1月30日

まとめて・・・

 

■ エミンに続いてデミアン・ハーストも慈善行為に。寄付を目的に競売にかけられることになった作品は、去年ホワイト・キューブでの個展で公開された蝶を使った絵画と女の子の巨大彫刻「Charity」のミニチュア版。寄付の相手先は、「Charity」のもととなった募金箱を生み出した脳性麻痺支援団体SCOPE。15万ポンドの売上が予想される競売は、来週木曜日にサザビーズにて行われる。

 


デミアン・ハーストのの「Charity」。ホワイト・キューブでの個展にタイミングを合わせ、去年秋にホックストン・スクウェアに展示された。

■ スケートリンクが大人気のサマセット・ハウスに一般向けの教育センターがオープン。コートールド美術館ギルバート・コレクションエルミタージュ・ルームが入る建物内に開設されたこちらの施設は、これらの美術館が抱える美術品についての教育を提供する場。開設を記念し昨日、コートールド・ギャラリーが所蔵するセザンヌの名画「The Card Players」の前で、小学生二人が同絵画をベースにしたパフォーマンスを披露した。詳細はこちらで。

■ 全国的に吹雪に見舞われた28日、フォグレスでもお馴染みのアート・イベント「Minus One」がオープンを迎えた。さっそく会場であるオールドウィッチ駅にお邪魔してみると、国内外の作家30人による作品が、古い駅に溶け込むように静かに展示されていた。イベントのハイライトである田中紀子さんと船木美佳さんによる「Happy Hour」は今晩催されるとのこと。


 


「Minus One」の展示会場。写真中の作品は山崎理生さんの印象的な写真二点。

■ 少々前になりますが今月19日に、いまアンソニー・レイノルズ・ギャラリーで個展開催中のマーク・ウォリンジャーが、ロンド中心部の映画館で自作映画第一号を発表した。観客から「マーク・ロスコのようだ」と声が飛んだ33分間にわたる映画は、灰色のスクリーンが果てしなく続く、視覚的に限りなく「無」に近い世界だった。

 


ウォリンジャーの「The Lark Ascending」は、ソーホーの映画館プリンス・チャールズで公開された

イギリス人にとって特別な鳥「ひばり」をモチーフにしたこの作品は、英国の作曲家ヴォーン・ウィリアムズ作「揚げひばり」から発想をえて制作されたもの(ちなみに「揚げひばり」はジョージ・メレディスの同題の詩をベースに作曲されている)。ウォリンジャーの映画は、ひばりの鳴き声が前衛っぽい人工音で綴られた、「サウンドでできた映画」だった。(正直言って、灰色の画面を前にしての33分間はかなり長く感じられました・・・)(トコ)

1月28日

まとめてニュース

 

■ トレイシー・エミンの「Just Love Me」と書かれたネオン・サインが26日、ロンドン東部にあるハックニー・エンパイアー(劇場)に取り付けられたとの情報をキャッチ。こちらの作品は、百年の歴史をもつ同劇場の改築を援助するために作られたもの。来週早々オークションにかけられ、売上金は教育施設やバーが入る新館の建築資金として寄付されるみたいだ。Hackney Empireのサイト

■ ターナー賞を逃したチャプマン兄弟からは、トラファルガー広場の「空の台座」の使い道についてコメントが。この台座をめぐっては現在レースが進行中で、候補者6名の作品(模型)がナショナル・ギャラリーで展示中だ。なかでも評判なのがサラ・ルーカスの“仕上げは鳩に任せましょ”という鳩の糞に覆われた車だが、チャプマン兄弟の提案はさらにその上をゆく。

でも主役はここでも同じく。台座にぴったりの巨大鳩というのが彼らの提案で、毎日ある時刻になるとマッシュルーム・スープが出てくるというオマケ付き。よって目の保養プラス腹も満足し、周りの浮浪者たちも万歳ということのようだ。それにしても「なんで今頃?」と思わなくもないが、人気作家がポロっと落とした言葉が新聞に載ってしまう軽さが興味深い。詳細は27日付けのインディペンデント紙で。6名の候補者についてはこちらで。

