2月28日

263億円相当のアートが御国のものに!

 
  アンディ・ウォーホル、デミアン・ハーストら、トップアーティストによる時価263億円(1250万ボンド)相当分の現代美術品を、国が約59億円(265万ポンド)で購入。 無料での寄贈ではないが約8割引きという破格セール。

かつて英国のディーラー王と呼ばれたアンソニー・ドフェイ(Anthony d'Offay)氏所蔵の美術品725点が国のものとなり、テート・ギャラリースコットランド国立美術館が共同でその管理を行うことになる。

2001年までロンドン中心部デリング・ストリートに画廊を構えていたドフェイ氏が約30年にわたり蒐集し、今回破格で譲渡された作品は、戦後最も重要とされる近現代の巨匠32名の作品。

「アート・ルーム」というコンセプトのもと、作家ごとに展示室が設けられ、2009年春/夏期から両美術館にて展示が始まる予定。また、同美術館の依頼により最初の5年間をドフェイ氏が無償でキュレータを務める。

ドフェイ氏に払われた作品の購入費用の出所は、英国とスコットランド政府がそれぞれ21.1億円(100万ポンド)ずつを負担。国民文化財記念基金(NationalHeritage Memorial Fund)と芸術基金(The Art Fund)からもそれぞれ14.7億円(70万ポンド)と2.1億円(10万ポンド)を援助している。

32名の顔ぶれは以下の通り(一部)。ダイアン・アーバス、ヨーゼフ・ボイス、イアン・ハミルトン・フィンレイ、ギルバート&ジョージ、デミアン・ハースト、ジェニー・ホルツァー、アンゼルム・キーファー、ジェフ・クーンズ、ソル・ルウィット、リチャード・ロング、ロン・ミュエク、ブルース・ナウマン、ゲルハルト・リヒター、エド・ルシェ、ビル・ヴィオラ、アンディ・ウォーホル、ローレンス・ウェイナーなど。 詳しくはこちらで。(トコ)

 

2月28日

チャップマンがサーチからテートにお引越し?

 
 2004年のサーチ・ギャラリーでのジェイク&ディノス・チャップマン展の話題作、アフリカの木彫り彫刻とマクドナルドのロゴをユーモラスに融合したインスタレーション「チャップマン・ファミリー・コレクション」をテートが購入した。

購入額はまだ公表されてないが、業界紙『アート・ニュースペーパー』の報道によると、テート過去最高金額の取引のひとつになるとのこと。ちなみに作家のスタジオを訪れて直接買ったといわれるチャールズ・サーチの当時の購入金額は約2億1千万円(10万ポンド)。

今回の交渉役を務めたのは作家の契約ギャラリーであるホワイト・キューブ。テートがサーチ側から直接買い受けたのか、それともホワイト・キューブが一旦買い取りそれをテートが再購入したのか、そこら辺のことは明らかにされていない。

ここ数年、デミアン・ハーストの「鮫」をはじめヤング・ブリティッシュ・アーティストの作品を派手に手放しているサーチ・コレクション。「鮫」のようにアメリカに行かずして、テートに留まることになったのは嬉しいことだが、なんとなく時代の動きを感じる。

ちなみに、そのサーチ・コレクションでは、この春の新ギャラリー館開館に向けて準備が着々と進行中。残念ながら開館日はまだ発表されていないが、オークションハウスのフィリップス(Phillips de Pury & Company)と手を組み、テートに対抗して入場料を無料にすることを発表している。 詳しくはこちらで。(トコ)

 

2月3日

話題のコンペ2つ:丸コゲの車から南の天使まで

 
 

■ 第四の台座、新レース?
トーマス・シュッテのガラスの板が現在飾られているトラファルガー広場の「第四の台座」の次の展示に向け、早くもコンペが開催。
アニッシュ・カプーアトレイシー・エミンなど、候補作家6名の作品案を紹介する展示がナショナル・ギャラリーで開催中だ。そのなかから気になった作品を2点ばかりご紹介したい。

