3月25日

ライブ・アートあれこれ
待望のライブ・アートの祭典「ライブ・カルチャー」が、いよいよ27日からテート・モダンで始まります。4日間に渡りパフォーマンスから国際シンポジウムまで中身の濃い企画が展開されますが、ここ最近ライブ・アートの不発が続いている英国だけあって、その行方がやや心配なところ。

不発の一例を紹介すると、今回の「ライブ・カルチャー」にも参加するFranko B(フランコ・ビー)の流血ヌードパフォーマンスが、昨年11月、突然中止になる騒ぎがありました。開催ギャラリーであるサウス・ロンドン・ギャラリー(SLG)の広報担当によると、作品が挑発的という理由で管轄区サザック区の認定委員会が公演許可を当日4日前になって取り下げたという話でした。

先月は英国東部のベッドフォードで、街の中心部をカレーの容器を蹴ってまわるというAndre Stitt(アンドレ・スティット)のパフォーマンスもお流れになりました。(持帰り用のアルミ箔の容器のことです)こちらの中止の理由はまた別で、この一見馬鹿げた企画に補助金が12,000ポンドも出ると新聞が書きたてた為に思わぬ宣伝となり、予想をはるかに上回る観客が押し寄せ混乱が生じるのではと懸念されたためです。

失敗例では、今年の旧正月に中国人作家Cai Guo Qiangが披露するはずだった花火がその一例。テート・モダンのこの企画では、ミレニアムブリッジ沿いに花火が走りテートの煙突から竜が立昇るはずでしたが、氷点下の気温に火力及ばず辛くも失敗。その上、竜を支えるロープが焼け建物の塗装部分の一部に引火し、従業員非難、消防車到着という予想外の展開となってしまいました。(このハプニングによりCai Guo Qiangの花火は伝説になったという声もありますが)

とまあ不発に呪われた最近の英国のライブ・アートですが、業界からの視線が集まるなかテートでは準備が着々と進んでいるもよう。27日のオープニングには、犬人間のパフォーマンスで知られるロシア人作家Oleg Kulik(オレグ・クーリック)が登場します。(公道やギャラリーで、素っ裸になって犬の真似をするストリーキングっぽいパフォーマンスです)今回は犬の出番はありませんが、鏡の破片に覆われたアルマジロ兼ミラーボールになって登場するということです。

前回お流れになったフランコ・ビーの血まみれパフォーマンスも、30日の晩に予定通り催されるようです。実は、テート・モダンもSLGと同じサザック区にあるため、業界筋では一時懸念の声が上がっていましたが、これはどうも取り越し苦労だったようです。(トコ)

"Live Culture", 03/03/27 - 03/03/30
Tate Modern
展覧会情報はカレンダーにも載っています。
 

3月23日

ロンドン南東徘徊

公園では反戦デモ。テレビを付ければイラクからの現地レポート。と、どこを見ても戦争一色のこの頃。でもこの緊張感を吹き飛ばすように、ポカポカ陽気が続いている最近のロンドン。寒さのあまりチョークファームの小部屋に篭りがちだった私には、これは嬉しいこと。こんな時にギャラリー巡りなんてしていていいのか!と少々後ろめたく感じながらも、このハイな気候に押されるように久々にロンドン南東方面に繰り出してみました。(クマさんによると私は救いようの無い方向音痴とのことです)

下車したニュークロス・ゲート駅は、今やスターダムに乗ったyBa達の古巣ゴールドスミス・カレッジがあるところ。駅の改札口を出ると、リュックにジーンズ姿の学生たちがチラホラ目につき、「A to Z」片手に降り立ったみよさんと私はホッとした気分。でも、町並みは超殺風景で庶民的。こんなところにギャラリーが本当にあるの?と怪訝に思いながらも、目的地のDeptford High Streetに向かいました。

肉屋に八百屋、金物屋にパーマ屋が軒を連ねるここは、意外や意外、アートコレクターが豆に足を運ぶところでもあります。その牽引力となっているのがここにあるギャラリー2軒、Hales GalleryとMuseum of Installation (MOI)。

Hales Galleryは、一階がこの道で唯一の可愛いカフェ(?)になっていて、ここがカフェ兼ギャラリーであることを知らないと、お茶だけしてお終いなんてことになりそうなところ。展示室は地下にあり、従業員専用って感じの厨房脇の階段を下りいく仕組みになっています。数年前ターナー賞にノミネートされたTakahashi Tomokoさんが所属するここは、サーチ・コレクションなどに若手の作品を送り込んできた実力派のギャラリーで、業界から一目置かれている存在でもあります。

この日はHans Op de Beeckの映像「My Brother's Gardens」が展示されていました。これは画像と何人かの語り手が読み上げるストーリーで構成された作品で、途中から入ったせいか最初かなり難解でしたが、後半部の素描で綴ったエッセイはとてもいい感じでした。庭を描いた素描が次から次へとアニメのように展開され、季節ごとに変わっていく庭と時間の経過をポエティックに物語っていました。