■次もまたホワイト・キューブお抱えの作家で、22日から個展が始まったギャヴィン・ターク。話題になっているのは二階で展示中のゴミ袋で、これが80,000ポンドという大そうな値で売られているという話。このゴミ袋、「すッごい技」と絶賛されるだけあって、確かに本物と見間違えるほど上手くできている。詳細はこちらで。

■エリアソンの「太陽」が大成功をおさめ、ビジネス界からも評価を受けるテートが、このほど新たに観光ビジネスに参入。旅行代理店マジック・トラベルと手を組み、バルセロナ、フィレンツェなどヨーロッパ9都市へのパッケージツアーを提供しはじめた。ツアーにはキュレーターによるガイドブック、美術館のメンバーシップ一年分などの特典も用意。

ギャラリー四館あわせて年間50ミリオンポンドといわれる総運営費、うち30〜40%が自力による捻出。この状況ではビジネスが不可欠なのは解るものの、観光業とはまた大胆な。詳細はこちらで。

■テートと言えば29日から、コンスタンティン・ブランクーシー展がテート・モダンでスタートする。が、ブランクーシの祖国であるルーマニア政府の決定により先週、美術展のハイライトである「Kiss, 1907 - 1908」(Kissシリーズの最初の作品)が借りられなくなるという事態が発生。ルーマニアの法律圏外である英国に彫刻が入った時点で、所有権を主張する者が出てくる可能性があるというのがその理由。

ルーマニアでは国の財産とみなされている芸術品の国外持ち出しには、政府からの許可証が必要になるらしい。数年前にNYのクリスティーズでブランクーシーの競売が予定されていた時にも、不法な手段で持ち出されたとルーマニア政府からの訴えがあり、直前のところで中止になったそうだ。ということで今回のテートの企画は、ハイライト抜きという少し残念なものになりそうです。詳しくはこちらで。(トコ)

1月26日

新春インタビュー:第三弾

 

23日付けで掲載しましたスティーブン・イーストウッド氏とのインタビューの日本語版を載せました。

1月15日

新春インタビュー:第二弾

 

前回のキュレーター・インタビューに引き続き、今回は「Minus One」の出品作家のひとり、田中紀子さんにお話をうかがいました。テーマはアートと食です。こちらから

1月13日

ぶらりとサザック

 

■ まずはデミアン・ハーストの新しいパトロンとして、最近よく名前を聞く「ミスター・キム」。韓国でデパートやレストランをビジネス展開する実業家である彼の個展が、テート・モダン近くのユニオン・プロジェクツで開催されている。

今回の展示作品はハーストでもエミンでもなく、彼、つまり、Ci Kim(スィ・キム)自らが制作したもの。様々な媒体とスタイルが登場し、くわがた虫がへばり付いた抽象画があれば、オヤジの顔がどアップになったセルフポートレートもあり。さらに、アルチンボルドまがいの野菜の胸像もあれば、監視員のリアルなマネキンもありという具合に、作家一人の作品とは思えない多様さを見せている。

かと言って、全般に通じる特徴がないのかというと、実はそうでもなく、作品の多くに「見る」という行為に対する拘りが感じられる。虫眼鏡が添えられた絵画は、鑑賞者に観察することを促す。セルフポートレートの中の彼は、虫眼鏡の向こうからじっとこちらを見据えている。ビジネスマンと美術家の二束のわらじを履く彼の関心事である、目に映るものと現実との二面性に、焦点が当てられているようだ。

 







Ci Kim, 「Myself」展から
上から順に
*Dream Clock, 2003
*Miyong Lee, 2003
*Dream Tree (magnifying glas), 2001
photo: toko

こんな感じで今回、名前が先行していた「ミスター・キム」の実態が少し分かったわけだが、もっと詳しく知りたい方にはキム氏のアラリオ・ギャラリー(Arario Gallery)サイトがお勧めだ。こちらでは今月末まで、ヤング・ブリティッシュ・アーティストを紹介する企画展が開かれているようだが、リトル・サーチギャラリーと呼びたくなるほど充実した作品群となっている。

