9月28日

ナン・ゴールディン 児童ポルノ疑惑!?
 
 

今年のハッセルブラッド国際写真賞を受賞したナン・ゴールディンの作品が、児童ポルノ法に反する疑いがあるとして警察に押収されたというニュースが今月25日、英国の新聞で報じられた。

それから二日たった今日、ミュージシャンのエルトン・ジョンがその作品の持ち主であることを表明。自らのウェブサイトで作品を擁護する声明を発表するなど、美術表現の自由をめぐり大きな波紋が広がっている。

問題の写真は、147枚で構成されたインスタレーション『Thanksgiving』のなかの一枚にあたる『Klara and Edda belly-dancing』。台所でふざけあう幼女二人を撮ったもので、一人は下着をつけているが、その足元に寝そべるもう一人は裸で足を開脚した状態で撮られたものになる。

この作品はゴールディンの他の作品と一緒に、ゲイツヘッドの現代美術館、ボルティック(BALTIC)で展示される予定だったが、そのオープニングの直後、不安を感じたマネジメントのひとりがアドバイスを受けるために警察に連絡。今回の調査へと発展した。

ナン・ゴールディンの得意領域といえば、セックス、ドラッグ、バイオレンスに溺れる友人たちを撮ったNYのアンダーグラウンドシーンの写真になる。ヌード写真も多く、その赤裸々な描写はかなり挑発的といえるが、ヒューストン、ロンドン、マドリッド、NY…など世界各地で発表されてきたこの写真が展示取り下げになったのは今回が始めてのこと。

筆者自身この作品を含む『Thanksgiving』をサーチ・ギャラリーの「I AM A CAMERA」展と、ホワイトチャペルの「Devil's Playground」展で見ているだけに今回の展開には複雑なものを感じるが、困ったことにこの写真を見た記憶が残ってない。

147枚のインスタレーション全体から、喜怒哀楽が凝縮した激しい人生ドラマという印象を受けたのは覚えているが、この写真についてはさっぱり。単に見落としてしまったのかもしれないし、児童ポルノという目で見なかったから目に留まらなかったのかもしれないし、もし留まったとしても、現代アートは挑発的で当たり前だから気にならなかったのかもしれない。

エルトン・ジョン効果で報道が激化し、重箱の隅をつつくようにBBCのレポーターが例の写真だけを持って街角インタビューをするなどまるで魔女狩りのような展開ぶりだが、「股」だけに関心を注ぐその行為のほうがはるかに卑しいように感じるのは私だけでしょうか。(トコ)

BBCの記事
Times Onlineの記事
エルトン・ジョンのサイト
BALTICのサイト

 

9月27日

今週の展覧会ハイライト
 
 

フリーズ・アートフェア開催まで、あと二週間。その準備段階に突入したとでもいうように、先週のロンドンは財団系ギャラリー「176」の開設や、待望のマシュー・バーニー展の開幕など、盛大な展覧会のオープニングが相次いだ。その中から注目の展示を幾つかご紹介したい。

An Archaeology @ 176
まずは、ロンドン北西部チョーク・ファームに今月20日に開館した財団系ギャラリー、176の話題から。

プリンス・オブ・ウェールズ通り176番に建つ19世紀の教会がギャラリーへと生まれ変わったこちらは、英国を代表するアートコレクターであり、現代美術品1000点余りを有するザブルドウィック夫妻のコレクションを見せる館。

ギリシャ神殿風の重厚な柱をくぐって館内に入ると、数年前まで演劇スクールとして使われていたその名残か、二階席が一階ロビーを見下ろす劇場のような造り。その左右と奥に小部屋が迷路のように続き、伝統建築特有の古めかしい建物の特徴がこれに加わって、二年前までカウンティー・ホールにあったサーチ・ギャラリーをどことなく思わせる。

作家約38名(組)からなるオープニング展は、この歴史を感じさせる建物に合った「An Archaeology(考古学)」展。サラ・ルーカスティム・ノーブル&スー・ウェブスターヴァネッサ・ビークロフトベーリンデ・デ・ブリュッケアなど豪華な顔ぶれの作品が、館の古めかしさに寄り添うようにしっとりと並ぶ。

 


