12月31日

今年のまとめ+来年のハイライト

 
 

今年も残すところあと数時間!どんな年だったかな……と振り返ってみると、デミアン・ハーストのダイアモンドの頭蓋骨が前代未聞の50ミリオンポンド(約120億円)で売りに出て、これが見事に売れてしまったり、グラフィティ・アーティストのバンクシーのステンシル画など小品10点がオークションで1億円を超える値がついたり、チャップマン兄弟がお札に無料でドローイングを大盤振る舞いしたりと、芸術にしてははしたなくもお金が目立った年。

 
Damien Hirst, For the Love of God, 2007
© the Artist Photo Prudence Cuming Associates Ltd
Courtesy Science Ltd and Jay Jopling/ White Cube


そんな景気のよさに押されて(アート業界だけみたいですが)、画廊が次々と二軒目をオープンしたのも今年の特徴でした。二店舗運営はこれまではガゴーシアン(Gagosian)やホワイト・キューブ(White Cube)、ハウザー&ワース(Hauser & Wirth)など大手画廊のお株でしたが、今年新たに中堅どころのセイディ・コールズHQ(Sadie Coles HQ)、マックス・ウィグラム(Max Wigram)、アプローチ(The Approach)、ティモシー・テイラー(Timothy Taylor)などがこれに参加、まだオープンして数年というライフルメイカー(Riflemaker)までもが今月ソーホー・スクウェアに二軒目をオープン。

 
Soho Sqにオープンしたライフルメイカーの第二号店。


また、アートフェアが開かれた10月には期間限定でヴィクトリア・ミロ・ギャラリー(Victoria Miro)が、隣の建物内にもつプライベート展示室を公開。草間彌生展がここで開かれましたが、メイン展示室を凌ぐ広さと美しさと眺めの良さにびっくり。また、進出先は国外になりますが、ホーンチ・オブ・ヴェニソン(Haunch of Venison)がチューリッヒ店につづきベルリン店を開廊し、ロイヤル・アカデミーの中庭でいま展示中の張ホァン(Zhang Huan)の個展をベルリンとロンドンの二箇所で同時開催。

 
ヴィクトリア・ミロ・ギャラリー特別展示場。


また、今年はギャラリーマップが激しく変わった一年でもあり、フリス・ストリート(Frith Street)やアリソン・ジャック(Alison Jacques)、ウィルキンソン(Wilkinson)などがより広いスペースを求めて移転。そして、この画廊ブームに押され、自前のコレクションを公開するコレクターも登場。ザブルドウィック夫妻の所蔵品を見せるチョーク・ファームの176と、こちらに比べ規模はずっと小さくなりますがグレイト・ティッチフィールド通りにオープンしたデイヴィッド・ロバーツのOne One Oneあたりが話題になりました。

 
176の室内の様子。


一方、画廊に比べ、美術館、公営ギャラリーは比較的におとなしい年でしたが、オリンピック開催年の2012年を目処に新館が増設されることになっているテート・モダンが今月上旬、政府から50ミリオンポンド(約120億円)の資金援助を獲得したと発表。またテートは今月中旬にも、今年何かと話題になったデミアン・ハーストから現在『ターナー賞回顧展』で展示中の『Mother and Child Divided』(展示用複製版、2007年)を含むホルマリン溶液作品4点を寄贈され、クリスマス前にダブルでいいこと尽くしでした。一方、来春チェルシーに美術館開館が予定されているサーチ・コレクションは、ロシアのエルミタージュ美術館との提携の話がまとまり、コレクションの一部を同館で展示していくことを発表。

 
テート・モダンの改築予想図。
© Copyright: Hayes Davidson



また、美術館というよりは学術機関に近くなりますが、この10月にショーディッチにロンドン初の多文化主義に則ったビジュアルアートの専門機関、リヴィントン・プレイス(Rivington Place)が誕生。ここは展示室やライブラリーのほか、一般の人が閲覧できる写真アーカイヴも併設されている珍しい施設。また、写真といえば、地下鉄レスター・スクウェア駅そばのフォトグラファーズ・ギャラリーが2010年を目処にソーホーに移転することを発表し、フロアー6階にまたがる新スペースは現在の広さの二倍になるとか。

