1月30日

まとめてニュース

 

 デミアン ガゴーシアンに凱旋
去年5月にガゴーシアンのヘドン・ストリート店でデイヴィッド・ベイリーとの共同作品を発表したデミアン・ハーストが、今度は同ギャラリーのブリタニアストリート店に登場する(2月3日〜3月26日)。

一般初公開となる今回の展示品「The Four Evangelists」は、イタリアのコレクター、カーロ・ビロッティ(Carlo Bilotti)から依頼を受け制作した平面作品4点。本展示終了後には、ローマ市内の教会内に展示されることになるかもしれないという噂で、ビロッティ氏とローマ市長との間で近々話し合いが持たれるようだ。(詳細はThe Art Newspaper今月号で)

■ デミアン ギャラリーも?
こちらはデミアン・ハーストが自分のギャラリーを開こうとしているという話題。The Art Newspaperによるとハーストのギャラリーは、現在自作が保管されているVauxhallの倉庫を改築して開かれる予定。

現在建築家にアプローチ中とのことで、完成はまだ先のこととなりそうだが、目指すところは鑑賞の場に学習と娯楽性を兼ね添えた施設。自作に捧ぐ展示スペースのほかに教育施設、カフェが完備されるとか。「鮫」はアメリカに渡ることになってしまったものの、ここ一年間サーチから自作を買い戻していたハースト。それらの行き場となるのでしょうか・・・。

■ テート・モダン スペース拡大計画
サーチの作品寄贈オファーをめぐるすったもんだで、館内に使われてない「オイルタンク」があるなど構造上の不思議が明らかになったテート・モダン。こちらで今度は建物内の変電所が話題に。

テート・モダンの館内南側には、電力会社EDF Energyが管理する変電所があるそうなのだが、この度その設備改良に伴い変電所のスペースが縮小化することになったとか。その分テートが使えるスペースが増え改築が行われることになった。設計を担当するのは、このテート・モダンの設計者であり、東京青山のプラダの設計でも知られるヘルツォーク&ド・ムーロン。展示室や学習室など館内の設備だけでなく、建物の周辺エリアも同時に改善されるらしい。

■ ホワイトチャペル 展示室が二倍に?
Faces in the Crowd」が大盛況のホワイトチャペル・アート・ギャラリーでも、総工費9.99ミリオンポンド(約19億円)の増築案を先日発表。

ベルギーの建築家Robbrecht and Daemによる増築案によると、ホワイトチャペルのスペースは今の二倍、ギャラリーに隣接する旧図書館の建物まで拡張されることになる。また、路面階には拡張された書店に加えレストランが新たに出来る予定。完成は2007〜2008年を予定。

■ フォトグラファーズ・ギャラリーも?
規模は上の二つに比べ小さいながらも、レスター・スクエアにあるフォトグラファーズ・ギャラリーでも、2月下旬から4月上旬にかけて改築工事が予定されている。

フォグレスが聞きつけた噂によると、こちらのギャラリーは数年後に移転を予定、既にロンドン中心部に物件を購入済みだとか。このことが影響しているのか、今回の改築はGreat Newport St 5番のホール部分と8番の書店のみの小規模なものとなる。(トコ)

Gagosian
Tate Modern
Whitechapel Art Gallery
The Photographers' Gallery


1月23日

展覧会プレビュー

 

今月から来月にかけて始まる、foglessお勧めの展覧会を選んでみました。今回のセレクターは、先月からヘルプしてくれているアーティストの一郎太くんです。(左のサムネイル・イメージをクリックして下さい)

1月23日

余談…
 

平川典俊インタビュー @ DAZED&Excite
「糞」を使ったパフォーマンスで去年のフリーズ・アート・フェアの話題をさらった平川氏。10月のフォグレスでのレポートに続き、ロング・インタビューをDazedさんに寄稿させて頂きました。(トコ)
排泄物に託した戦い


1月18日

ハーストの「鮫」 アメリカに

 

クリスマス直前に流れた「サーチが鮫を売ろうとしている」という噂が本当になった。

ブリット・アートの最高峰と言われるデミアン・ハーストの「鮫」の行き先は、遠く海を越えたニューヨーク。購入したコレクターの素性は明かされてはいないが、昨年11月に盛大にリニューアルオープンしたMoMAに展示されることになっている。

売買はディーラー界の帝王ラリー・ガゴーシアンを仲介に、7ミリオンポンド(約13億円)で決着がついたとのこと。14年前にサーチがハーストに払った金額が50,000ポンド(約900万円)、ハーストが捕獲代としてオーストラリアの漁師払った金額が6,000ポンドというから凄まじい儲けだ。

