12月30日

またもや一挙にまとめて・・・

 

■  クリスマス特別センサーシップ
クリスマスホリデーまっ最中のロンドン。公営美術館を残してギャラリーはみなお休みに入り、静かで平和・・・と言いたいところですが、そこはロンドンのこと。クリスマス・イルミネーションという害の無さそうなものを巡って、センサーシップ(検閲)騒動が起きたようです。

騒動の中心にいるのは、ブラーのボーカリストのデイモン・アルバーンら作家数名。ロンドンの主要建築物を飾るはずだった彼らの作品が、「Too Harsh(やりすぎ)」という理由で却下され、主催者側との間で衝突が起きてしまったというもの。

携帯電話サービス会社オレンジ社がスポンサーをつとめるこの企画は、今月上旬から日替わりでウェリントン・アーチやバッキンガム・パレスなどのロンドンの名所を、ラッピングペーパーのような楽しいイメージで包んできた企画(大晦日まで)。参加作家にはデザイナーのステラ・マッカートニーや料理家のナイジェラ・ローソンなど有名人が名を連ねている。

手っ取り早く言えば、民間会社によるセレブと名所を起用したクリスマス・デコレーションなわけですが、却下された作家たちの目にはそうは映っていなかったよう。そのひとり、ピーター・ケナードは、顔のかわりに地球の写真を、光輪のかわりにCND(核軍縮委員会)のロゴを使った、聖母マリアのイメージを出品し、ボツに。バンクシーの作品は、手にショッピングバックを提げたキリストの磔像だったとのこと。

「センサーシップ(検閲)」という重い言葉が飛んだ今回の騒動。まあ、言うのは自由かもしれませんが、主催者が一民間企業であることや、「老若男女に楽しんでもらえるものを」という企画の趣旨、それに誰がどうみてもクリスマス・デコレーションにしか見えない企画の内容などを考えると、この発言はかなり大袈裟なように聞こえます。いかにも権利の国イギリスらしいですが、主張するだけではなく、目もしっかり開けてくれるといいのですが。詳細はThe Guardianで。写真も見れます。

■ センサーシップのあとは世間の喧騒を離れ、トレイシー・シュヴァリエのベストセラー小説『Girl with a Pearl Earring』と暫しの戯れ。コリン・ファース主演の映画が来月公開されるこちらは、17世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメールの絵画をもとにした歴史小説。この小説では、まるで学者が真珠の耳飾や青と黄のターバンに隠された謎を解明していくように、一枚の絵に託されたストーリーが、繊細かつ妖しく展開されていきます。

 


Johannes Vermeer
(1632- 1675)
Girl with a Pearl Earring ( Meisje met de parel )
c. 1665,oil on canvas
The Hague, The Royal Cabinet of Paintings
Mauritshuis

「オランダのモナリザ」と称されるこの油彩は、一世紀にも渡る研究も虚しく、いまだにモデルの素性が判らない、謎の一枚。フェルメールの長女ではないか、パトロンの娘かもしれない、などと様々な学説があるなか、この小説では、少女は父親の事故によってフェルメールの家に女中奉公することになった17歳の少女グリエとして描かれています。フェルメールの絵を理解しない妻に疎まれながらも、聡明かつ色彩感覚に富んだグリエが、画家の唯一の理解者になっていくところに読み応えを感じます。

もちろん、フェルメールとグリエの間に芽生える愛も見逃せませんが、個人的には、シュヴァリエの学者顔負けの知識の方が印象に残りました。特に感心したのが、ここ数年研究が進んでいたフェルメールとカメラ・オブスキューラ(Camera obscura)の関係で、シュヴァリエの小説ではフェルメールはピンホール・カメラが作り出すイメージを見ながら絵画の構図を変えていく、当時にしては科学的なアプローチの画家として描かれていました。お勧めの一冊です。絵画ついてはこちらのサイトがお勧めです。

■ 芸術から文学が生れれば、文学から芸術も。今回その礎になった文学とは、英国の現代文学を代表するジョージ・オーウェルの『1984』で、モチーフに選ばれたのは、小説のなかで恐ろしさのあまり登場人物が口にもできなかった恐怖の尋問部屋「Room 101」。それをビジュアル化というか物理化したのが、家を丸ごと彫刻にしているレイチェル・ホワイトリード