176のオープニングの様子と展示風景
Photo: Toyoko Ito

上)二階から見たホールの様子

中)Eve Sussman,"The Rape of the Sabine Women"の
展示風景

下)Susan Collis, White Lies 2006の展示風景


入り口を入るとまず、絵葉書ラックの形式をとるマティルデ・テ・ヘイネ(Mathilde ter Heijne)の立体「Woman to go」が、美術館の売店のごとく来場者を迎える。カードの表は世界の様々な国の女性を撮ったモノクロ写真、100年も前の人物とかみな古い写真ばかり。裏にはその人生をつづった解説が書かれているが、その内容は実はデタラメという一捻りのある作品になっている(カードはお持ち帰り可能)。

また、その奥の舞台には、スーザン・コリス(Susan Collis)の三脚やほうきが、いかにも現在作業中といわんばかりに放置。そのアートらしからぬ光景に思わず笑みがもれてしまう。さらに左にはリビングルーム風の部屋にキャンディス・ブレイツ(Candice Breiz)のテレビ映像、右は民族博物館調の部屋にマシュー・モナハン(Matthew Monihan)のスカルプチャー、二階はかつての客席が彫刻の台座に様変わりと、いずれも作品と展示室が抜群にいい相性を見せている。

とまあ、こんな具合だが、数ある展示物の中でももっとも見ごたえがあったのが、奥の映写室で見せているイヴ・サスマン(Eve Sussman)の映像「The Rape of the Sabine Women(サビニの女たちの略奪)」。ギリシャのペルガモン博物館などで撮られたこの大作は、ニコラ・プッサンの絵画などで知られる古典的主題を今風にアレンジした現代劇。芸術を愛するエリートビジネスマンや有閑マダムが、金と美の象徴のように優雅に現れては、肉欲に駆られて恋愛プレイやレイプ劇を展開する。特に圧巻だったのが、コロセウムで撮られた最後の集団レイプのシーンで、バロック絵画が蘇ったようなデカダンな美に満ちている。12月16日まで (トコ)

 

176の展示風景
Photo: Toyoko Ito

上)Matthew Monihanの展示風景
中)Pae White, Chandelier (yellow), 2007の展示風景

Matthew Barney @ Serpentine Gallery
待望のマシュー・バーニー(Matthew Barney)の展覧会が今月20日からサーペンタイン・ギャラリーで始まった。

展示は「拘束のドローイング」シリーズ1から16までの中から選ばれたパフォーマンス映像、ドローイング、スカルプチャーで構成。2004年に金沢21世紀美術館で初公開されたビョークとの共演作「拘束のドローイング9」もノッティング・ヒルのGate Picturehouse で28日から公開される。

展示のハイライトは、彼の定番アイテムであるワセリンを大量に使ったグロテスクかつ大スケールなスカルプチャー群。鯨の嘔吐物や排泄物をイメージしたという「Ambergris」(2005)は、ワセリンに加えて干し海老をふんだんに使った視覚と嗅覚に迫る作品。二十年に一度社(やしろ)を建替えるという神道の神宮式年遷宮に発想を得た「Holographic Entry Point(2005)」は、神社の屋根の新旧の状態をダイナミックに表した立体になる。

また、今回の新作である「拘束のドローイング16」の制作舞台となった中央の展示室には、それに使われた道具がそのままインスタレーションとして展示されている。ハーネスのついたポールが床から天井まで伸び、部屋の四つ角にはクライミング用の足かせが設置。先々週の日曜日に非公開のもと行われたというパフォーマンスでは、これらの装置と装備を使って、バーニーが天井の四つ角にドローイングを制作。消化器系体内図などを描いたドローイングは特にどうってことのないものだが、壁によじ登って描いているバーニーの姿を想像しながら見るとなかなか楽しめる。11月11日まで (トコ)

Serpentine Pavilion 
マシュー・バーニー展の会場のすぐ横では、毎年恒例のサーペンタイン・パビリオンが公開中だ。今年の設計担当者はテート・モダンの「Weather Project」でお馴染みのアーティストのオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)とノルウェーの建築家シェティル・トールセン(Kjetil Thorsen)の二人。

モダン彫刻のような形状を見せる建物は、円形ホールの周りを通路が走る劇場のような構成。週末ごとにトークの会場へと様変わりするホールは、階段状になった席がぐるりを囲むコミュナルな空間。白いロープが日よけの役目をする通路は、ケンジントンガーデンを一望できるミニ展望台のような眺めのよさ。ギャラリーめぐりの一休みにもってこいの寛ぎの空間だ。 11月5日まで (トコ)

 