ハーストの「鮫」こと「The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living」(91)は、90年代にチャールズ・サーチ扇動のもと、「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれる作家を中心に英国で起きた現代アートムーブメントの最高傑作とされている。

そんな重要作が国外に流出することになり、最も打撃を受けていると言われているのが、ゆくゆくは「鮫」を譲り受けることができると期待していたテート・モダン。4館合わせての年間運営費が「鮫」のおよそ一割程度と言われるテートは、今回の売買においては完璧に蚊帳の外だったようだ。

サーチ・ギャラリーでは今月下旬から、これまでのYBA路線から180度方向を転換し、ヨーロッパで活躍する画家にフォーカスした新企画「The Triumph of Painting」が予定されている。路線変更にピリオドを打ったとも言える今回の取引。一つの時代が終わったことを感じずにはいられない。(トコ)

参考資料:
The Timesの記事
The Independentの記事


1月8日

美術品泥棒 獄中で自殺未遂

 

美術品を盗んだうえに、母親がいつの間にかそれを捨てていたという間抜けな泥棒の裁判がフランスのアルザス州ストラスブールで始まった……と始める予定だったが、事情が変わった。

この男、裁判初日の後、獄中にて自殺を図ろうと試みた。

「母にすまなかったと思っている。母を刑務所に送ったら死んでしまう」「悪いのはすべて僕。償いをしようと思った」とその心境を語っている。

元ウェイターのこの男、ステファン・ブライトウィーザー(Stephane Breitwieser, 33)が盗んだのは、ピーター・ブリューゲルやデューラーなどルネッサンス後期の名画を含む美術品239点。

2001年11月にスイスの美術館で捕まるまでの7年間、ヨーロッパ7カ国の美術館から、価格にして1200億円相当(614ミリオンポンド)の美術品を盗んでいた。

スイスの法廷で4年間の刑に処された後、去年7月に故郷アルザスに身柄を送還。が、この男を一躍有名にした悲劇はその服役中に起きてしまった。

自宅に溜め込んでいた盗品を骨董品程度にしか思わなかった母親ミレーユ・ステンゲル(Mireille Stengel、53)が、逮捕された息子への戒めから処分してしまったのだ。フレームを斧で割り、キャンバスをシュレッダーに掛け、残りを運河に投げ捨てた、と報道されている。

幸いにもその後の捜索で、バロック期の聖杯や象牙の彫り物など127億円相当の品々が運河から引き上げられたが、クラナッハの「Princess of Cleves」や、ブリューゲルの「Cheating Benefits its Master」を含む多くの美術品が帰らぬものとなった。

「泥棒紳士」とこちらのメディアが呼ぶこの男は、熱烈な美術愛好家として評判だ。アルザス地方の著名な画家、ロバート・ブライトウィーザーを大叔父に持ち、子供の頃から美術に余念が無かったという。

一時はファイン・アートへの道を志し、ルーブル美術館併設の美術学校を受験したこともあったが、残念ながら望みは適わず。代わりにホテル経営を学びその道へと進んだそうだが、美術への関心はその後も衰えなかったという。

彼が好んでターゲットにした美術館は、警備の緩い地方の美術館がほとんど。スマートな身なりをして母親のBMWに乗りまわす彼は、訪れる先々で美術コレクターとして十分通用したようだ。盗んだ美術品は自宅で大切に保管され、売却されることはなかったという。

ブライトウィーザーには3年間の禁固刑(うち10ヶ月の執行猶予)、母親ミレーユには3年間の禁固刑(うち18ヶ月の執行猶予)、また一部の盗みに協力した彼の元ガールフレンドにも実刑判決が下されている。(トコ)

参考資料:
The Independentの記事
BBCの記事1
記事
The Timesの記事
The Guardianの記事1記事2

1月5日

2005年ロンドン 展覧会ハイライト

 

明けましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしく
お願い致します。

■ ジャパニーズ・パワー
年明け初っ端から目立っているのが、日本人アーティストの存在。とは言っても、ここで紹介するのは、よくいる「日本」を売りにしている作家とは違う、国を超えた人たち。なので日本人枠で括ってしまうのは少々気が引けますが、そこは年初めのご愛嬌ということでお許しを(敬称も省略させて頂きます)。

 


Mika Kato
Constellation, 2004
Courtesy Jay Jopling/White Cube (London)

