10月14日

展覧会情報
 

明日からいよいよフェアが始まりますが、今日はそのついでに楽しめる展示を幾つかご紹介。10〜11月期は一年の山場とあってターナー賞作家をはじめ大物が続々と登場します。

■ Bruce Nauman @ Tate Modern
いよいよ始まったテートのタービンホールを使った「Unilever Series」第五弾。エリアソンの後じゃハッキリ言ってやり難かろう・・・というのが業界の見方でしたが、さすが現代アート界の「神」。デカきゃいいってもんじゃないでしょ・・・という対抗メッセージ漂う意欲作を披露。見る物は何もない。あるのは音だけ。

ナウマンのサウンド・インスタレーション「Raw Material」は、ホールの壁と天井に34台のスピーカを設置し、過去40年間に渡って制作した自作からサウンド(厳密に言うと声)21点を摘出しコラージュしたもの。見るものはスピーカー以外何もありませんが、音、声、言葉が“raw material (素材)”として存在。エリアソンの「太陽」と違ってピクニック気分にはなれそうもありませんが、新鮮さはたっぷり。苦痛という声もありますが・・・。
041012- 050328, Tate Modern

 



Photo: Yuki Tawada

多くの作家から「神」と崇められているブルース・ナウマン氏。11日に開かれたプレス向けの内覧会では、「ミニマルな」反応のナウマン氏から何とか言葉を引き出そうと矢継ぎ早に質問が飛んだ。

なかには「長くてどれくらいあそこに居れますか?」とちょっと意地悪な質問もありましたが、「せいぜい2,3時間くらいしか居たことがないからね。しかも作業していたし…ここで働いている人がきっと教えてくれるよ」とさらりとかわされました。

■ Martin Creed @ Hauser & Wirth
こちらも同じく「空箱」の達人。何年か前のターナー賞の展示で電気がついたり消えたりする部屋を展示したあのお方。今回はビーチボールなどのカラフルなボールを沢山使った作品「Work No. 370: Ball」を展示。投げるも蹴るも自由。良い子に振舞う必要のない作品。(とは言ってもみんなかなり遠慮がちでしたが)

余談ですがクリード氏はナウマン氏をかなり崇拝しているよう。10日付けの某紙の記事に「彼はキングだよ。基本的にエルビスだね!」とコメント。閉めの文句、「…(彼の作品って)なんか馬鹿らしくて面白いよね」にご本人の作品とのパラレルを見ることができるような・・・。
041008 - 041030, Hauser & Wirth

■ Grayson Perry @ Victoria Miro Gallery
ターナー賞作家といえば去年の受賞者、女装の陶芸家グレイソン・ペリーの個展も今日からスタート(クレアと言った方が分かったりして・・・)。新作の壷14点とテキスタイルのほか、今回初めてドローイングが展示されます。16日にプライベート・ビューが予定されているようですが、クレアになって登場してくれるのでしょうか。
041014 - 041113, Victoria Miro Gallery

 



Photo: Toyoko Ito
こちらは去年のターナー賞での展示。

■ Steve McQueen @ South London Gallery
同じくこちらもターナー賞組み。つい先日まで横浜美術館の『ノンセクトラディカル』展に出品していたスティーヴ・マックイーン。作品は1977年に打ち上げられた宇宙探査機ボイジャーに搭載された116枚の写真を使ったスライド+サウンド・インスタレーション。焦点となるのは、宇宙人に向けて人間が語る「地球とは」「人間とは」。写真は著書『Cosmos』などで知られる天文学者カール・セーガン博士('96年没)が選んだものだそうですが、戦争、病気、貧困など汚点のない地球の描写にあなたは賛成できますか?
040917 - 041107, South London Gallery 