Room 101」は実在の部屋ではないなので、実際に使われたのは、オーウェルが第二次大戦中に使っていたBBCの一室。実はこのプロジェクトは、今年から数年掛りで建替えが行われることになったBBCの建築プランの一環に属し、この機会を利用してオーウェルが使っていた部屋の一部始終を型に留めようと試みられたものなのです。

 




Rachel Whiteread
Untitled (Room 101)
2003,
展示風景。周りはすべて19世紀に作られた複製彫刻ばかり
photo: toko


面白いと思ったのは、この「Room 101」が、ルネサンス期の棺の装飾や、ダビデ像が置かれた、文化の墓場とでも呼びたくなるようなV&Aの古臭い部屋にあること。その多くが、もともと墓または死者を弔うために作られた彫刻なのですが、ここではみなすべてが、本物ではないときています。ほとんどが、名作の複製作りが流行った19世紀に作られた複製なのです。

複製でも構わないから、伝統文化を大切に保管しようという空気の中、ホワイトリードの巨大な石膏の塊は、どんなSF小説にも負けない異色を放っています。しかし、見方を少し変えれば、彼女の作品にもひとつの文化、あるいは価値観を、讃えて永遠のものしようとする儀式的な性質が感じられます。オーウェルが使っていた事務所を形にすることによって、「Room 101」が象徴する抑圧的な洗脳社会への警告を永遠化しようとした、とは解釈できないでしょうか。とても奥の深いキュレーションだと思いました。
(トコ)

12月19日

まとめてニュース

 

■  新人アーティストの登竜門とされるベックス・フューチャー(Beck's Futures)のノミネート者が発表されました。今年の傾向は、10人中8人までがロンドン在住でありながらも、出身国はトルコ、ブルガリア、ブラジル、オランダと国際色豊かなこと。

Beck's Futuresの選考の基準は、まだ一般に知られていない若手ということですが、実際にその経歴に目を通してみると、90年代に「Bank」というユニットを組んで活躍していたSimon Bedwellや、テートブリテンのトリエンナーレに出品していたSusan Philipszなど、そこそこ活躍している作家が目立つ。また10人中8名までがファインアートで修士号を持つ高学歴というのも気になるところ。

賞のホスト・ギャラリーであるICAのディレクターのドッド氏(Philip Dodd)は、「デイリー・メール紙は英国にとって移住者は悪だと信じているようだが、今回Beck's Futuresに選ばれた作家達は、英国内における創造性がどれだけ常に、移住者と移住という経験によって変わっていっているかということを物語っている」と今回の選出についてコメント。選考に当たった審査員が、ドッド氏を除きほぼすべて外国人であったことも、今回の傾向に少なからず影響しているかもしれません。

ノミネート者:
Haluk Akakce(デジタル・アニメーション), Simon Bedwell(絵画), Ergin Cavusoglu(ヴィデオ), Andrew Cross(フィルム&写真), Tonico Lemos Auad(立体), Saskia Olde-Wolbers(ヴィデオ), Susan Philipsz(サウンド・インスタレーション), Imogen Stidworthy(ソニック&ヴィジュアル・インスタレーション), Hayley Tompkins(絵画), Nicoline van Harskamp(パフォーマンス・インスタレーション)

受賞者の発表は4月下旬。ノミネート者の展示はICAで来年3月26日から5月16日まで行われる。

詳細記事がBBCのサイトにも載っています。(トコ)

■ サーチ・ギャラリー開館前に噂になった賞の話が、正式に決まったようです。BBCの報道によると、児童を対象とするこちらの賞の名前はズバリ、The Saatchi Gallery Award。評価の対象となる作品は、サーチ・ギャラリー訪問に関する小論文またはプロジェクトで、一万ポンドに相当する賞金および商品が児童とその学校に贈られることになる。審査委員には来年同ギャラリーで個展が予定されているトレイシー・エミンや人気ポップグループ「ブラー」のデイモン・アルバーンが含まれているとのこと。詳しくはBBCのサイト

 


行かれた方はご存知、サーチ・ギャラリーの入り口です。この大理石の階段には、デミアン・ハーストの『スポット・ミニ』が置かれていたのですが、残念なことになくなってしまいました。「イタリアン・ジョブ」っぽくて結構良かったんですけどね。