Serpentine Pavilion, 2007
概観と室内の風景
Photo: Toyoko Ito

Stephen Gill 新作写真集
「PhotoGRAPHICA」の7号で紹介したスティーヴン・ギル(Stephen Gill)の新作写真集が今月19日、ウェストエンドのフォトグラファーズ・ギャラリーで開催された。かつての闇市であり、現在はオリンピックに向けて工事が進むロンドン東部にあるハックニー・ウィックを舞台とした「Hackney Flowers」の他、「Archaeology in Reverse」と「Anonymous Origami」の三冊が公開された。

三冊中もっとも目を引いたのが、世界各国のトイレット・ペーバーをモノクロで撮影した「Anonymous Origami」。オイルショック以来ひのき舞台に立つことのなかったトイレット・ペーパーが、ダイヤモンドに匹敵するような威厳ある姿で撮られていて何ともユニーク。これらの写真はみなギルが滞在してたホテルで撮影されたものになるが、本人いわく、第一号は日本のホテルで撮った「二重ロール」。先っちょが三角に折られていたのが気になり撮り始めたという。ちなみにこの写真集にはトイレットペーパーに通じる半紙のような薄い紙が使われている。しかも再生紙という完璧さだ。詳しくはギルのサイトで。(トコ)

さわひらき @ Chisenhale 
この秋は日本人作家の活躍も目立つ。そのひとりがチセンヘール・ギャラリーで5日から始まったさわひらきさんの個展「HAKO」。評価の辛いことで有名なあの『TimeOut』誌のレビューで五つ星がつくなど早くも話題になっている。

 
Hiraki Sawa, Hako, 2007 展示風景
Photo: Toyoko Ito

ロンドンでの生活も早十年というさわさんの作品といえば、洗面所のシンクから薄汚れた窓まで、自分のフラットの中の環境や物をモチーフにした自給自足型、あるいは宅録的アプローチのアニメーション映像。サイズも小型モニターで見るような小さなものが多かったが、今回の展示ではそれが豹変。6枚だての巨大スクリーンに鈴の音のような音楽がつき、原子力発電所や神社がモチーフとして登場するなど新たな展開を見せている。

北陸あたりの日本の景色が流れる映像は、どことなく四谷怪談を髣髴させるような怪しい空気に包まれた実写とアニメーションの混合映像。中央のスクリーンに映る日本の母屋の物悲しいアニメーション映像を機軸に、まるでそこに住み着いた怨霊の思い出の場所をたどるかのように、山道、波止場、海岸といった風景がサイコティックなトーンを帯びて各画面に流れている。

今回の作品の出発点となったのが、心理療法のひとつである箱庭療法。イギリスの小児科医ローエンフェルトが1920年代に発表したこの治療法は、セラピストが患者に箱と石などの小物を与え、患者にその小物を使って箱の中に庭を作ってもらい、その結果を診断するという一種の芸術療法になる。

この療法にタブらせてさわさんの作品を見ると、スクリーンが箱で、そこに映る映像が小物、それをアレンジした作家が患者で、それを見る私たち鑑賞者がセラピストということになる。上で怨霊などと書いてしまったが、これは芸術療法にからめて謎解きを仕掛けた作家自身の表現追及への旅だったのかもしれない。が、この推測はあくまでも私が下した診断に過ぎない。みなさんもぜひ、チセンヘール・ギャラリーにて自分の診断をお下しあれ。10月14日まで (トコ)

曽根裕 @ Parasol Unit 
オールドストリートのパラソル・ユニット財団では、2003年のヴェネツイア・ビエンナーレで日本館代表を務めた曽根裕さんの個展が開催中だ。98年以降約10年に渡り制作したスカルプチャーや絵画など40点あまりが展示され、ミニ回顧展と呼ぶに相応しい充実ぶりを見せている。

 
Yutaka Sone
It Seems Like Snow Leopard Island, 2002-2006 展示風景
Photo: Toyoko Ito

展示のハイライトは、花壇サイズの室内アイランド『It Seems Like Snow Leopard Island, 2002-2006』。模型と呼ぶにはデカすぎるこの作品、ギャラリーに巨大な島という組み合わせが何とも異様なのだが、そこは頭をガリバーモードにしばし切り替えて、巨人用の盆栽と思えば受け入れられないこともない。なにせ土や草や木はみな本物だし、川の水までもがチロチロと音を立てて流れるなど、実はなかなか風流な大盆栽だったりもする。(BGMには「ひょっこりひょうたん島」を捧げたいところです)

会場を案内してくれたギャラリーのスタッフの高村さんの話によると、この作品はヴェネツイアで見せた作品の進化版になるとか。世界各地で展示をする度に少しずつ肉付けがなされ、最終的に今のような姿になったという。ちなみに今回手が加えられたのが島を囲む海の部分で、これまで木目調だったものに色が付けられた。あと草木類も現地調達だとか。

