5月27日

トレイシー・エミン参上!
 

昨夜からスタートした待望のトレイシー・エミン展。幸いにもシャッターチャンスに恵まれたので、とりあえずご一報を(さすがロンドンアート界のクイーンだけあります。もうカメラマンの数が半端じゃなくて…BBCはもちろんドイツからもテレビ局が来ていました。写真をクリックしてみて下さい)。

 
Tracey Emin
White Cube

Photo: Toyoko Ito

展示の方はというと、オフホワイト系で統一されたピュアな色彩と、小悪魔のようなプライベートライフがミックスした、穏やかながらも激白系。水彩、ドローイング、刺繍、アップリケなどの小振りの作品が、ジェットコースターのような巨大ストラクチャーを取り巻くように展示されています。
Tracey Emin, White Cube, 050527 - 050625 (トコ)

 

5月27日

バンクシー、大英博物館からお墨付き?

 

「大英博物館から借用」と、大そうな響きのラベルが貼られたこちらの作品。雰囲気はいかにも先史時代風ですが、よく見ると、スーパーのカートを押す人の姿が描かれていてどこか変。

「証拠写真を撮った最初の人に、ショッピング・カートのオリジナル絵画をプレゼント!」。こんな宝探し競争まで起きてしまったので、ご存知の方もかなりいるはず。実はこの"作品"、今年3月にニューヨークで一騒動を巻き起こしたグラフィティー・アーティストのバンクシーが先週、大英博物館に送り込んだもの。

 
Banksy
The Peckham Rock
On loan of British Museum
Outside Institute
Photo: Toyoko Ito

この“作品”のタイトルは、彼がこの石を見つけたサウスロンドンの地名から取って「The Peckham Rock(ザ・ペッカム・ロック)」。私がこれを見かけたのは大英博物館の貸出し先、パッディントンにあるアウトサイド・インスティテュートというギャラリー。現在開催中の、30人のストリートアーティスを集めた「Favourite Fiends」展の会場に、美術館の解説文をもじったテキストと一緒に忍び込まされていました。

共同経営者のポール・ジェンキンスさんによると、今回のはまったくの棚ボタ。別の作品を予定していたところ、オープニング当日の朝、「新聞みました?いい事が起こりましたよ」と作家の代理人から電話。あっという間に事が運び、数時間後にはしっかり壁に飾られていたという。

でもメディアの反応はというと、日本ではフジテレビの「めざましテレビ」などで報道されたみたいですが、こちらではわりと静か。テート・ブリテン、自然歴史博物館、ニューヨークの美術館4軒と続いただけに、ネタにならないと踏んだのでしょうか。

でもまあ今回はそれでもいいのかも知れません。これはあくまでも個人的な印象なのですが、ゲリラのタイミングとグループ展のタイトルから言って、今回は仲間のために一肌脱いだかなと推測できなくもありません。実際、ジェンキンスさん曰く、その効果はなかなかのものだったとか。
 

上)Outside InstituteでのFavourite Friends展会場風景
下)D*Face
Outside Institute
Photo: Toyoko Ito

「ゲリラ・アート」という言葉で親しまれているこの「作品献上スタント」。今回は献上品の完成度の高さに驚いた大英博物館が、それをすんなりコレクションに加えてしまうという、いつにない好意的な形で決着がついたとか。

ちなみにジェンキンスさんが建物のオーナーのハワード・ミルトンとグラフィティー・アーティストのD*Faceと一緒に運営するこちらのギャラリーは、ストリート・アートを専門とする英国初の本格的なギャラリー。詳しくはこちらで(トコ)

 

5月27日

展覧会レビュー
 

ロンドン二年ぶりのインカ・エッセンハイの個展をレビュー。今回のレビュー者は、ロンドン在住の画家の一郎太くん。同じ絵画を志す者ならではの鋭い視線で、エッセンハイの新作を分析してもらいました。ちなみに彼自身の作品は、来月4日からグロスターシャーのストラウド・ハウス・ギャラリー(Stroud House Gallery)で開かれる、「Japan」展で展示されるとか。若手13人を集めた意欲的な展示のようです。詳しくはこちらで。(トコ)

