6月30日

ヴェネツィア・ビエンナーレ第二弾
 

先日の日誌に引き続き、ヴェネツィアのレポートを載せました。まずは国別編で、私が辿った経路を記録したダイアリー構成になっています(冒頭に少し解説も書きましたが)。一応、パート1のつもりです。(トコ)

 

6月30日

余談…
 

■誌上展覧会:イギリス具象絵画展
美術の窓』の最新号(7月号 No.262)に取材協力させて頂きました。8ページ構成のこちらの特集は、近年その復活が英国のあちこちで見られる絵画に焦点を当てたものです。ロンドン在住の画家、近藤正勝氏にご教授を受け、執筆と作家の選考でご協力させて頂きました。近藤氏へのインタビューも掲載されています。(ページは違いますが、青山悟さんについての記事も掲載されています)

■ペニー・マーティン for マリ・クレール
marie claire』の特集「スウィンギング・ロンドン」に取材協力させて頂きました。先日の『コンポジット』に引き続き、今回のインタビューのお相手も、SHOWstudioの編集長ペニー・マーティン。ペニーとは、ブリストルのマーティン・パーの自宅で取材で鉢合わせという形で出会ってから、何かと縁があるみたいです。その縁結びの神(?)、『スタジオ・ボイス』でお世話になった富田秋子さんがハイライトのケイト・モスの記事などを執筆されています。(トコ)

 

6月23日

展覧会プレビュー
 二ヶ月ぶりの展覧会プレビューです。今回は熱帯夜が続いているここ最近のムードに相応しく、暑くても楽しめる場所、または、夏ボケを覚ましてくれるピリ辛の展示を選んでみました。
 

6月18日

ヴェネツィア・ビエンナーレ第一報
 

ビエンナーレから戻って参りました。ただ今撮影した写真を大急ぎで整理中ですが、とりあえずはプレビューの様子を少しばかり。

今回メディアの関心を一番集めていたのが、初日の朝一番、ケイト・ブランシェットを招いて幕開けをしたオーストラリア館。精巧な木彫り彫刻で知られる今年の同館の代表、リッキー・スワローの大ファンという彼女。スマートで熱が篭った挨拶に、リッキーもコミッショナーもみな大満足の顔。リッキーはロンドン在住とあって、英国からも新聞記者をはじめ報道陣がたくさん来ていました。ちなみに右の写真は、「重要な仕事なんだから、そこどいてよ!」と現地のカメラマンに小突かれながら撮った一枚。

イギリス館の今年の代表は、お年を召してすでに伝説の域に達しているギルバート&ジョージ。グレーのそっくりなスーツを着て、生きる彫刻のごとく二人並んでフラッシュを浴びていました。でもさすがヴェネツィアですね。展示者以外の作家も結構多く、トレイシー・エミンサム・テイラーウッドのほか、あのグレイソン・ペリーもクレアの姿で会場をうろうろ。カメラマンに一枚ねだられ、「撮ったって構わないけど、足は止めないわよ」と、姿に似合わない野太い声とガニ股歩きが印象的でした。

またそのほかアイスランド館のオープニングでは、ガブリエラ・フリドリクスドッティの応援に駆けつけたビョークに思わず視線が釘付け。ガブリエラの友人であるビョークは今回彼女の作品ために、音楽のみならずパフォーマンスという形でも参加。ここでは幸いなことに、ジャーナリストでありマシュー・バーニーの日本における代理人でもある鈴木朋幸さん、パリと日本を行き来するアタッシェ・ドゥ・プレスの天川洋子さん、NYのMoMAのオープニングにも駆けつけたというドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤さんらに遭遇し、みんなで乾杯。

その後、企画展が開催中のイタリア館では、今回金獅子賞を受賞したトーマス・シュッテ氏らしき人物と奇妙な会話を。しゃがんだ女体のブロンズ彫刻の台座に座って写真を撮られていた彼に、「シュッテさんですよね?」と声を掛けてみたところ、「え?違うよ。今回作品は出してるけど、違う作品だよ」といいながらジワリジワリと隅に。作者以外にここに座る度胸のある奴がどこにいる!と思いながらにじり寄ると、「僕がアート」などとニヤニヤしながらそそくさと退散してしまいました。とまあ空振りもありましたが、どれもこれも世界最大のアートの祭典がもたらしてくれた嬉しい体験。第一報はゴシップ一色となってしまいましたが、作品についてはまた後程レポートで(トコ)。

 









Photo: Toyoko Ito

 

6月18日

余談…
 

■ペニー・マーティン インタヴュー for コンポジット
コンポジット』の最新号(通巻34号)に、SHOWstudioのチーフ・エディター、ペニー・マーティンにインタビューした記事が掲載されました。

SHOWstudioはファッションに関心のある方ならご存知の方も多いはず。「イメージ・メーキングのプロセスを全部見せてしまえ」というコンセプトのもと、ファッション・フォトグラファーのニックナイトが私費を投じて2000年に開設したウェブマガジン。