■ 「始まって二ヶ月たらずで百万人突破」と昨日発表された、オラファー・エリアソンの太陽のインスタレーション。そのあまりにもの好評ぶりに、「まだ三十代のくせにここまでやってくれちゃ、後はやり難いだろうな〜」という声が一部でささやかれるなか、次の執行者の名前が公表されたもよう。

テート・モダンご自慢の大ホールを手掛ける五人目の作家に選ばれたのは、60〜70年代のパフォーマンスやヴィデオ・アートで知られるブルース・ナウマン(Bruce Nauman)。これまでルイーズ・ブルジョア、ホワン・ムノズ、アニッシュ・カプーア、エリアソンと立体、それも「建築物」とよびたくなるような巨大な立体物を得意とする作家が続いただけに、ナウマン氏の選出はやや意外ですが、シリーズ企画最後の作家ということもあって、どんなものを見せてくれるのかが楽しみ。展示はまだずっと先のことですが・・・。詳しくはテートのサイトで。

■ 毎年恒例のクリスマスツリーのインスタレーションが、テート・ブリテンで披露されているようです。今年の担当者は、何年か前にトラファルガー広場の4番目の台座に、等身大のキリストの彫刻を発表したマーク・ウォリンジャー(Mark Wallinger)。テート・ブリテンに行かれる方はお見逃しなく。展示は1月6日まで。詳細はテートのサイトで。ウォリンジャーの作品についてはこちらでも見れます。

■ 『Hip Heads』と題されたクリス・オフィリのTシャツ230枚が、クリスマスのためのチャリティーセールとして、今月20日よりThe Guardian紙を窓口に販売される、という知らせが届きました。売りに出されるのは、、こげ茶地に金色でアフロ・ヘッドを刺繍した綿100%素材のTシャツ。値段は75ポンドとのこと。オフィリが所属するヴィクトリア・ミロ・ギャラリーでは扱ってない商品とのことですので、お求めの方はご注意を。

 

■ 高級ギャラリー街コークストリートで、日本人作家による個展が二つ開催中。まず、宮島達男さんなど日本人数人が所属するEntwistle(エントウィッスル)では、グラフィック・デザインの大御所、横尾忠則さんの個展「Selected Posters」展が開催中。60年代から現在に至るまでの作品45点を集めた英国では初の本格的な企画になっています(1月31日まで)。そのお向かいのGallery 27では、日本画を専門とするYukoh Moritaさんの個展が開かれいます(今月20日まで)。Entwistle 、Gallery 27  (トコ)

12月11日

一言メモ

 ■  トラファルガー広場の「四番目の台座」を賭けてのレースがスタートしました。サラ・ルーカスマーク・クイーンら候補者6名の作品(模型)が本日よりナショナル・ギャラリーで公開され、一般からの投票を集めます。発表は新年明けとのこと。台座と候補者については7月28日付けの日誌で。 候補作品の写真はBBCのサイトで。

■ 期待を裏切ることにかけては天下一品のターナー賞。そんな裏切りに「してやられたか」と感じてしまったのが、今週の『Time Out』誌。彼らが受賞すると思ってお願いしたわけじゃないけど・・・と誌面には書かれているものの、表紙に載ったチャプマン兄弟のクリスマス風ゴヤが妙に目立つ。取っていれば完璧だったんでしょうが・・・。まあ裏はどうであれ、ファンには見逃せないものでしょう。Time Outのサイトへ。

■ 「正式」なポートレートを描いてもらうのが、英国の首相に代々に伝わる慣わし。つまり言い方を換えれば、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(NPG)が選んだ作家の表現の対象になってきたわけですが、今回、その作家が拒否されるという事態が発生。

The Sunday Timesの報道によると、その理由はブレア夫人が「怖がった」ためとか。拒まれたのは藁を使った刺々しい彫刻で知られるニコラ・ヒックス。ブレア家では彼女の動物の彫刻をベッドの足元に置いていたそうですが、これのせいで夫人が悪夢に悩まされる破目に。詳しくはThe Sunday Timesのサイトで。ヒックスの作品はいまイーストエンドのフラワーズ・イーストで展示中とのこと。

