自国で認められるようになった逆輸入型だそうだが、それがよくわかる展示。個人的には道の喧騒がじゃんじゃか聞こえてきた去年のサーペンタインのインド展の方がよかったが、これもインドの現代アートの一面なのだろう。あまり逆襲になってないところが少し寂しいが。5月7日まで。
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Empire Strikes Back: Indian Art Today展の展示風景 上)Huma Mulji, Arabian Delight,
2008 中)Jitish Kallat, Public Notice 2, 2007 下)Subodh
Gupta, Spill, 2007 Photo: Toyoko Ito |