 
Mark Wallinger
State Britain: Installation view at Tate Britain 2007

ざっとここまでが今年の回想になりますが、1月開始の展示情報も続々と入ってきてます。その中から幾つか注目どころを選んでご紹介したいと思います。

■ アンドレイ・バーテネヴ(Andrey Bartenev)展、ライフルメーカー、1月7日から
■ ブラッド・カールハーマー(Brad Kahlhamer)展、モダン・アート、1月18日から
■ パヴェル・ビュッヒラー(pavel buchler)展、マックス・ウィグラム、1月23日から
■ フアン・ムニョス(Juan Munoz)展、テート・モダン、1月24日から
■ デュシャン、マン・レイ、ピカビア(Duchamp, Man Ray, Picabia)展、テート・モダン、2月21日から
■ ローマン・シグネール(Roman Signer)展、ハウザー&ワース、1月25日から
■ ローレンス・ウェイナー(Lawrence Weiner)展、リッソンギャラリー、2月6日から
■ ドイツ・ボーズ2008写真賞展(Deutsche Borse 2008 Photography Prize)、フォトグラファーズ・ギャラリー、2月8日から
■ トーマス・シャイビッツ(Thomas Scheibitz)展、カムデン・アーツ・センター、2月22日から
■ デレク・ジャーマン(Derek Jarman)展、サーペンタイン・ギャラリー、2月23日から

以下は、このお正月にロンドン滞在中の方にオススメの展示になります。筆者の独断と偏見で写真展に集中して抜粋しました(今月は写真展がとても充実しているので)。

アントワン・ダガタ(Antoine d'Agata)展@フォトグラファーズ・ギャラリー
フランスでいま一番注目されている写真家の個展。彼の性生活を記録した何百もの写真が、ナン・ゴールディンと森山大道とフランシス・ベーコンを足して3で割ったような強烈なスタイルで展開。現在、東京のラットホール・ギャラリーでも個展が同時開催中ですが、ロンドンの展示は2003年作の『Insomnia』を中心にマグナムに加盟する前の作品を集めて展示したもの。1月27日まで

 
EGYPT. Cairo, 1999 from Insomnia 1998 - 2003
© Antoine d'Agata/ Magnum Photos

■ The Art of Lee Miller展@V&A
こちらは美貌と才能の二物を天から授かりながらもそれに甘んじずに、後に従軍写真家として活躍したリー・ミラーの生誕100周年を祝う大展覧会。マン・レイのアシスタント兼ミューズとしてスタートした初期の作品から、『Vogue』の従軍記者として赴いたドイツの戦場の作品、さらにはロンドンの自宅で撮ったゲストの写真まで、そのキャリアと人脈の幅広さがたっぷり堪能できる展示。1月6日まで

■ ニック・ワップリントン(Nick Waplington)展@ホワイトチャペル
『Living Room』や『The Wedding』などの写真集で知られるドキュメンタリー・フォトグラファー、ニック・ワップリントンの待望の個展ですが……、今回は彼自身の作品は少なく、過去20年間に中東で任務経験のある軍人が撮影した写真1000枚をネットからダウンロードし、それをスライド上映した作品がメイン。会場のホワイトチャペルはここ1年ほど改築工事のために展示室が映写室のみに縮小されていますが、それをカバーするためか、本展示ではギャラリー界隈のパブやカフェなど14軒をオフサイト会場に使用。ワップリントンの写真が店のインテリアのように忍ばされているのが特徴。見るのに時間がかかるのが玉に瑕ですが、それなりに楽しめます。1月20日まで 


ジェフ・ウォール(Jeff
Wall)展@ホワイト・キューブ、メイソンズヤード店

2005年のテート・モダンでの個展以来のロンドン展となるジェフ・ウォールの個展。彼の定番であるライトボックスを使ったディテールの細かいカラー写真と同時に、モノクロ写真が公開されていますが、これがまたウォールらしくて超巨大。こんなモノクロは未だかつて見たことがないというサイズです(噂によるとこれはポスト・プロダクションを行ってないとか)。1月19日まで(1月1日まで休廊

 
Jeff Wall
Dressing poultry, 2007
© the artist
Courtesy Jay Jopling/ White Cube (London)