■ 実は、このユニオン・プロジェクツには、近くにもう一軒、若手のアーティストを対象とするプロジェクト・スペースがある。鉄道線路下の格納スペースを利用したこちらの展示室では、今回、映画的なアプローチが作品に見られる若手4人が紹介されていた。

映画というわりには、作品は絵画、立体、インスタレーションと、ごくファイン・アート的だったが、ひとつのフレームから次のフレームへと渡り歩くように、作品がシーンとして展開していくところあたりに、映画との接点が垣間見えたような気もした。

まず展示室に入ると、壁からドーム型屋根にかけて全体が、みごとなサイケデリック色に染まっていた。スペースが巨大なだけに、圧巻な印象を受ける。でも、私が気に入ったのは、正面の壁にすっぽりと埋め込められた、バーナード・マーティン(Bernhard Martin)の車のインスタレーションだ。車の中を通らないと、次の展示室に行けないのだが、この車、なかが隅々まで銅の顔料で塗られた「絵画」にもなっていた。そんな大そうなものに腰掛けたうえに、お尻でペイントを拭うのはイマイチ趣味ではないが、用意された作業着をすっぽりと着て(顔料が落ちるため)、次の部屋へと向かった。

 


Katharina Grosse
Infinite Logic Conference, 2003
ギャラリーに入ると、壁と天井にスプレーペイントされたダイナミックな作品に迎えられる。
photo: toko

Marco Papa
*Look at the side you don't know, 2003
展示室間の壁に埋め込まれた車。奥の部屋へは、これをくぐって行く。
photo: toko

くぐる時に着た作業着。
photo: toko

車から降りると、先には綺麗につくられた撮影セット風のリビングルームが。ウェルカムな雰囲気に、椅子にドカッと腰を下ろしたい気分になったが、「アート」の三文字が頭か離れず、とりあえず月並みに鑑賞。そのお隣の部屋では、マーティン・クリードの部屋から蛍光灯までもを奪い取ってしまったような、時折瞬くライトを使った作品が展示されていた。ユニオン・プロジェクツについてはこちらで。

■ そのあとは5分くらい歩いて、もうひとつのプロジェクツ、FA Projectsへ。先月から開催されている、契約アーティストを紹介するグループ展が開かれていた。今月末からはオランダの若手三人を紹介する「Elsewhere」展が始まるとか。絵画とコラージュとのこと。(トコ)

 


photo: toko

1月5日

新春インタビュー:第一弾

 

明けましておめでとうございます。
今年もフォグレススタッフ一同頑張って参りますので、皆様どうぞよろしくお付き合いお願い致します。

さて、今年最初のご紹介は、展覧会とチャリティーイベントが一緒になったユニークな企画、Minus One。企画者とアーティスト30人の「やる気」に感動し、フォグレスではこのイベントを密着取材することにしました。まずは、キュレーターの伊東篤英氏に企画の立案から当日のハイライトに至るまでをインタビュー。英語版はこちらから

参加アーティストのリストはこちらで(英語のみ)
Minus Oneのサイト

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このページの掲載内容

まとめて・・・(1.30)
*デミアンハースト
*コートールド美術館
*Minus One
*マーク・ウォリンジャー

まとめてニュース(1.28)
*トレイシー・エミンの「ネオン」
*チャプマン兄弟の「鳩」
*ギャヴィンタークの「ゴミ袋」
*テート観光ビジネス参入
*ハイライト抜きのブランクーシー展

新春インタビュー第三弾
(1.26)
*スティーブン・イーストウッド

新春インタビュー第二段(1.15)*田中紀子

ぶらりとサザック(1.13)
*ミスター・キム
*ユニオン・プロジェクツ
*FAプロジェクツ

新春インタビュー第一弾 (1.5)
*伊東篤英