 
Jeremy Deller,
The
Spoils of War (Memorial For An Unknown Civilian)
第四の台座プロジェクト作品案。

まずは、観光客のみならず広場の鳩もびっくり。2004年のターナー賞受賞作家ジェレミー・デラー(Jeremy Deller)による丸コゲの車。こちらの作品は、単にそこら辺の事故車ではなくて、武装勢力による抗争が未だにつづくイラクの産物。イギリスも加勢したイラク戦争の果てにボロボロにされた一般人の車を台座に据えようというもの。

ロンドンにいると、この国をイラク戦争へと導いたブレア元首相への批判を今でもしょっちゅう耳にするが、この模型を見ていると、トラファルガーの海戦勝利を祝ってつくられた広場をイラク戦争の反省の場に、さらには戦争という行為を考える場にしようという作家の想いが伝わってくる。反戦メモリアルの印象が強すぎるのでこれが選ばれる確立は低そうだが、なんとも大胆でストレートな作品。

気になるもうひとつの作品が、アントニー・ゴームリー(Antony Gormley)の網で周囲をおおった空の台座になる。ゲイツヘッドに立つ「エンジェル・オブ・ザ・ノース(Angel of the North)」をはじめ、巨大物の制作を得意とするゴームリーがここまでミニマルな戦略に出るとは意外だが、台座に彫刻を置く代わりに人に立ってもらおうというのが彼のアイデア。

 
Antony Gormley
One and Other
第四の台座プロジェクト作品案。

ひとりあたりの持ち時間は一時間。これを24時間体制で一年間行った場合、なんと8,760人が台座に立って、しばしアートになる気分を味わえるという。空っぽの台座は少々寂しい気もするが、安全のために張られた網が台座のフォルムと絶妙に合っていて美しいし、冴えない作品を置くくらいなら返って安上がりで良いかもしれない。 それに何よりも、パブリック(大衆)がアートになるというコンセプト自体が、街を代表するパブリックアート・プロジェクトであるこの企画に合っているような気がする。詳しくはこちらで。

■ エンジェル・オブ・ザ・サウス?
こちらはロンドンの少し下、イングランド南東部にあるケント州の村おこしコンペの話で、英国最大となるパブリックアート制作の候補者に、今回のターナー賞受賞者であるマーク・ウォリンジャーをはじめとする美術家5名の名前が発表された。

この国最大のパブリックアートと言えば、上でも触れたゴームリーの「エンジェル・オブ・ザ・ノース」がまず浮かぶが、2ミリオンポンドが投入されるこちらの‘サウス’の企画はその約二倍。トラファルガー広場のネルソン提督碑に匹敵する高さ50メートル級の作品が設置される予定。

設置される場所は、ヨーロッパ最大のインドア・ショッピングセンター「ブルーウォーター」で有名なケント州のエブスフリート・バレー(Ebbsfleet Valley)。昨年11月にヨーロスターの始発駅であるエブスフリート国際駅が開通したばかりということもあり、パリやブリュッセルから英国入りする人々に向けて国のイメージを演出する新たなランドマークになるということのよう。

エブスフリート・ランドマークの制作候補者は、先のウォリンジャーの他、レイチェル・ホワイトリードリチャード・ディーコンクリストファー・ルブランダニエル・ビュランの5名。上から3名はターナー賞受賞者、さらにそのうちの2名は「第四の台座」プロジェクトの経験者。最後のビュランのみフランス人になる。詳しくはこちらで。(以上、トコ)

 

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263億円相当のアートが御国のものに!
(2.28)

チャップマンがサーチからテートにお引越し?
(2.28)

話題のコンペ2つ:丸コゲの車から南の天使まで
*第四の台座、新レース?
*■ エンジェル・オブ・ザ・サウス?
(2.3)