■ シラーナ・シャーバジ
(Shirana Shahbazi)展@バービカン・センター、カーブ

こちらも同じくウォールに負けないスケールですが、こちらは写真と絵画の混合インスタレーション。2005年のシティバンク写真賞を受賞したチューリッヒ在住の作家シラーナ・シャーバジの個展になり、自分で撮った写真のイメージを看板屋などを使って絵画やビルボードやカーペットなどに描いた作品。その中にデジタル印刷の写真がさりげなく混入されていますが、キャンバスにプリントされているため、こちらもまるで絵のよう。1月20日まで

 
Shirana Shahbazi
The Curve, Barbican Art Gallery
Photo: Toyoko Ito

■ Seduced: Art and Sex from Antiquity to Now展@バービカン・アート・ギャラリー(バービカン・センター3F)
こちらはこの冬一番の話題展で、18歳未満お断りの「大人」の展覧会。タイトルの通りセックスとアートの密なる関係を、古代ギリシャの彫刻からインドのカーマ・スートラ、日本の春画などを経て、ウォーホールの映像やデュマスの油彩までと広く集めて検証した展示になりますが、テーマがテーマなだけに写真作品も充実。ロバート・メイプルソープ、ジェフ・クーンズ、アラーキー、ナン・ゴールディン、トマス・ルフなどメジャーどころが勢ぞろいのうえに、著書『男性の性行動』(1948)、『女性の性行動』(1953)などで知られる性科学者アルフレッド・C・キンゼイ博士が研究のために集めた男女のヌード写真までが見れてしまう充実ぶり。こちらはレア物です。1月27日まで

…………

今年も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。前半は忙しさにかまけてサボってばかりいましたが、後半より何とか持ち直しました。来年も時間の許すかぎりレポートしていきたいと思っていますので、どうぞヨロシクお願いします!(以上、トコ)

 

12月24日

展覧会レビュー掲載

 
 

クリスマス直前。ぎりぎりのところでレビューを二本掲載しました。両方とも今月の話題作です。(行かれる方、年末年始の営業時間はギャラリーのサイトでチェックしてください。特にリッソンの方は画廊なのでご注意を!)

サンチアゴ・シエラ@リッソン・ギャラリー
アンソニー・マッコール@サーペンタイン・ギャラリー

 

12月3日

ターナー賞2007 マーク・ウォリンジャーが受賞!

 
 

夏のミュンスター彫刻プロジェクトでも大活躍だったマーク・ウォリンジャー(Mark Wallinger)が、今年のターナー賞を受賞した。映画「イージー・ライダー」の名演と監督で知られるデニス・ホッパーにより、賞金25,000ポンドが授与された。

 
Mark Wallinger
State Britain: Installation view at Tate Britain 2007

受賞の対象となったのは、テート・ブリテンのデュビーン・ホールで今年8月まで展示されていたインスタレーション「State Britain」。600点を超えるバナーやプラカードでできたこの作品は、国会の決議により2005年6月にパーラメント広場から強制撤去された「英国最後の反戦活動家」ブライアン・ホーの活動道具を再現した作品になる。

現実の諸問題を、ユニークな発想をもって美術に取り込むのが得意なウォリンジャー。「ターナー賞07」展が現在開催中のテート・リバプールでは、ベルリンのニュー・ナショナルギャラリーでクマの格好をして行ったパフォーマンス映像「Sleeper」を展示中。一見、コメディーのように見えて、アニマルライツ、監視社会、海外生活の孤独など様々な概念を仄めかした作品になる。

 
Mark Wallinger
Sleeper 2004-5

1959年生まれの48歳。ターナー賞の対象年齢が50歳以下なのですべり込みセーフだが、12年前の95年にも一度ノミネートされている(その年の受賞者はデミアン・ハースト)。代表作はトラファルガー広場の第四の台座で発表した等身大のキリスト彫刻「Ecce Homo」(99)など。第49回ヴェネツイア・ビエンナーレ(2001)では英国代表を務めている。

ちなみに今年の残りのノミネート者は、ネイサン・コリー(Nathern Coley)、ザリーナ・ビムジ(Zarina Bhimji)、マイク・ネルソン(Mike Nelson)の三名。(トコ)

詳しくはテートのサイトで。
「State Britain」の詳細ついては『美術手帖』2007年4月号(p171)のレビューをご覧下さい。
ウォリンジャーの過去展のレビュー1(2004年)
ウォリンジャーの過去展のレビュー2(2001年)

 