次のMOIは、Deptford駅を越すと直ぐ見つかりました。灰色の壁が大きなウィンドーを囲むここは、何とかその外見からギャラリーと想像のつくところ。ベルを押して中に入れてもらうと、部屋には巨大な板が塀のように置かれていました。部屋の壁が剥きだしだったので聞いてみると、展示されている物体はその壁を剥がして作ったものということ。メキシコの作家4人による展覧会とのことで、地下にあるMOIのオフィスみたいな部屋も、実は彼らのインスタレーションということでした。

たった二軒じゃ足りない!と感じた私達は、この後ロンドン・ブリッジに戻りEssor GalleryJerwood Spaceをはしご。色々と観て充足感たっぷりな数時間でしたが、この気分も駅で一面を戦火のバグダッドが飾る新聞をみて半減。これで良かったのかな〜とすっきりしない気分で家路につきました。(トコ)

各ギャラリーでの展覧会情報はカレンダーでどうぞ。
ロケーションはギャラリーインデックス(サウス・ロンドン)をご参考に。大まかですが地図もあります。
Hales Gallery
MOI

 

3月22日

展覧会情報

前回に引き続き、展覧会カレンダーに新情報を追加しました。

East Endで展覧会」:White Cubeで始まったばかりのキャロル・ダンハム展、Victoria Miro Galleryのシャンタル・ジョフェ展など9件。

West Endの展覧会」:Lisson Galleryで来週から始まるジェーン&ルイーズ・ウィルソン展やSadie Coles HQでのアンディー・ウォーホール展など8件。

テムズの南側」:Danielle Arnaudのデイヴィッド・コテレル展、South London Galleryのラ・リボット展など7件。

 

3月18日

展覧会情報

展覧会カレンダーに新情報を追加しました。

メジャー展示スペース」:ナショナル・ギャラリーで明日から始まるロン・ミュエック展、ICAで来月4日からスタートする若手対象の賞Beck's Futuresなど10件。

気になる写真展」:Anthony Reynolds Galleryで始まったばかりのリチャード・ビリンガム展やV&Aで来月上旬にスタートするギィ・ブルダン展など8件。

観るだけじゃつまらない!という方は、20日から始まる恒例のアートフェア「Affordable Art Fair」もお忘れなく。場所はいつもと同じくBatter Sea Park内、参加ギャラリーは130店舗。価格は上限が2,500ポンドという値ごろ(?)価格。

「Affordable Art Fair」、03/03/20 - 03/03/23
詳しくは団体のサイトで。

 

3月15日

チセンヘール・ギャラリーで大奮闘
イーストエンド奥深くにあるChisenhale Gallery(チセンヘールギャラリー)で19日から始まる「Get Art」展。今年で6回目のこの企画は、地元の小学生がアーティストと一緒になって制作、発表をするイベント。現場で展覧会準備に励むみよさんがその様子をレポートしてくれました。(みよさんは今月からfoglessのお手伝いもしてくれています!)

 ● ●

今日、Chisenhale Galleryの「Get Art」プロジェクトのセットアップのお手伝いに行ってきました。Get ArtプロジェクトとはChisenhaleが地元の小学校にアーティストを招いて子供達と一緒に作品をつくる6年間続いている教育プログラムです。来週から、その集大成として子供達の作品を集めた展示が始まります。

朝着いたら、早速、前回の展示で残された壁の穴をプラスターで埋めたり、床面に残っていたマスキングテープをはがしたりする作業で始まりました。参加アーティストは総勢8名なのですが、其々色々なバックグラウンドを持っていて年齢層も様々でした。また、アーティストのボーイフレンドやら、パートナーやら、アーティストの子供まで参加して、和気あいあいとして文化祭のような雰囲気です。

ちなみに参加アーティスト、ジョーの娘のモリーちゃん(7歳)は、お話が大好きな女の子でスクレイパー片手にイギリスのポップ歌手のWill Youngがどんなに好きかとか、紅茶に浸して食べるには、どのクッキーが良いかとかをとうとうと語ってくれました。(ちなみに彼女のお勧めはTWIXです。しかも浸し方(食べ方?)にコツが必要で、ティーブレーク時に試してみたのですが、んー子供の好きそうな味だなって印象でした。)

午後になり、ギャラリーが展示に向けて形をとり始めると、アーティストは真剣さが増し、時々、ギャラリーサイドとアーティストの意見の食い違いから真剣な話し合いになる場面がしばしば見られました。基本的にはアーティスト達の意向がギャラリー側の予算やGet Artプロジェクトの次の展示の関係上、妥協を強いられている様相でした。子供の作品を扱っているからと言って妥協は許されるわけではなく、長い時間をかけて話し合っていました。アーティストにとってはギャラリーにインストールすることも、彼らのアート活動の範疇に入るのではないかとも思いました。