この他にも、3トン級の大理石の表面にサンモリッツの山岳風景を微細に彫った立体や(その細かさがスゴい!)、雪印乳業のロゴじゃないが雪の結晶の形をクリスタルに彫った彫刻など、自然のモチーフと素材がたっぷりの展示。でも皮肉なのが、当然意図的ではあろうが、それらが滑稽ななまでに不自然なこと。大理石に彫ったスキーリゾートを見てどうする、ギャラリーに置いた島を見てどうする、などと空しさがこみ上げてくるが、ハウステンボスや常磐ハワイアンセンター(知らないうちにスパリゾートハワイアンズと名前が変わってました)など、間に合わせ物で楽しむのが普通のこの世の中。絵画や写真なんてまさにその間に合わせカルチャーの産物。そう考えれば、部屋に島を置いて楽しむコレクターがいてもよいのだろう。12月16日まで (トコ)

 

9月18日

日誌再復活!
 
 日誌、再度復活です。9月も半ばになり、ロンドンのアート業界も活気づいてきましたので、しばらくは頻繁に更新していくつもりです。(長〜い夏眠中、問い合わせや励ましのメールを下さった方、まともにお返事できなくてすみません)

あと、遅れに遅れましたが、ヴェネツイアのレポート第一弾「トコのヴェネツイア・ビエンナーレ三ヶ月遅れダイアリー@」を載せましたのでご覧ください。「美術手帖」に書いたレビューの追加というか個人感想編です。何ヶ月遅れになるかは分かりませんが、ドクメンタとミュンスターの写真もたまってますので、またいずれ載せたいと思います。
 

9月18日

ヴァイナー・ストリートの時代到来!?
 
 

イーストエンド初の「パーパスビルト」ギャラリー
ではロンドンの話に戻って、美術手帖でも紹介したイーストエンドはヴァイナーストリートの話題から。

わずか2年で10軒もの画廊が進出し、ロンドンで今最も注目されている急成長の地域がこのヴァイナー・ストリート。その界隈の老舗画廊であるウィルキンソン・ギャラリーがその小道に新スペースを建設し、それがいよいよ一般にお披露目になった。

総面積560平米の二階建てのギャラリーは、この界隈唯一の公営施設であるホワイトチャペル・アートギャラリーと張り合う美術館級の広さ。古い建物のなかを改装して使うのが当たり前のロンドンにしては珍しく、ギャラリー用に一から建てられた「パーパス・ビルト」のギャラリーになっている。(パーパスビルト・フラットとか、英国ではそれ専用に新たに建てられた建物を呼ぶときに「パーパスビルト」という言葉をよく使う)

 



Wilkinson Gallery
Courtesy: Wilkinson Gallery

室内に足を踏み入れると、NYのチェルシーに舞い降りたかのような天井の高いゆったりとしたスペース。一階と二階に分かれた大箱のレイアウトにはオールドストリートのヴィクトリア・ミロ・ギャラリーを思わせるところがあるが、あちらと違ってこちらは白壁を強調したモダンな空間。天窓のある二階が特に美しい。

そのオープニング展は、ドレスデン在住の画家トアルフ・ノブロック(Thoralf Knobloch)のロンドン初めての絵画展。黄昏時のガソリンスタンドや、柵で囲われた蓋のないマンホールなど、特になんてことのない町の一風景を描いた絵がずらりと並ぶ。

今回初めてノブロックの絵を見たが、非常に力強くて、魅力的。絵画の物質感を維持しながらも、不思議と写真的な印象が強く、絵の主題といい、構図といい、色使いといい、ウィリアム・エグルストンやスティーヴン・ショアなどのカラー写真が頭に浮かんでしまう。

けれども、ノブロックが自分で撮った写真をもとに描いていると聞いて、それにも納得。写真をデジタル化して、要らない部分を消したりクロッピングしたりと大々的に操作したイメージを基にしているそうだ。ウィルキンソンの新スペースとの相性も抜群なので、あのあたりに行った方はぜひお立ち寄りくだされ。住所等の詳細はこちらで。(トコ)

オススメの展覧会2つ
ウィルキンソンが一般公開された9月6日は、アーツ・カウンシルの支援のもと今年の春から始まった、イースエンドの画廊が夜9時まで開廊するという「ファースト・サーズデイ」の日。 それに便乗する形で画廊のオープニングが集中し、ヴァイナーストリートの小道は人の群れで車も通れぬごった返し状態。画廊も人を掻き分けて入るような芋洗い状態で、ゆっくり鑑賞とはいきませんでしたが、オススメを二つばかり紹介します。(ちなみに来月のファースト・サーズデーは10月4日。詳しくはこちらで)

