12月5日

ターナー賞2005受賞者発表

 

文化担当大臣いわく「アート界のオスカー」ことターナー賞の今年の受賞者に、オンボロの「小屋」を展示したサイモン・スターリングが選ばれた。

スターリングの受賞の挨拶は、「ラッキー」の連発。「ボートを作ろうと思った小屋の壁にパドルがあってラッキーだった。(中略)ダレン・アーモンド、ジリアン・カーネギー、ジム・ランビーら尊敬している作家の中から選ばれてダブル・ラッキーだった」。

 
ターナー賞を受賞したサイモン・スターリングのShedboatshed.

スターリングの受賞の中心となったのが、手の込み入ったエコな小屋。ライン川河畔にあった小屋を解体して、ボートに組立て直して、それに残った材木を積んでライン川を下り、バーゼルの美術館まで運んで行って、そこで再び小屋に建て直して展示したという代物。

その彼の作品全般に通じる特長が、事細かな説明を読まないと、目の前の物を見ただけでは不可解なこと。これを中継番組のプレゼンター、マシュー・コリングスは「リサーチベイスト・アート(research-based art」と呼び、新タイプのアートが公衆にお目見えしたことを強調。

去年はデモ行進を企画したり、過去に起きた暴動を再現する「事を起こす」作家ジェレミー・デラーが受賞した。が、今年は学者も顔負けのリサーチアーティスト。それもどこか猿岩石的発想のプロジェクトに(例が古くてすみません)、真剣に、アカデミックに、取り組んでいるアーティスト。

新境地の開拓は美術界にとって喜ばしいことだが、これで能書き付きの作品がお墨付きを得てしまったようだ。60行の解説文。作品を読ませるのではなく、活字を読ませる作品がこれからも続々と出てくることになるのだろうか。

今回の賞のプレゼンターはごく無難に文化大臣という人選だったが、受賞者の名前を読み上げる前のスピーチで彼が言った、評論家が激論を交わしている対象者が「コンセプチュアルな天才(conceptual genius)」か「コンセプチュアルなはったりか(conceptual bullshit)」という言葉が印象に残った。

それと、テートの館長が、今日付けで理事を辞任するこおになったクリス・オフィリに感謝の気持ちを表すコメントを、業界が注目するこの席で述べたことも印象的だった。

ここ数ヶ月、テートがクリス・オフィリの13枚の絵画で構成された『The Upper Room』(約1億2千万円)を購入したことが、マスコミに非難されていた。オフィリは購入に関する会議すべてを欠席したと言われているが、テートの理事であることが非難の対象になっていた。テートは『The Upper Room』を得て大満足しているときっぱりと断言したところが、マスコミへの挑戦といった感じで興味深かった。

…………

読みに来て下さっていた方々、
長い間アップデートできなくてごめんなさい。仕事でドタバタしていました。(トコ)

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ターナー賞2005受賞者発表
(12.05)