■ 7日付けで紹介した『Pocko Edition』のサイン会が明日、テート・モダン内のギャラリーショップで開かれます。先日紹介したJeroen Teunenのほか、最近メモ帳の表紙でもよく見かけるDaisy de Villenueve、「Minus One」のキュレーターの伊東篤英さんなど8名が出席する予定。クリスマスプレゼント選びに頭を悩ませている方、サイン入りのアート・ブックなんてどうですか?
日時:12月12日、夜7時から8時まで。
場所:テート・モダン内ギャラリーショップ。
詳細はPockoのサイトで。(トコ)

12月7日

ターナー賞2003、受賞者発表

 

グレイソン・ペリー氏(Grayson Perry)のターナー賞受賞が、一時間程前にテートブリテンで発表されました。今夜のペリー氏は薄紫色のフリフリのワンピースに身を包み、彼のオールターエゴ(alter ego)である「クレア」になっての登場。服装倒錯者である「壷」制作者が受賞者に選ばれた喜びが、ペリー氏の口から語られました。

 


Grason Perry
Lovely Consensus 2003
photo: toko

ペリー氏の代表作は、漫画風の絵や写真を施した「壷」。養父との不和で惨めな幼年期を過ごした彼の作品の中心を占めるのは子供で、これらの「壷」には大人からの暴力や性的虐待を受ける幼児、兵士として借り出される少年少女がしばしば登場します。近年では「壷」からパフォーマンスや写真へと活動の幅を広げ、これらの作品では性を転換したオールターエゴ「クレア」となって氏自らが登場しています。

今年の受賞式のプレゼンターは、ビートルズのアルバム「サージェントペッパー」のデザインで知られる英国を代表する画家ピーター・ブレークで、館長のニコラス・セロータが「もし1961年にターナー賞があったならば選ばれていた人」とブレークを紹介。「最近タクシーにのるたびに、ドライバーにトレイシー・エミンのベッドのことをアートだって説明しているんです」と挨拶した、ブレーク氏の心の広さを感じさせる言葉が印象的でした。詳細はテートのサイトで。(トコ)

■ ターナー賞のレビュー
■ グレイソン・ペリー氏の『クレア』ファッション
■ 今年のスタッキストデモ

12月7日

今週のログ

 

■ 「ストリート・アーティストのバンクシーが商業路線に的を絞った!」という情報をキャッチし、その舞台となっているSanta's Ghettoに行ってみました。キングリー・コート(Kingly Court)に出現した会場は、ショップというよりはアーミーとサイバーパンクとグラフィティがごっちゃになった展示空間。パンクなマリア像や即席の馬屋なども忍び込まされ、アングラなクリスマスムードが満喫できます。

■ イベント実現の裏には、「アートを庶民の手に」という作家と主催者側の強い思いがあるようです。それがよく現れているのが値段で、シルクスクリーンの最多価格帯は40ポンド前後(版数650枚)、サイン付でも150ポンド前後(版数100枚)と嬉しい値段。オリジナル絵画や立体になると一点500ポンド以上しますが、『えっ?この馬小屋?これは昨日みんなで一緒に作ったものなんだ。値段?買う人なんているのかね〜。ハッ、ハッ、ハッ』と、店員もみょうに暢気。バンクシーの他にも、『Tank Girl』の作者ジェイミー・ヒューレットMode 2、マッシブ・アタックの3Dなども参加。今月24日まで。サイトへ。

 


バンクシーのトレードマークである白と青のテープが張巡らされた会場。後ろに見えるのはヒューレットがデイモン・アルバ-ン(ブラー)のアニメバンド『Gorillaz』用に描いたアニメ。
photo: toko




バンクシー版「聖母子像」はドクロマーク付哺乳瓶を持つ母と子のコンビで表されている。会場に飾られているオリジナル絵画は、オープン初日に6000ポンドで売れてしまったとのこと。でもシルクスクリーンの方はまだ十分あるそうです。
photo: toko

■ Santa's Ghettoと目と鼻の先のカーナビー・ストリートでは、ノッティング・ヒルに本店を構えるファッション・ブランドグリフィン(Griffin)がインスタレーションを展開。ホワイトキューブと化した店のなかは、真っ白い紙で作った木やら枝やら得たいの知れない物体でいっぱい。これがグリフィンのジャケットやパンツを着ているから一層シュール。インスタレーションを担当したのはデザイナーのEl Ultimo Gritoさんとのこと。これこそまさに『アート・ミーツ・ファッション』です。展示はノッティング・ヒル本店でも行っているそう。今月24日まで。サイトへ。