12月1日

ギャラリー散策:オックスフォードStの北側

 
 

少し前までウェストエンドのギャラリーといえば、老舗画廊街コークストリートがあるロイヤルアカデミーの裏手一帯。北に上ってもオックスフォード・ストリート止まりというのが定番だったが、ここ数年でそれがだいぶ変わった。オックスフォード・ストリート以南のギャラリー密度上昇とともに、北に進出する画廊がちらほら現れ、この秋だけでも少なくとも3軒がここに出店している。 ということで今回は、オックスフォード・ストリートの北側にフォーカス。地下鉄グッジ・ストリート駅からオックスフォード・サーカス駅にかけて歩いてみました。

FUSION NOW ! @ Rokeby
ギャラリーめぐり第一軒目は、地下鉄グッジ・ストリートから徒歩3分。ロンドン大学のカレッジが立ち並ぶブルームズベリー地区、Store St.にあるRokeby。開廊して二年ほどの若いギャラリーだが、今年のZoo Art Fairでチャールズ・サーチがここの作家グラハム・ハドソンのゴミ置き場ような立体を大枚叩いて買うなど、将来有望な若手を抱える気鋭なギャラリーとして知られる。

 
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今回の展示は、『Time Out』や『Art Review』などで執筆中の英国の若手評論家JJ チャールズワース(JJ Charleswoth)がキュレーターを務める「FUSION NOW !」展。資源枯渇、省エネ、再生資源の利用などエネルギーをめぐる問題が深刻化する今日、この展示では未来のクリーンな代替エネルギーとして注目される核融合エネルギーを展示概念の出発点に採用。「人工太陽」と呼ばれ無限のエネルギーを約束すると言われるそれを起点に、もし地球がエネルギーの宝庫であったとするならばアートと社会はどうなるだろうかと疑問提起。

さて、こんな風に書くと、今年のヴェネツイア・ビエンナーレやドクメンタと同じで政治一色の展示ではないかという印象を与えかねないが、実のところ、エネルギーを広義かつ比喩としてとらえたポップで脳天気な作品が目立つ。作家陣も画廊のグループ展にしては豪華で、昨年他界したコンセプチュアルアートの大家ジョン・レイサムをはじめ、リアム・ギリック、マーク・ティッチナーなど12名(組)が参加している。

 
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なかでも印象的だったのが二年前の全国巡回展ブリティッシュ・アート・ショウ6で一躍注目を浴びたロジャー・ハイロン(Roger Hiron)の小型太陽のような電球。おそろしいパワーで室内を照らすこの電球は、表面に繁殖のシンボルである精子が塗られているそうだが、真夏の太陽のようにまぶしくて直視できない。壁の鏡に映ったその像をみて鑑賞するという仕組み。

また、ミネラルウォーターの制作の経緯を即席風のインスタレーションで表したアーティストユニット、WITHのインスタレーションもなかなかの見ものだ。ドローイングや絵画、映像、模型のような物で構成された作品は、つかみ所がないほど雑多なのだが、その雑多さに輪をかけるように、グリーンビジネスを展開する架空の会社WITHYOUをつくるなど考えが凝っている。作品の一部として存在するこの手のよく訳のわからない会社といえば、去年の「ターナー賞」展で展示されたフィル・コリンズの「Shady Lane Productions」あたりが有名だが、いまの流行なのか、ここにもそのお仲間がいた。12月20日まで。

 
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■ Ian Kiaer @ Alison Jacques
ツアー二軒目は、トテナム・コート・ロードを渡ってそこからさらに西に10分ほど、Berners St.にあるAlison Jacquesにお邪魔。ここは去年までコークストリート界隈に店を構えていたギャラリーになるが、今年5月に現在地に移転している。


こちらの展示は、いま流行の建築絡みのアート。Ian Kiaer(イアン・ケア)という作家の現在進行中のプロジェクト『Endless House』を紹介する個展になり、都市開発が急ピッチで進む韓国ソウルのウルチロ地区で集めた建築資材に絵画などを組み合わせたインスタレーションを見せている。

