7月18日

ディグリーショー レポート
 

コレクターやギャラリストが優秀な若手を狙って訪れるロンドンの美大のディグリーショーは、そんじょそこいらのグループ展に負けない見ごたえのあるイベント。

その華やかなディグリーショーを、イギリスの美術界では高く評価されながらも、日本ではあまり知られていないカレッジ二校を対象にレポートしてもらいました。それぞれの大学のいいところを知り尽くしている在学生達によるレポートです。(トコ)

 

7月8日

あれから一日が経ち…
 

何も書かないと、ご心配をかけてしまうかと思い、ひとこと。連絡がついた方だけですが、お手伝い戴いているライターさんもフォトグラファーさんも、そのお友達も、みな無事なようです。

ロンドンは今朝からバスや地下鉄が動き出し、平常にもどりつつあります。パニックに陥らず、平常にいち早くもどることによってテロに屈しないという意思表示をするかのように、みな努めて平静を装っています。少なくとも報道を見る限り、そのような印象が伝わってきます。

昨日の日誌で久々に回ったウェストエンドのショーについて書くつもりでしたが、その同じ街がテロの被害にあい、見た作品から現実味が一気に失せ、予定を変更しました。しかしこれでは、平静を装うみんなの努力が無駄になるというもの。フォグレスでも通常通りに行きたいと思います。(トコ)

 

7月8日

ウェストエンド徘徊
 

Richard Jackson @
Hauser & Wirth

1939年生まれのリチャード・ジャクソンはジャクソン・ポロックら抽象表現主義の流れを汲む作家のようだが、それを非常にポップかつコミカルなセンスをもって表現。今回のショウは一応「絵画」展になるようだが、一般的に「絵」と認識できるものはない。会場に入るとその中央をピンクのプレハブ小屋みたいな巨大な箱が陣取り、壁にかけた4枚のスクリーンに絵具をぶちまけたような映像が映し出されている。その中央に真っ赤に塗られた男のヌード像が一体あり、まるで自身の身体を使って描いたというような意味深なポーズを取っている。

 
Richard Jackson
The Pink Empire, 2005
Installation view at Hauser & Wirth, London
photo: Toyoko Ito

地下のかつての金庫室の中には、檻の中で黒い女性と白クマが抱き合う立体が展示されている。どうやらこちらもペインティング・マシーンのようで、黒と白の絵具が入ったバケツがそれぞれの身体に繋がっていて、女は口から、クマは鼻から絵具が垂れてくるという仕組みらしい。

いまヘイワード・ギャラリーで開催中のレベッカ・ホーンもペインティング・マシーンを幾つも拵えているが、ジャクソンも描くこと自体よりそのプロセスに関心があるようで90年代以降今回のようなペインティング・マシーンを色々とデザインしている。シュールレアリズムのオブジェに傾倒していたホーンと違って彼の場合、芝刈り機から車、飛行機までを使って作るメカキチ系のようだ。7月23日まで。(トコ)

 
Richard Jackson
Confusion in the Vault Room, 2005
Installation view at Hauser & Wirth, London
photo: Toyoko Ito
Richard Jackson, Hauser & Wirth

■ Painting Unperfect @ Houldsworth
こちらは残念なことに明日で終ってしまうが、英国の若手画家を集めたショーだ。昨年のイースト・インターナショナル(若手対象の公募展)のグランプリ受賞者ジャスティン・モーティマー、同じく同展に出品したアリシア・パズ、この秋に始まる5年に一度の大規模巡回展ブリティッシュ・アート・ショー6への参加が決まっているゴードン・チェンらが展示をしていた。

展示品はシュールレアリズムからアニメまで様々なビジュアルアイコンを発想源に作られたものが目立つ。イメージのあからさまな「拝借」に、一見、写真やコンピューターグラフィックの技術を使ったもののように見えるが、実際にはそのほとんどが手で描かれたもの。プレスリリースに書かれていた、既存のイメージを絵画に「トランスレートする(訳す)」という言葉が印象的だった。

この展示は基本的に英国ベースの作家を集めたものだが、これを今週火曜から始まったサーチ・ギャラリーの絵画展第二弾と照らし合わせてみると、結構面白いかもしれない。なぜなら今回のサーチの展示では英国人作家はゼロ。ドイツから5人、ポーランドから1人という完全に欧州に舞台を移した展示だからだ。ちなみにサーチが英国人抜きの展示をしたのは1987年以来、18年振りだという。

サーチの英国離れは早くも話題となり、それに抗議すべくバンクシーまがいのスタントをするアーティストも出た。アーティストのスチュワート・センプルが、「BRITISH PAINTING STILL ROCKS」と書いた絵をこっそりと会場に忍ばせたのだ。才能のある若きイギリス人作家が溢れるほどいる、そんな彼らを無視するなんて理にかなっていない、というのが彼の言い分。実際のところそういう作家が溢れるほどいるかどうかは疑問だが、少なくともHouldsworthのショーを見る限り行けそうだと思った。(トコ)
"Painting Unperfect" Houldsworth

2005年1月へ
 
2004年11月へ
  
 


Top

Home

 

 

 

 


fogless.net
e-mail: editor@fogless.net
This site has been designed and managed by Toyoko Ito (Toko) copy; 2000-2010 All Rights Reserved
このサイトは伊東豊子(トコ)によってデザイン及び管理・運営されています。本
サイト内で用いられているコンテンツ(文章・画像など)を無断で複製・転載・転用することはできません。

 

 

 

このページの掲載内容

ディグリーショー レポート(7.18)

あれから一日が経ち…(7.8)

ウェストエンド徘徊(7.8)