それにしてもアーティストってこんな肉体労働なの〜!文字通りホワイトキューブを保つのって、こんなに手間隙かかるの〜!結局、6時過ぎまで元工場だった広〜い高〜い壁面を刷毛と梯子を持って雪目になりそうなくらい白いペンキを塗りまくりました。6時過ぎに、この地域の治安を気にして暗くなる前に帰った方がいいよと言われたので、好意に甘えて帰ろうとしたのです。しかし、結局、外は真っ暗、しかも近くには最近、殺人のあったVictoria公園。一方で自分の姿を見れば白いペンキが乾いてかぴかぴになった古いトレーナーに、これまたかぴかぴジーンズにペンキがはねて顔は白いホクロだらけ。それでも、それでもアーティストみんなに手伝ってくれてありがとうと言われると、なんだかとても嬉しくて爽快な気持ちで第1日目を終えることができました。(みよ)

「Get Art 2003」, Chisenhale Gallery
19/03/2003 - 23/03/2003
 

3月13日

展覧会レビュー

Exhibitionsのページにレポート2本をアップしました。

Days Like These」:テート・ブリテンで始まった現代美術の大イベントをレポート。リチャード・ハミルトン、リチャード・ディーコン、レイチェル・ホワイトリード、コーネリア・パーカーら錚々たる作家23名が参加。

Conrad Shawcross」:あのチャールズ・サーチの新しいお気に入りコンラッド・ショークロスの個展をレポート。個展のハイライト「The Nervous System」は、個展のオープニング直前にサーチ氏が2万5千ポンドで購入したという噂。

 

3月7日

サーチギャラリー開館日決定!

計画通りに事が運ぶなんてことはまずないイギリスのこと。サーチギャラリーの新オープンにしても、4月なんて言っていても結局は夏頃になってしまうんじゃないの〜なんて声が飛び交っていました。でも嬉しいことに、見事に4月内オープンを決めたようです。

待望の開館日は4月17日木曜日。その二日前にはセレブを招いての盛大なパーティーが催されるという話。 オープニング展は先日お知らせした通りデミアン・ハースト展で、イギリスで一番有名な現代アート作品といわれる鮫のホルマリン漬けから未公開の作品までが一挙に公開されるとのこと。ハーストの後にはチャプマン兄弟、トレイシー・エミン、セーラ・ルーカス、ジェニー・サヴィールらの展覧会が控えているとも発表されています。大型美術館同様、ギャラリーは毎日開館、週二回は夜10時まで延長されるようです。

サーチ氏はつい最近、自らの蒐集品のなかから立体34点をArts Council Collectionに寄贈したばかり。ヘイワード・ギャラリーが運営するこのコレクションへ寄贈は、100点を寄贈した1999年に続いて二回目。今回の寄贈品はマーク・クイーンやリチャード・ウィルソンら18名の作家による90年代の作品で、イギリス全国の美術館で公開されることになります。彼らの作品が全国で観れることは嬉しいことですが、それにしても絶妙なタイミングですよね。(トコ)

寄贈作品についてのBBCのレポートはこちら
画像はこちらから

 

3月3日

ファッション専門の美術館

英国初のファッションとテキスタイル専門の美術館Fashion and Textile Museumが今月末、ロンドン・ブリッジ近くにオープンする。

美術館のオーナーはファッション専門の美術館を開くことが永年の夢だったというファッションデザイナーのZandra Rhodes。ピンクと黄色からなるポップな建物はメキシコの著名な建築家Ricardo Legorretaによるデザイン。

展示プログラムは国内外のファッションとテキスタイルデザイナーに焦点をあてたもので、Vivienne Westwood, Jan Muir and Ossie Clarkらが紹介される予定。Zandraさんの作品も常設されるとのこと。(トコ)

Fashion and Textile Museum

 

 

ロンドン最新ギャラリー事情

今週はイーストエンドにスポット。まずは、洒落たパブが並ぶCharlotte Roadに今月12日オープンするCounter。こちらはトレイシー・エミンやギャヴィン・タークらyBaの版画(プリント)を販売しているConter Editionsの姉妹会社で、運営も同じくCarl Freedmanが担当。オープニングはSimon Martin展で、絵画と彫刻とその中間にあたる作品が展示されるとのこと。

続いて今月15日には、プロジェクト・スペースHotelがベスナル・グリーンにオープン。運営はロンドン中心部のギャラリー、エントウィッスルのDarren Flookと元Fig-1のキュレータChristable Stewartの二人で、スペースは自分達のフラットを改造したもの。オープニングは5月にデザイン・ミュージアムで個展が決定しているグラフィック・デザイナーPeter Savilleのネオン作品を紹介。(トコ)

Counter
Hotel

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このページの掲載内容
ライブ・アートあれこれ(3.25)
Franko B
Andre Stitt
Cai Guo Qiang
Oleg Kulik
ロンドン南東徘徊 (3.23)
Hales Gallery
MOI
展覧会情報(3.22)
イーストエンド
ウェストエンド
テムズの南側

展覧会情報(3.18)
メジャー
写真展

チセンヘール・ギャラリーで大奮闘 (3.15)
展覧会レビュー (3.13)
*Days Like These
*Conrad Shawcross
サーチギャラリー開館日決定! (3.7)
ファッション専門の美術館 (3.3)
Fashion and Textile Museum
ロンドン最新ギャラリー事情 (3.3)
Counter
Hotel