 

5月20日

まとめて・・・
 

photo-london 2005
今年で二回目。ロンドン唯一の写真フェア、フォト・ロンドンが昨日からロイヤルアカデミーにて始まった。今年の会場の様子は、ホワイト・キューブやリッソンなど大手ギャラリーが姿を消したせいか、現代アート系には少々物足りない感じだが、スカウトゼルダ・チートルマイケル・ホッペンなど写真好きには嬉しいギャラリーが揃っている。また、ドイツ、オランダ、アメリカからもかなりの数のギャラリーが加わり、彼らが抱える作家たちがフェア全体にいい彩りを添えている

 

詳しくはまた後ほどレポートするとして、とりあえずはハイライトのみ。会場二階に設けられたマリオ・テスティーノがキュレーションを務める特別エキシビションがそれだ。こちらの展示では、「写真は真実を写す」と言われながらも実際には様々な操作の元におかれてきた事実に着目し、デジタルレタッチなどの操作を経て作られた写真が多数紹介されている。作品数はそれぞれ1、2点と正直言って少々寂しいが、先日ヴィクトリア・ミロ・ギャラリーで紹介されたイドリス・カーンや、ディーン・サメシマフロリアン・マイヤー・アイヒェンなど注目に値する作家が選ばれている。

期間中会場ではブックサイン会が開かれ、21日土曜にはユルゲン・テラーサイモン・ノーフォークなどが、22日日曜にはトム・ウッドボリス・ミハイロフなどが登場する。詳しくはこちらで。

■ Art South Central
おもしろいギャラりーがありながらも、いざ行こうとするとつい面倒になってしまうサウスロンドン。そんな「不便」というイメージを払拭するつもりなのか、ガスワークスサウスロンドンギャラリーなどこの地域のギャラリー8団体が集い、アートサウスセントラルという組織みたいなものをこのほど結成。そしてそのイベント第一弾が今週末(21/22)と来週末(4/5)にかけてそれぞれのメンバーギャラリーにて行われる。キュレーターやギャラリストによる解説はもちろん、ドリンクや軽食も出るらしい。要予約。詳しくはこちらで。地図がとても便利です。

■ 近藤正勝 @ Alpha M Project 2005, 東京
先日インタビューを掲載した青山氏につづき、ロンドンからもう一人、近藤正勝氏の個展が武蔵野美術大学内のアルファMプロジェクトで開催される。ロンドン在住歴17年、私も前に一度レビューを書かせていただいた近藤氏は、山や森をモチーフに点描画を思わせるような技巧で風景画を制作している。今回の「ネオランドスケープ 見られえぬ風景との対話」展では、アクリルから油彩への転向後に制作した、叙情性を含んだ空想絵巻のような風景画が展示される。

あまり知られていないことだが、近藤氏はスレイドスクール在学中に、イギリスにおける具象絵画復興の旗手とされるピーター・ドイグに師事している。ドイグはモネやゴーギャンら印象派・ポスト印象派の筆遣いを巧みに画中に取り込んでいることで知られるが、近藤氏の作品もよくみるとその物質感のあるまったりとした画風にゴッホやボナールなどの影響が窺える。でもその一方で北斎を思わせる和風なところがあったりと、その和洋折衷なミックス具合が非常にユニークだ。詳しくはこちらで。

■ Deutsche Borse 受賞者発表
のんびりと構えている間に、いつの間にか発表されていた。第一回目の栄えある受賞者は、19世紀の歴史画を思わせるパノラマ写真を撮っているフランス人フォト・ジャーナリスト、ルック・ドラエ(Luc Delahaye)。イラクやアフガニスタンなど現代の紛争地帯を主に撮っている彼の写真は、「ルポタージュ写真の最高峰」、「政治とピクチャーメイキングとの溝を埋める」写真として高く評価されている。6月5日までフォトグラファーズ・ギャラリーにて展示。作品についての詳細はレビューで。