■ Paul Noble @ Whitechapel
こちらはドローイングという地味な媒体ながらも稀にみる感動的な展示。制作に8年、27作で構成されたファンタジーワールド「Nobson Newtown」から、「Nobson Central」「Mall」などメジャー作品が展示されています。マイオピックかつダイナミックな描写。今時こんな作家がいたのか・・・と感心してしまう職人魂。ポエティックかつユニークな発想。ノーブル氏はとてもシャイな方のようで、先日開かれたトークはものの2分足らずで終わってしまったとか。でも言葉はなくとも作品があれば十分。
040910 - 041114, Whitechapel Art Gallery 

■ Gregor Scheneider by Art Angel
実はこれぞ私の一押し。2001年のヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞をとったグレイゴール・シュナイダーによる『Die Familie Schneider in London』展。主催はレイチェル・ホワイトリードの「House」やマイケル・ランディーの「Breakdown」を手掛けたアート・エンジェル。

 



Die Familie Schneider
© Commissioned and produced by Artangel, 2004, Photographs by Thierry Bal

この展示のキーワードは「秘密」。イーストエンドの民家2軒がそっくりそのまま展示会場となっていますが、場所は当日訪れるまで秘密。鑑賞も完全予約制となっています。体験することが展示の全てとなっているため詳細については控えますが、世にも不思議な展示とだけ言っておきましょう。18歳未満にも相応しくないかもしれません。
041002- 050105, www.artangle.org.uk

■ Oliver Payne and Nick Relph @ Millers Terrace
水戸芸術館の『孤独な惑星 -- lonely planet』で紹介されたニック・レルフ&オリバー・ペインの個展。ロンドンでの展示はテートのトリエンナーレ以来。サイト・スペシフィックな作品が展示されるという。
Millers Terrace, 19 Millers Terrace, London, E8 2DP,
0781 333 9225, www.millersterrance.com

■ Sam Taylor-Wood @ White Cube
2002年の『Mute』以来二年ぶり。展示の中心は新作写真シリーズ「Crying Men」と「Self Portrait Suspended」。
041029 - 041205

■ Richard Wilson @ Program
サーチギャラリーの「油の部屋」の作者の個展。ファイリングキャビネットなどを解体してゴミの塊にした立体を発表。
041007 - 041113

■ Steven Gontarski @ The Economist Plaza
同じくサーチギャラリーや東京オペラシティーアートギャラリーの『JAM』展でもお馴染み、スティーヴン・ゴンタルスキの個展。
041016 - 041128
(トコ)

10月10日

ギャラリー・インデックス更新
 

長らく野放し状態だったギャラリー・インデックスを更新しました。ここ1,2年間に開廊したギャラリーを加えると共に、悲しくも消えてしまったヴェニューを削除しました(移り変わりの激しい業界だけあって、かなり変わっておりました・・・)。エリア別マップの方は只今準備中につきもう少々お待ちを。

イーストエンド
ウェストエンド
サウスロンドン
写真専門ギャラリー
美術館&メジャースペース

10月4日

フェアのシーズン到来!
 

今月のロンドンはアート・フェアで大忙し。二回目を迎えるFrieze Art Fairに新たに二つのフェア、Zoo Art FairscopeLondonが加わり、リージェンツ・パーク周辺はフェスティバルムード一色に包まれそうな感じ。

■ まずは、選考基準が一段と厳しくなったともっぱら噂のFrieze Art Fairから。会場は去年とおなじリージェンツ・パーク内。出展ギャラリーは、ホワイト・キューブやホーンチ・オブ・ヴェニソンなどロンドンの一流どころから、ニューヨーク、パリ、ベルリン、北京、テルアビブまで、世界各地から選りすぐられたギャラリー150軒。日本からはタカ・イシイギャラリーとギャラリー小柳が参加予定。

 



Photo: Miciho Yamazaki

なかでも注目したいのが作家10組によるコミッション作品で、今年のバーゼルでバロワーズ賞をとったアレクサンドラ・ミール、ホイットニー・ビエンナーレで注目を受けたロス・スーパー・エレガンテスなどが登場する。前者からは、「コレクターの娘」と題された自作アーティスト・ブックが来場者に無料配布される。後者はダンス・パフォーマンス「Slow Dance Club」を、アシュームド・ヴィヴィッド・アストロ・フォーカスによるサイケな空間で展開。