今回のインタヴューでは、ジョン・ガリアーノからチャップマン兄弟まで大物クリエーターとともに斬新なプロジェクトを展開するペニーの隠されたプライベートライフに焦点を当ててみました。(トコ)

 

6月7日

まとめて展覧会…
 

■ 昨年1月に紹介した展覧会「Minus One」でハイライトをつとめたアーティスト・ユニットのcourierが、今月4日からブルガリアで始まったアートフェスティバル、Process Space Festivalに参加するとのお知らせをいただきました。ロンドンのほかロッテルダム、東京でも発表された、食を通じて観客とのコミュニケーションを図る「Happy Hour」を発表するそうです。詳しくはcourierのサイトで。インタビューはこちらで。

■ 芦屋市立美術博物館の「A Decade After 震災から十年」展などで日本でも活躍の米田知子さんの個展が、今月6日から大和日英基金のギャラリーで始まりました。世界各地の戦争や災害に見舞われた場所を訪れては、その地の「今」の姿を写真に収めている米田さん。今回の個展では、第二次大戦の戦場として英国人には忘れることの出来ないノルマンディーの海岸を撮ったシリーズを発表。詳しくはこちらで。

■ 今年3月に紹介した「RAdical Paintings」(日誌)に参加していた佐藤美穂さんの個展が、今月4日からウェストエンドのdomoBaalで始まりました。今回の個展は、絵画の賞ジョン・ムーアズ(John Moores)に去年入選した佐藤さんのロンドン初の個展になります。またこれとは別に、ヴェネツィア国際芸術祭にタイミングを合わせて現地で開催される絵画展「Painting London」展でも作品が紹介されるとか。詳しくはこちらで。

■ 昨年11月22日付けの日誌で紹介した中山かおりさんが、英国内で高く評価されるノーリッジ・ギャラリー(Norwich Gallery)主催のイースト・インターナショナル(East International)に入選しました。ターナー賞やベックス・フューチャーズに比べ業界外での知名度は低いものの、多くのアーティストが望んで止まないのがこちらの展示に選ばれること。ジェレミー・デラーやマーティン・クリードなどのターナー賞受賞者からリチャード・ロングやヘレン・チャドウィックといった高名な作家までもが、ここを通過してキャリアを築いています。展示は7月2日スタート。詳しくはこちらで。(トコ)

 

6月7日

展覧会レビュー
 

先日チラッと紹介したトレイシー・エミンのレビューを載せました。今回も写真はこの間と同じで、むさ苦しいカメラマンに囲まれたエミンの一枚です。作品の図版は、時間の関係で取り寄せられませんでしたので、ホワイト・キューブのサイトで見て下さい(今夜からヴェネツィアに一足先に行ってきます!)。(トコ)

 

6月3日

ターナー賞2005、ノミネート者発表
 

今年の作家も去年に引きつづき、みなYBA以降の世代。ここ5,6年の間に注目を受け始めた作家が目立つが、ムードとしては、政治や社会情勢への言及が目立った去年に比べ、今年はかなりノンビリ。関心の矛先は社会へというよりはアート的な領域、それも純粋に物作りやリサーチに没頭している、ある意味でトラディショナルな作家が目立つ。しかしノンビリながらも、堅実派のアーティストがこの二年続いている傾向をみると、タブーを犯して人目を惹いたり、自らのワイルドな生活を暴露する時代は、どうも過去のものとなりつつあるようだ。

ジリアン・カーネギー(Gillian Carnegie, 71年生れ)
RCAでピーター・ドイグに師事したカーネギーは、若手ながらも、今のイギリスの絵画を支える陰の実力者のひとり。彼女の絵画は、静物、ランドスケープ、ポートレートと、主題の幅の広さで知られるが、彼女の一番の特徴と言えば、マネからフロイドまで幅広い画家にヒントを得た筆遣いの使い分けだ。本人自身がかつて語っているように、「何を」ではなく「どう」描くかに執着する、昔かたぎの画家だ。今回のノミネートはキャビネットでの個展が評価されてのことだが、03年のテートトリエンナーレにもドイグ、ジョージ・ショート並んで参加していた。

サイモン・スターリング(Simon Starling, 67年生れ)
物のルーツや生産プロセスを追いながら、その存在意義を再確認していくのがスターリングのアプローチ。去年のバーゼルアートフェアでは、ボーキサイトからアルミニウムが作られ、さらにこれがマウンテンバイクになるまでの過程をインスタレーションで表現。2000年のカムデンアーツセンターでの展示では、18世紀にスウェーデン人植物学者がスコットランドにもたらした植物、ロードデンドロンの移入経路をさかのぼり、その旅程を映像に収めた作品などを発表。グラスゴーのモダン・インスティチュートでの展示などが評価されてノミネート。