■ エミン ビデオインタビュー
ホワイトキューブでの個展まで秒読み段階に入ったトレイシー・エミン。ショーの前になるとメディアへのサービスが良くなり、先日も某紙で、ブリックレーンで某有名スターの警護にあたっていた非番の警官に食って掛かったとか書き立てられていたが、その彼女が今度はテートに登場。意外にも真剣に作品について喋っている。彼女の生の声を聞けるレアな機会なので、日本の方は特にお見逃しなく。こちらから。

■ The Greatest Painting in Britain
本や映画、コメディーなどでお馴染みの「Greatest」シリーズだが、今回はなんと絵画が対象に。ナショナルギャラリーBBCラジオ4トゥディがコンビを組み、「あなたが好きな一枚」の投票が全国規模で行われる。投票は国内の者であれば誰でもOK。対象となる作品は、現在英国に存在する絵画であれば何でもOK。ターナーであろうがデミアン・ハーストであろうが、国内の作家であろうが国外の作家であろうが、選択は自由。投票の経過は、同ラジオ局のウェブサイトと、同局の番組「Today Programme」で7月から6回にわたり放送。投票の結果は、9月にナショナル・ギャラリーにてライブ中継される予定だ。(トコ)

 

5月17日

青山悟インタビュー
 

悟くんのお部屋?」や「Boys Who Sew」などでフォグレスでもお馴染みの青山悟さんにインタビューをしました。今回お邪魔した先はサウスロンドンにある青山さんのスタジオ。来月ミズマアートギャラリーで発表される新作はもちろん、普段どんな感じで制作をしているのか、その現場をじっくりと覗かせていただきました。

今回その現場をしっかりとカメラに収めてくれたのが、フォグレス久々の登場、オノ・ヨーコ展などの撮影でお馴染みの栗田敬子さん。最近自分のサイトもリフレッシュしたとのことなので、そちらも一緒にご堪能下さい。この冬に撮ったアイスランドの写真が特に見ごたえあります。(トコ)

 

5月4日

まとめて…
 

トレイシー・エミン @ ホワイト・キューブ
「セックスのことを考えると… 自分がどんなに孤独に感じてるか、よくわかるの。触って、抱きしめて - 息を感じて、匂いを確かめて、って考えるだけで。で、生きるのが怖くなるの。私は、感情が高ぶるたびに戦ってる、狂った戦士。でも、外からみた私は、中からみた私とは違うの」。トレイシー・エミン、2005

 
Tracey Emin
When I think about sex…
White Cube
050526 - 050625

訳していて、むずがゆくなるような文面だが、トレイシー・エミンの展覧会決定の案内が、上の直筆メッセージが書かれた画像とともに送られてきた。具体的な展示内容についてはまだ未発表だが、この文面からすると、たぶん今回もいつもと同じ、私生活たっぷりの暴露系と期待できそうだ。ファンの方、お見逃しなく。
Tracey Emin, White Cube, 050527 - 050625

カラヴァッジョ展 時間延長
「予約待ち3時間」とか、「今日はもうダメって言われた」とか、始まってそろそろ二ヶ月半というのに、いまだに衰えを知らぬカラヴァッジョ展。遠方から来た人のなかには、門前払いを食らい憤慨して帰った人もいると聞くが、そんな怒りにおののいたのか、それとも、ただ単に稼ぎ時だと思ったのか、ナショナルギャラリーが展示最後の一週間、開館時間を延長することを発表した。16日〜20日、22日は夜9時まで。21日の土曜日は、ライブ・ミュージック&ドリンク付でミッドナイトまで営業するという。あぶれ組みの方、お忘れなく。
Caravaggio: The Final Years, National Gallery
050223 - 050522