オフサイト企画で気になるのが、シティ・イン・ウェストミンスター・ホテルで開催されるニコラ・トラサルディ財団の展示。今年のターナー賞候補ジェレミー・デラーマーティン・クリードエルムグリーン&ドラグセットらが参加する「I'll Be Your Mirror」展が催される。トラサルディ財団はこの春ミラノを席捲したモーリツィオ・カテランの首吊り少年のインスタレーションをはじめ、'問題作'の展示に意欲的な団体。そんな団体のロンドンに上陸。何がどう出るのかが楽しみなところだ。
Frieze Art Fair, 041015 - 041018
1100 - 1900 (18日のみ1700終了)
入場料:12GBP/Day 24GBP/4Days

■ おなじくリージェンツ・パーク内、ロンドン動物園に会場が設けられるZoo Art Fairでは、オープン三年未満のロンドンのギャラリー26軒が集められる。その半数以上がアート指数の最も高いイーストエンドにスペースを構え、ロンドンのアートシーンに一役買っているカッティングエッジなギャラリー。One in the Other やMuseum 52など、フォグレスでもお馴染みのギャラリーが多数参加している。

 



Courtesy: Zoo Art Fair

フェアの発起人は、かつてチャーリング・クロス・ロードにあった美術書店Zwimmerでギャラリーを運営していたデイヴィッド・リズリー氏。敏腕キュレーターとしてロンドンでは一目おかれた存在で、現在はオールドストリート界隈に自分のギャラリーを所有している。PRの方も熱心なようで早くも先月中旬、プリンス・チャールズ・シネマで業界人を招いてのプレ・パーティーが開かれた。フェア前日の15日にもデイズド&コンフューズドのスポンサーのもと盛大なパーティーが開かれるようだ。
Zoo Art Fair, 041016 - 041018
1200 - 2030 (18日のみ1700終了)
入場料:6GBP/Day 24GBP/4Days

■ ScopeLondonの会場もリージェンツ・パーク周辺、Albany Stにあるホテル、メリア・ホワイトハウス(Melia White House)。ギャラリーのみならずキュレーターやアーティスト個人も含めた約50組が出展を予定。客室はもちろんロビーや通路までもがアートづくめになるようだ。イベントは15日夜9時から始まるパーティー、Culture on the Vergeでスタートする(夜中の2時まで続く)。

またアートに限らず映画や音楽まで楽しめてしまうのが、scope Londonの嬉しいところ。会期中通しで行われるcinemaScopeでは、来年のSundance Film Festivalで上映予定のインディーズ映画が上映され、soundScopeでは新進気鋭のサウンドアーティストやDJが腕前を披露するという。
scopeLondon, 041015 - 041018
入場料:7GBP
(トコ)

10月1日

復活!まとめてレポート
 

一ヶ月と?日ぶりの書き込みです。見に来てくれていた方々ごめんなさい。しばらく横浜に戻っていました。滞在中に色んな方から、「日本は今、西の方が面白い」と聞き、直島をはじめ(遠かったなあ〜)、丸亀、大阪、近江八幡などの美術館を回ってきました。こちらについての私見は、いずれまた時間のあるときに・・・。

■ ということで、久々のロンドンのアート情報。まずは今日から始まったF-EST 2004。3日まで開かれているこちらのイベントは、今年で早3年目、公営・商業あわせてギャラリー80軒が参加するイーストエンドのギャラリー・ツアー企画。小汚さがヒップなホックストンスからただショボいベスナルグリーンまで、ツアー10コースが用意されています。