□ まず最初の展示が、モダン・アートの「Effigies」展で、博物館の展示を真似たような異色なグループ展になっている。エフィジーと聞くと、昔の国王の棺を飾った彫刻や貴族の胸像、ガイ・フォークス・デイの火の玉や呪いの人形みたいなものが頭に浮かぶが、モダン・アートの展示室はまさにそのパロディー状態。「実は床下に棺があるですね」なんて言葉が似合いそうなくらいレクイエム調だ。

 
George Condo
The Altar Boy
2005
Cou
rtesy: Stuart Shave / Modern Art

また、作家陣も豪華で、今年のヴェネツイアのカナダ館代表のデイヴィッド・アルトメードジョナサン・ミースジョージ・コンドーテレンス・コーなど今国際シーンで注目の作家に、ルイーズ・ブルジョアヘンリー・ダーガーなど大御所/没組みを加えた粋な取り合わせ。これだけの個性派が揃いながら、一人の個展のような統一感があるのには驚いてしまう。詳細はこちらで。

□ もうひとつのオススメが、その向かいのケイト・マッギャリーで開催中のピーター・マクドナルド(Peter McDonald)の絵画展。モダンアートの墓参りのような気分から一転して、ファンタジーの世界に迷い込んだような夢見心地な気分になれる。

 
Peter McDonald
Horn 2007
Courtesy: Kate MacGarry


ギャラリーSIDE2でもお馴染みの作家なのでご存知の方も多いかと思うが、ピーター・マクドナルドの定番といえば、大きなひょうたん頭の人間。楽しく人生を謳歌する、透明で、浮遊感のある、頭のデカい、憎めない人々。模様の域までディフォルメされたひょうたん頭はポール・クレーやコルビジェの初期の絵画のように流麗、俗っぽく言えばアニメみたいに可愛いくて、ユーモアもある癒し系。 でもその一方で、見ているうちに顔のない頭の影に何やらよからぬことを企んでいるようなダークな側面や、「頭のなか空っぽでしょ」と言われているような風刺的側面が徐々に見えてきて、何やら複雑なものを感じる。詳細はこちらで。(トコ)

ヴァイナー・ストリート余談
古株のデイヴィッド・リズリー・ギャラリー(David Risley)でさえここに来てまだ2年たらずだが、既に10軒ものギャラリーが軒を連ねるこの道。お蔭様で前回はケイト・マッギャリー(Kate MacGarry)、その前はアーティスト・アノニマス(Artist Anonymous)と、行く度に新しいギャラリーを発見させてもらっているが、今回はアートバブルの象徴とでも言おうか、アートコンサルタントと画廊の中間にあたるDegreeArt.comという会社を発見した。目印は「o art」と書かれたピンクのネオン。

 
Degreeart.comの建物
Photo:toko


さっそくその設立者のエリノア・オリサさんに連絡をとってみたところ、社名が語るとおり、こちらの会社は美大を出たての若手を発掘して、その作品をコレクターに売ったり、彼らに制作をコミッションしたり、卒業展を企画したりしている会社とのこと。クライアントにマイクロソフトなどの大企業を抱える。

設立したのは今から3年半前。主にインターネットを母体に販売とコンサルティングをしてきたが、この手の会社にしては珍しく自分たちの作家も抱えているため、その発表場所の必要性を感じ、この6月にヴァイナーストリートに移転。現在は同じビルに入るザ・エンパイア・ギャラリーと提携して展示活動をしているとのこと。最近よく「若手の作品が売れてたまらない」という類の会話を耳にするが、DegreeArt.Comはまさにそれを裏付ける存在といえそうだ。詳しくはこちらで。(トコ)

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このページの掲載内容

ナン・ゴールディン 児童ポルノ疑惑!?
(9.28)

今週の展覧会ハイライト
*An Archaeology @ 176
*マシュー・バーニー@ サーペンタイン
*サーペンタイン・パビリオン
*スティーヴン・ギル新作写真集
*さわひらき@チセンヘール
*曽根裕@パラソル・ユニット
(9.27)

日誌再復活!
(9.18)

ヴァイナー・ストリートの時代到来!?
*ウィルキンソン・ギャラリー
*Effigies@モダン・アート
*ピーター・マクドナルド@ケイト・DegreeArt.Com
(9.18)