 
Michelangelo Merisi da Caravaggio
David with the Head of Goliath, 1606-10
oil on canvas 125x101cm
Museo Galleria Borghese, Rome, inv. 455
© 1990, Photo SCALA, Florence - licensed by the Ministero per i Beni e le Attivita Culturali

イーストエンドに新ギャラリー誕生
ICAのオノ・ヨーコ展などに使われてきた、ヴィクトリア・ミロ・ギャラリーの隣りの建物に、非営利の展示スペース、パラソル・ユニットが誕生した。財団形式をとるこちらの団体のディレクターは、ニューヨークのスイス・インスティテュートの初代ディレクターを務め、99年以来英国をベースにしているZiba De Weck。展示方針は、企画展重視型のクンストハレ的なもので、今日から始まったショーでは、ベルギーの作家、ミヒャエル・ボ-マンス(Michael Borremans)の絵画が展示されている。

かつて工場だった、4階建てのこの建物。そのロケーションとサイズ、ユニークなキャラクターゆえに、これまでに色々な展覧会に使われてきたが、所有者はそのお隣にギャラリーを持つヴィクトリア・ミロ夫妻とのこと。パラソル・ユニットが入る一階と二階をのぞく他の階は、今後、こちらの夫妻の私宅として使われることになるらしい。こちらの建物の並びには、クリス・オフィリとピーター・ドイグのスタジオもあることだし、Wharf Roadはさしずめミロ帝国といった感じだろうか。
Paraso Unitl, 14 Wharf Road, N1 7RW
Michael Borremans, 050504 - 050630
詳しくはギャラリーのサイト

ベックス・フューチャーズ受賞者発表
少々遅くなったが、ベックス・フューチャー図の結果が出たのでサクッとお知らせ。今年の受賞者は、オックスフォード生まれ、幼少をカナダで過ごし、後に英国に戻りロンドンのセント・マーティンス・スクール・オブ・アートを卒業した、クリスティーナ・マッキー(48)。作品は、木の塀に花柄の岩、花柄パターンのスライド画像の三つを組み合わせた、なんとなく首を傾げたくなるようなインスタレーション。

 
Christina Mackie
Version 2: Part 1,
Beck's Futures
ICA, London

今年の作品群の傾向は、審査員団によると、「アンチ・センセーショナル」な作品とのこと。先月就任したばかりのICAのディレクターは、マッキーの受賞理由を、「穏やかながらも、人をひきつけるクオリティーがある」、審査員の・ヴォルフガング・ティルマンスは、「瞬間的な解釈に対する抵抗力がある」とコメント。物は言いようと感じなくもないが、授賞式は、プレゼンターにポップアートの大御所リチャード・ハミルトンを迎え、華やかに執り行われたようだ。(トコ)
Beck's Futures 2005, ICA, 050318 - 050515


2005年1月へ
 
2004年11月へ
&&
 


Top

Home

 

 


fogless.net
e-mail: editor@fogless.net
This site has been designed and managed by Toyoko Ito (Toko) copy; 2000-2010 All Rights Reserved
このサイトは伊東豊子(トコ)によってデザイン及び管理・運営されています。本
サイト内で用いられているコンテンツ(文章・画像など)を無断で複製・転載・転用することはできません。

 

 

 

このページの掲載内容

トレイシー・エミン参上!(5.27)

バンクシー、大英博物館からお墨付き?(5.27)

展覧会レビュー
インカ・エッセンハイ(5.27)

まとめて・・
*Photo-London 2005
*Art South Central
*近藤正勝
*Deutsche Borse
*エミン・インタビュー
*Greatest Painting in Britain
(5.20)

青山悟インタビュー(5.17)

まとめて…
*エミン@ホワイト・キューブ
*カラヴァッジョ
*イーストエンド
*ベックス・フューチャーズ (5.4)