まずは、一年ぶりのロンドン登場となる宮島達男。今月21日から、ロンドンの現代美術系ギャラリーの老舗、占有面積が以前所属していたエントウィッスルの3倍はあろうかというリッソン・ギャラリーで個展がスタートする。また同じく21日には、ホックストンスクウェアに臨むホワイト・キューブでも、加藤美佳展が始まる。質、広さ、知名度ともにリッソンの良きライバルであるこちらのメイン展示室で日本の作家が紹介されるのは、2001年の杉本博司展以来のこと。リッソンの方はというと、……記憶になかったりします(60年代にここでヨーコ・オノが展示をしたという話は聞いたことがありますが)。

若手組みでは、日本育ちの英国人作家、ピーター・マクドナルド(Peter McDonald)が、13日からイーストエンドのケイト・マックギャリー(Kate MacGarry)で個展を開催(日本人で括っていいのかな…と思いつつも、強引に入れさせて頂きました)。また、今月19日からは、去年スレイド・スクールで修士課程を修了した伴美里が、ノッティング・ヒルのアーティスト・アイ(Artist Eye)で二人展を開催。

 


Tomoko Takahashi
Deep Sea Diving/Dive 2: Parking 2002
Installation at Kunsthalle Bern, Switzerland
Photo courtesy of the artist and Hales Gallery
© 2004 Tomoko Takahashi
Photo: Dominique Uldry

そしていよいよお待ちかね。来月22日からは、2000年のターナー賞候補、高橋知子の個展がサーペンタイン・ギャラリーで始まる。雑貨にオモチャ、ゲームに機械など、彼女が見つけた何千もの「ガラクタ」によって、ギャラリー内がゴミ廃棄場のように変わり果てるとか。噂によると、「ガラクタ」のお持ち帰りもOKみたい。

さらに3月には、英国の現代絵画の賞「John Moores 23」に今年入選したMiho Satoの個展が、ウェストエンドのドモ・バール(DomoBaal)にて開催予定。4月には、Kazら三年前の「Undertow」展のメンバーが、新たに若手を加えてイーストエンドのフォーダム(fordham)でグループ展を予定。

また夏以降は、ブリストルに改築オープンするアーノルフィニのオープニング展に、去年11月にガーディアン紙で注目の若手作家7名に選ばれた土屋信子が参加。10月には荒木経惟の大型展がバービカン・ギャラリーで開催され、12月には先月新聞を賑わした鈴木友昌のキリスト降誕のシーンがトラファルガー広場を飾る。(トコ)

* Tatsuo Miyajima @ Lisson Gallery, 050121-050305
* Mika Kato @ White Cube, 050121-050219

* Peter McDonald @ Kate MacGarry, 050113-050220
* Misato Ban @ Artist Eye, 050119-050224
* Tomoko Takahashi @ Serpentine, 050222-050410

* Miho Sato @ DomoBaal, March 05
* Illumination @ Fordham, April 05
* Nobuko Tsuchiya @ Arnolfini, Summer 05
* Nobuyoshi Araki @ Barbican, 051021-060122
* Tomoaki Suzuki @ Trafalgar Sq, Dec 05 (The Gurdian)

■ アフリカの番
何年か前に「ジャパン・イヤー」というのがあったが、今年はアフリカの年。「Africa 05」というタイトルのもと、同大陸の文化が、音楽、演劇、映画、ビジュアル・アートなど様々な分野で紹介される。

その中でも最も盛大なイベントとなるのが、2月10日からヘイワード・ギャラリーで始まる、その規模ヨーロッパ過去最大、25カ国60名のーティストが参加するアフリカ現代美術展「Africa Remix: Contemporary Art of a Continent」。去年の夏にデュッセルドルフを皮切りに始まったこの巡回展は、「都会と田園」「歴史とアイデンティティー」「体と魂」の三部構成を取るもの。アフリカ現代美術の最前線に位置する、過去五年間に制作された作品が、絵画から映像まで幅広く紹介される。

 


Samuel Fosso, (Zentral-Afrika) Le Chef, 2003. Courtesy the artist Centre d'art et de culture Georges Pompidou, Paris


ロンドンの後は、パリのポンピデュー・センター、東京の森アートミュージアムへと巡回。主な出品作家には、南アを代表する写真家のデイヴィッド・ゴールドブラッド、去年のターナー賞候補者ユンカ・ショニバーレをはじめ、ガーダ・エイマーエル・アナツイジェーン・アレクサンダーなどが含まれている。

今年3月には、ロンドン南東のサウス・ロンドン・ギャラリーでも、ナイジェリアはラゴスを拠点に活動する写真家たちの展覧会「Depth of Field」が開催される。こちらの展示者は、2001年に結成された展覧会と同名のアーティスト・グループに属す若手6名。二十年後には世界三位の人口都市になっているであろうと言われるラゴスのストリート・ライフが写真を通して綴られる。また6人が撮影したサウスロンドンの写真も一緒に展示される。ドキュメンタリー写真の伝統に則りながらも、絵画的かつ立体的と語られる表現スタイルに定評があるようだ。