■ 「アレクサンダー・マックイーン、ヘレナ・クリスチャンセン、リバティX・・・」と招待状に書かれたゲスト客に釣られ、4日の晩はフォグレス有志一同ショーディッチに集合。小脇に抱えたバッグにデジカメを忍ばせ、レッド・チャーチ・ストリート(Red Church St.)にこの日オープンしたラング・ギャラリー(Lang Gallery)のパーティーに出席。

■ こちらの経営者は、16年来のアートコレクターという建築家のアンドレアス・ネイター(Andreas Nater)さん。「factory」と名前のついた三階建ての建物は、マッシュルームカット全盛期に「ビードル・ウィッグ」と呼ばれるカツラを製造していた工場だったとのこと。RAのサマーショーでお馴染みのMauro Perucchettiさんら11名によるエレガントな作品が並び、暫しここがショーディッチであることを忘れさせてくれました。サイトへ。

 


BBCの人気アート番組「Rolf on Art」のプレゼンター、ロルフ・ハリス氏をスポット(左)。お目当てのマックイーンは、残念ながら来る気配なし。
photo: nagako



ペルチェッティ氏の十字架が見守る中、歓談を楽しむパーティー客。photo: nagako



■ 翌日は『Pocko Edition』の出版記念パーティーにお邪魔。会場はこの夏ポートベローにオープンしたEclectic Galleryで、Jeroen Teunenさんが封筒に描いたイラスト画が展示されていました。これらの封筒は実際に郵送に使われたもので、展示にあたり受け取り主から回収したとのこと。十代の時に送った年代物の封筒も含まれていました。サイトへ。

 


Jeroen Teunen
The Postman展での出品作品のひとつ。


■ Eclectic Galleryの地下は、手作りの和菓子とお茶を戴けるというロンドンには珍しい和風カフェになっていました。インテリアもお洒落で、可愛らしいお座敷スペースまでもが完備。その横にはなんと椅子型マッサージ機までが置かれ、これがこちらの方に結構受けているようでした。(トコ)

 


Eclectic Galleryの地下はシックな
和風カフェ。
photo: toko

12月5日

サーチがハーストを大量放出(2)

 

2日付けの日誌に書いた「サーチvsハースト」について調べていたところ、BBCの報道とは若干違う視点で書かれた記事を見つけた。

イブニング・スタンダード紙が11月26日付で発表した内容によると、今回の取引は「作家[ハースト]がコレクター[サーチ]の所有する作品の大部分を買い戻した」ものとのこと。詳しくはThe Evening Standardのサイト

12月2日

サーチがハーストを大量放出
 

「アーティスト、デミアン・ハースト」の生みの親、チャールズ・サーチ氏がハーストの作品を売り戻した、というニュースをキャッチしました。(情報提供者は画家のアツさん。「Minus One」のキュレーターでもあります。詳しくは11/29日「今週のログ」を見て下さい)

さっそくBBCのサイトで調べてみたところ、全部で12点の作品がホワイトキューブに売り戻されたということ。サーチ・ギャラリーの目玉である「鮫」「羊」「蝶」「蠅」「Hymn」などはまだキープされているらしいが、夏の回顧展で披露された作品の多くが「ダンプ」されたようだ。

サーチ側は今回の決定についてノーコメントの姿勢を取っているが、しかしこれによって、4月頃から噂されていた両者間の「亀裂」が事実だったことが明らかになった。

この「亀裂」の引き金については、「サーチ・ギャラリーでの回顧展のときの展示にある」と、業界内ではもっぱらの噂だ。ギャラリー側に求められて提出したハーストの展示案がまったく無視されたとまで囁かれている。

サーチ氏は作品を「買う」だけでなく「手放す」コレクターとしても知られている。今回のように大量放出することも珍しくなく、それによって影響を受けた作家やギャラリストも少なくない。もっとも有名なのが画家のサンドロ・キアのケースで、手放されたあとメディアやギャラリストから完全にそっぽを向かれたという本人の体験談を読んだことがある。

ギャラリストの例では、グレイソン・ペリーを去年まで抱えていたローラン・ディレイ氏が記憶に新しい。サーチから出されたペリーの作品の買取依頼を氏が拒否したため、ペリーが憤慨し氏の元を離反。氏は看板作家を失ったため業務の縮小化を余儀なくされたと報じられている(Art Newspaper)。未だにサーチのお気に入りであるペリーの方は無傷だったようで、現在はヴィクトリア・ミロ・ギャラリーに所属し、今年のターナー賞にノミネートされている。