 
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けれども、建築資材といえば聞こえはよいが、よくみればゴミのようなもの。ビニール袋をつなげて作った「風船」や、鉄の棒をつなげてつくった「足場」など、昔のマーティン・クリードを思わせる粗末な素材でできた弱々しいスカルプチャーばかり。それが妙にポエティックで、美しく見えてしまうのだから拍手喝采だが、そのお値段は、インスタレーション全体でしめて25,000ポンド(570万円)。日本のサラリーマンの平均年収が430万円くらいだそうだから、それをはるかに超えている。すでに売却済みだそうだが、そこにアートの不可思議と嫌われる理由が隠れているような……。12月22日まで

Alexis Harding @
Mummery + Schnelle

その次はお洒落なレストランやブティックが建ち並ぶGreat Titchfield Stに、この秋オープンしたMummery+Schnelle。この名前を聞いてピンと来る方もいるかと思うが、そう、こちらの経営者のひとりは、去年まで市内東部のTea Building内に画廊を開いていたアンドリュー・マメリーさん。開廊後二回目となる今回の展示は、絵画の公募展ジョン・ムーアスの2004年の受賞者Alexis Harding(アレクシス・ハーディング)の絵画展。

 
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展示品6点は幕のようにたわんだ絵の具がキャンバスを覆う巨大な抽象画。ほんの数日前に完成したばかりのようで、展示室のなかはペイントの匂いで充満、床にも絵の具が垂れている。油彩の上に家庭用のペンキを流したものらしく、マットな背景にグロッシーな幕が浮き立つ。この幕のたわみ具合がまた派手で、重みに耐えきれずピリッと切れてしまわないかとディテールが気になる。絵画というと静的なもの、完成品という印象があるが、台地を流れる川のようにじわじわと形を変えるハーディングの絵画は、まだその途中といったところだろうか。12月22日まで

ちなみにこの道の先の111番には、今年10月にコレクターのデイヴィッド・ロバーツが開いた画廊One One Oneがあるのでそちらもお忘れなく。

■ John Stezaker @
The Approach, W1

この日の四軒目は、Motiner Stに先週、第二号店をオープンしたばかりのイーストエンドの画廊The Approachの新スペース。展示は去年のテート・トリエンナーレ以来、ギャラリーや雑誌でよく見かけるようになった70年代から活動しているベテランJohn Stezaker(ジョン・ステザカー)の個展。(リバプールの写真専門ギャラリー、Open Eye Galleryでも個展が同時開催中)

 
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まっさらな壁をぐるりと囲むのは、銀幕のスターのモノクロ写真に、風景の絵葉書を載せたコラージュ。髪の部分を除いて人物の顔が絵葉書で周到に隠されている。その組み合わせが何ともシュールで、見ているうちに絵葉書のなかの地形が人物の目や鼻のように見えてきたり、人物の思考を写し出しているように見えたりと、アイデンティティーの隠された人物の形相と内面を探る旅ができてしまう。1月19日まで。

■ Eve Arnold in China @ Asia House
この日最後のギャラリーは、ポートランド・プレイスを渡ってさらに西、New Cavendish StreetにあるAsia House。イランから日本まで、中央アジアからインドネシアまでと汎アジア的視点で、アジアと英国の文化交流を目的とする団体内にあるギャラリーになる。

今回開催されていたのは、世界最強の写真家集団、マグナムの記念すべき女性写真家第一号であるアメリカの大御所、イヴ・アーノルド(Eve Arnold)の個展。アーノルドの最も有名な作品といえばマリリン・モンローのポートレートになるかと思うが、本展はフォトジャーナリストとしての彼女の仕事に着目。毛沢東政権が終わり、中国が資本主義体制に歩みを寄せた79年にアーノルドが現地で撮った写真40点が展示されている。

ここ数年中国の写真というと、近代化や都市化に焦点を当てた作品が何かと目立つが、今からおよそ30年前にとられたアーノルドの写真はその逆。川で服を洗い、牛で田んぼを耕すといった感じの、近代化前の社会主義中国の姿が写真のすみずみに刻印されている。1月12日まで。 (以上、トコ)

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このページの掲載内容

今年のまとめ+来年のハイライ
(12.31)

展覧会レビュー
*サンチアゴ・シエラ
*アンソニー・マッコール
(12.24)

ターナー賞2007 マーク・ウォリンジャーが受賞!
(12.3)

ギャラリー散策:オックスフォードStの北側
*ロークビー
*アリソン・ジャック
*マメリー+シュネル
*アプローチW1
*アジア・ハウス
(12.1)