また夏にはフォトグラファーズ・ギャラリーでも、アフリカ際に因んだ写真展「ガイ・ティリム(Guy Tillim)」が開催される。「African Remix」にも出品が決まっている南ア出身のティリムは、アフラピックスやロイターなどの写真家集団や通信局を経て、フリーで活躍する報道写真家。アフリカ南部の人々と風景を撮った写真で主に知られ、本展では、独裁者モブツ・セセ・セコ政権崩壊後にコンゴ民主共和国で撮影した作品がハイライトとなる。コンゴ初の民主的な選挙が期待される今年、ティリムの写真は独裁政権の崩壊と内戦を後にし平和国家を目指すコンゴの歴史の一頁を刻む。(トコ)

 


Guy Tillim
Mobutu痴 lootedbedroom at Gbadolite. It was thelast place he stayed in the Congo before he fled to Morocco in 1997

* Africa Remix @ Hayward Gallery, 050210 - 050417
* Depth of Field @SLG, 050310-050430
* Guy Tillim @ Photographers' Gallery,050811-050925


■ ブロックバスターズ
まず期待したいのが、今月26日からサーチ・ギャラリーで始まる「The Triumph of Painting」。欧米でいま最も注目を浴びる画家に焦点をあてたこの企画は、180度方向転換したサーチの新路線第一弾。同ギャラリーの代名詞である、デミアン・ハーストらヤング・ブリティッシュ・アーティストを館内から一掃し、マルレーネ・デュマスリュック・タイマンスヨルグ・イメンドフなどの欧米の画家のみに一挙集中。現代美術界の仕掛け人としての復活になるかどうか、業界が注目している。

 


Marlene Dumas
Young Boy (detail), 1993,
Oil on canvas
100.3 x 300 cm
The Saatchi Gallery, London
Photo:© toko 2004

この春の話題になりそうなのが、アートエンジェル企画による、去年のターナー賞候補者カトルーグ・アタマンの展覧会。昨年10月にカーネギー・インターナショナルで初公開された今回の展示品「Kuba」は、60年代に左翼系過激派の住処になった、イスタンブールのゲットーを対象とする映像インスタレーション。アタマンは本制作のために、このKuba(クバ)と呼ばれる自給自足のコミュニティーに一年以上も滞在したという。そこの人々の暮らしぶりが、住民40人の口を通じて紹介されるという。本展はロンドンの後、シュトゥット・ガルト、ウィーン、シドニー、イスタンブールへと巡回する。

春から夏にかけてはお待ちかね、一年近くもお預けになったサーペンタイン・パビリオンが、いよいよお目見え。オランダの建築家ユニットMVRDVの設計による今回のパビリオンは、ギャラリーの建物全体を「山」のようにすっぽりと覆ってしまう、本企画始まって以来の大胆なもの。来館者は山の傾斜面に設けられた道を歩いて、高さ23メートルの頂上に登ることが出来るとか。また山腹にはカフェが作られ、ここで寛ぎながら景色を眺められるようになるとか。期間中にギャラリー内で催される展示も、パビリオンと呼吸のあったユニークな企画になるという。

 


Serpentine Gallery Pavilion 2005
Designed by MVRDV with Arup
Exterior viewpoint south and Gallery entrance
© 2004 MVRDV

これらの他にも、デート・モダンでヨーゼフ・ボイス(2月〜)、フリーダ・カーロ(6月〜)、ジェフ・ウォール(10月〜)。カムデン・アーツ・センターでタシタ・ディーン(2月〜)。バービカン・ギャラリーでクリスチャン・マークレー(2月)、サウス・ロンドン・ギャラリーでマーク・ダイオン(7月〜)と、見ごたえのありそうな作家が続々と登場する。
(トコ)

* The Triumph of Painting @ Saatchi Gallery, 050126
* Katlug Ataman @ Artangel, 050322-051008
* MVRDV @ Serpentine, 050503-050918

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このページの掲載内容

まとめてニュース・(1.30)
*デミアン ガゴーシアンに凱旋
*デミアン ギャラリーも?
*テート・モダン スペース拡大計画
*ホワイトチャペル 展示室が二倍に?
*フォトグラファーズ・ギャラリーも?

展覧会プレビュー(1.23)
*メラニー・モンショー
*クリスチャン・マークレー

余談…(1.23)
*平川典俊

ハーストの「鮫」アメリカに(1.18)

美術品泥棒 獄中で自殺未遂(1.8)

2005年ロンドン展覧会ハイライト (1.5)