ダレン・アーモンド(Darren Almond, 71年生れ)
建築物サイズのスカルプチャーから映像まで幅広いメディアを扱う。一分刻みに数字が変わっていく長さ二メートルのデジタル時計、なんて事のない場所を24時間撮った時だけがゆっくりと流れる映像、オーストリアのゴーストトレインで撮影した映像など、アーモンドの作品では時間とトラベルがテーマに。また、歴史に言及することもあり、そこではアウシュヴィッツのバス停などがモチーフに。このバス停は、その後自治体との交渉の経て、デュシャンの便器のように、そっくりそのままベルリンのギャラリーで展示された。ちなみにその跡地には、交換条件として出された彼自作のバス停が立っているという(こちらは2000年のロイヤル・アカデミーのApocalyps展で展示されました)。

ジム・ランビー(Jim Lambie, 64年生れ)
去年のフリーズ・アート・フェアの会場で、マーケットで買った安物の中古バッグに妙なシールを貼っていたランビーさん。そんな彼こそは、まさに、金がなくても発想とやる気さえあれば芸術は出来る!と見るものを楽しませてくれる作家のひとり。そこでの主役は、ベルトや靴、ガムテープ、レコード盤など、みじかな物ばかり。テートのトリエンナーレでは、ホールの床一面にカラフルなビニールテープを貼り、眩暈のするような空間に。先々月のセイディー・コールズでの個展では、ドアを裁断してアベコベに継ぎ合わせた立体など、見ているだけで楽しくなるウィットに溢れる作品が展示されていた。詳しくはテートのサイトで。(トコ)

 

6月3日

RA元学長、ロイヤル・アカデミーから追放
 

去年の8月に「消えた80,000ポンド、RA学長辞任」と題して取り上げたロイヤル・アカデミー・スクールの元学長(Keeper)のブレンダン・ネイランド氏が、先月26日、ロイヤル・アカデミシャンとしての資格を剥奪された。

この追放処分、1768年のロイヤル・アカデミー設立以来二度目という稀なケースに加え(一度目は1799年でジェイムズ・バリー)、処分に対する抗議として大御所画家のピーター・ブレイクが突然ロイヤル・アカデミシャンを辞任してしまったものだから、新聞各紙がかなり大きく取り上げた。

「犯罪は犯していない。ただ馬鹿だっただけだ」

これはその昔ロイヤルカレッジ(RCA)で教授としてネイランドの指示にあたったブレークの言葉。せっかく資金を調達しても、親団体のロイヤル・アカデミーに行くばかりで学校には回ってこない。それにフラストレーションを感じて別口座を開いてしまい、金の使い道を証明するレシートを取っておかなかったネイランド氏に対する、ブレイクの親心あふれる言葉だ。

「別に調査があるって言われてたんだ。無実を証明するチャンスがあると約束されてたのに、そんなの何もなかったんだ」

こちらは当事者のネイランド教授の言葉。今回の処分の鍵となった高等裁判書が制作したレポートに対する、つまり、今回の調査のプロセスに対する彼の抗議の言葉。新聞に掲載されたそのレポートの一文を紹介すると以下のような感じ。

「…彼はロイヤル・アカデミーに属す資金のなかから、現金18,950ポンド(320万円相当)の利益を個人的に受けた。資金を流用した銀行口座によって、ロイヤル・アカデミーの財務的なコントロールから意図的に逃れようとした…」

ネイランド氏の処分をめぐり一時間かけて行われた採決は、追放賛成が39人、反対が27人。反対者にはブレークの他、アントニー・ゴームリー、アントニー・カロらがいたという。さすが王立だけあって、採決の結果はクイーンにも報告され承認を得たそうだ。(トコ)

以下の記事からコメントを引用:
The Times 28日付け
The Daily Telegraph 27日付け
BBC 27日付け

2005年1月へ
 
2004年11月へ
  
 


Top

Home

 

 


fogless.net
e-mail: editor@fogless.net
This site has been designed and managed by Toyoko Ito (Toko) copy; 2000-2010 All Rights Reserved
このサイトは伊東豊子(トコ)によってデザイン及び管理・運営されています。本
サイト内で用いられているコンテンツ(文章・画像など)を無断で複製・転載・転用することはできません。

 

 

 

このページの掲載内容

ヴェネツィア・ビエンナーレ第二弾(6.30)

余談…
*イギリスの具象絵画
*ペニー・マーティン(6.30)

展覧会プレビュー(6.23)

ヴェネツィア・ビエンナーレ第一報(6.18)

余談…
*ペニー・マーティン for コンポジット(6.18)

まとめて展覧会
*courier
*米田知子
*佐藤美穂
*中山かおり(6.7)

展覧会レビュー
とレイシー・エミン(6.7)

ターナー賞2005、ノミネート者発表(63)

RA元学長、ロイヤル・アカデミーから追放(6.3)