ハーストの場合も新しいパトロンが既にいるくらいだから傷はそう深くはなさそうだ(少なくとも報道からはそのように感じられる)。この「ミスター・キム」なる新しいパトロンは、ソウルにデパートおよびレストランチェーンを持つ実業家だそうだ。デパートに隣接する氏のギャラリーでは既に「Hymn」が展示され、9月にホワイト・キューブで公開された「Charity」も彼が購入済みと言われている。しかし、このキム氏がサーチ氏ばりの仕掛け人かどうかは疑わしいところだ。(トコ)

詳しくはBBCのサイト

12月1日

チャプマンの「自称」共同制作者、刑務所へ
 

ターナー賞授賞式を週末に控えメディアの目が二人に集中するなか、彼ら絡みでまたひとつニュースが。しかも、今回は守られたギャラリー空間を飛び越えて、法廷さらには有罪判決という現実世界へ。

英国の新聞デイリー・テレグラフ紙によると、美術家ジェイク・チャプマン氏と彼の作品に絵の具を投げつけた「コメディー・テロリスト」のアーロン・バーシャック(Aaron Barschak)さんに先週、28日間の禁固刑が下された。

この事件が起きたのは今年の5月30日、チャプマン兄弟の個展が開かれていたオックスフォード近代美術館でのトークの最中。「Viva Goya!」と叫びながら、バーシャックさんがチャプマン氏めがけて赤い絵の具を投げつけたと報じられている。

アーロン・バーシャックと言えば、ここ英国では6月にウィンザー城で開かれたウィリアム王子の誕生パーティーに警備の目を盗んで侵入したお騒がせ者として知られている。ウサマ・ビン・ラディンの格好をしていたこともあって、こちらのメディアに大きく取り上げられた。

今回の行為については、「自分のアートを作ったつもりでいる」と警察に供述している。さらに、チャプマンと「コラボレート」したつもりだ、ターナー賞にこの出来事の写真を出品したかった、とも語っている。

オックスフォード治安判事裁判所の判事はこれに対し、彼の行為は「美術制作ではなく、大混乱を作り上げただけ」との見解を表明。

一部の報道によると、彼には10月30日付けで有罪判決と300ポンドの罰金の支払いが命じられていたらしい。今回の禁固刑は罰金を払うだけの収入がないとみなされての判断のようだ。(トコ)

詳しくはDaily Telegraphのサイト

12月1日

アートを使った「ねずみ講」
 

絵画やリミテッドエディションプリントを使ったマルチ商法が増加しているらしい。29日付けのザ・ガーディアン紙によると、この傾向を懸念し英国通産省が先週、贋作やアートのオーバープライスを浮き彫りにする対策案を発表したとのこと。

「アートの魅力」に着目したこのマルチ商法は同紙によると「Planline」と呼ばれ、投資額が年間で七倍に増えると約束されている。一般的に、投資家がインターネット上でリミテッドエディションプリントや写真、立体を購入するパターンが取られているようで、タックス・ヘイヴンとして知られるケイマン諸島にあるオフショア法人のオンラインサイト「インフォーカス・ギャラリー」が一例として取り上げられている。(トコ)

詳しくはThe Guardianのサイト

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このページの掲載内容

またもや一挙にまとめて・・・(12.30)
*クリスマス特別センサーシップ
*Girl With a Pearl Earring
*Room 101

まとめてニュース(12.19)
*ベックス・フューチャー
*ザ・サーチ・ギャラリー賞
*テートモダン
大ホール5番目の作家
*オフィリのTシャツ
*日本人作家

一言メモ
(12.11)
*四番目の台座
*チャプマン
*ブレア ポートレート騒動
*Pocko

ターナー賞2003受賞者発表(12.7)

今週のログ(12.7)
*Santa's Ghetto
*グリフィン
*新ギャラリーfactory
*Pocko Editions
*Eclectic Gallery

サーチがハーストを大量放出2 (12.5)

サーチがハーストを大量放出(12.2)

チャプマンの「自称」共同制作者、刑務所へ(12.1)

アートを使った「ねずみ講」(12.1)