お勧めは、先月ニュー・スペースがお披露目になったヘイルス・ギャラリー(Hales Gallery)を含む、コース1と9あたり。ヘイルスが移転したティー・ビルディング(Tea Building)は、昔の紅茶の倉庫を改造した貫禄のある建物。新たなクリエイティブスポットとして注目を集め、アンドリュー・マメリーー・ギャラリー、ギャラリー@ワン・トゥーのほか、日本でも人気のデザイナー集団トマトなどがここに入っています(最後の二つはツアーには含まれていません)。詳細はこちらで。

■ 少し留守にしている間にこちらでも色々とあったようで、7月にインタビューを掲載したステラ・ヴァインが、ギャラリーRosy Wildeを閉めて制作に専念することを決定。バービカンにあったギャラリーは先月下旬にオークションに出されたそう。現在はイングランド北部アニックにあるベイリフゲート美術館(Bailiffgate Museum)で作品を展示中。このあとはイスラエルでも展示が予定されているとか。アニックでの展示についてはBBCのサイトで。(嬉しいことにフォグレスにリンクしてくれてました!)

■ ジョン・レノンの故郷リバプールでは、オノ・ヨーコ作の「胸」と「股」の巨大ポスターが話題に。国際美術展リバプール・ビエンナーレの一環として展示中のこの作品は、My Mummy Was Beautifulと題されたレノンの母に捧ぐもの。ジョン・レノン空港からゴシック様式の教会までそこらじゅうに貼られているという話ですが、その露な描写に気分を害する住民も少なくないとか。インディペンデント紙の報道によると、レノンの片親違いの姉ジュリアさんまでもが、美術展のオーガナイザーにポスターの一部展示取下げを要求したとのこと。

■ テート・ブリテンのトークで、チャップマン兄弟の兄ディノスが、いまホラー映画を製作中と発表。大のホラー映画ファンという彼の一押しは、子供の頃に見たヒッチコック監督の「鳥」。音は出るけれど画像が映らないテレビと、画像は映るけれど音の出ないテレビを二台あわせて見たそうな。最後の方で軽く日本のホラー映画について触れ、日本のはよくコメディー的要素が加わっていて、西洋のものとはだいぶ違うと思うとコメント。その後トモ子ちゃんと、「でもさあ〜、チャップマンの作品こそ、そんな感じじゃない?自分の作品のこと、あんまし分かってないんじゃない?」と意気投合。公開は来年だとか。

■ トレイシー・エミンの展示室が、テート・ブリテンに登場したという話。展示品はスペルミスが自慢の刺繍入り"毛布”、バーの看板にぴったりな"ネオン"、上手いのか下手なのか判断に困るドローイングなど色々。テートに堂々と納まってアーティストとして登りつめたエミンさんですが、最近は映画制作にご執心。10月20日から始まるロンドン・フィルム・フェスティバルで、初のフィーチャーフィルムが上映されるとか。でもまあ自伝的という点では変わらないようですが・・・。(それにしてもホワイト・キューブの作家はよく気が合いますねぇ。)(トコ)

2004年11月へ
 
2004年8月へ



Top

Home


  
 
  
   






fogless.net
e-mail: editor@fogless.net
This site has been designed and managed by Toyoko Ito (Toko) copy; 2000-2010 All Rights Reserved
このサイトは伊東豊子(トコ)によってデザイン及び管理・運営されています。本
サイト内で用いられているコンテンツ(文章・画像など)を無断で複製・転載・転用することはできません。

 

このページの掲載内容

展覧会情報(10.14)
B・ナウマン
M・クリード
G・ペリー
S・マックイーン
P・ノーブル
G・シュナイダー他

ギャラリー・インデックス更新 (10.10)
イーストエンド
ウェストエンド
サウスロンドン
写真専門
メジャー

フェアのシーズン到来!(10.04)
Frieze Art Fair
Zoo Art Fair
scopeLondon

復活!まとめてレポート(10.01)
*F-EST2004
*S・ヴァイン
*チャップマン兄弟
*T・エミン