4月30日
ギャラリーレポート
およそ半月ぶりの更新です。ここのところ日本行きやら何やらでパソコンに向かう暇がなく間が空いてしまいました。見に来てくださっていた方々、ゴメンなさい。
さて、久々の更新は「スペース 」 のページです。エリアはこれまでと同じくOld
Street とEast End で、以前に日誌で紹介しました「MW
Projects 」と「Centre
of Attention 」に、「Nylon 」「The
Showroom 」を加えた4件を紹介しています。 今回のスペースは、The Showroomを除きここ3〜4年の間にオープンした新顔ばかり。若手の発掘に力を入れているせいかどこか似て感じられますが、The
showroomは公営展示スペース、Nylonは商業ギャラリー、MW Projectsは商業ギャラリーとは一線を隔す商業プロジェクトスペース、Centre
of Attentionはオールタナティブ的な非営利団体、とその運営体系はさまざまです。(トコ)
4月13日
James Colman ホックストンに新オープン
昨年10月のLux Centreの閉館以来やや沈みがちだったホックストンに、今月10日新ギャラリーがオープンしました。 White
Cube2からたった30秒たらずのところにオープンしたのは、アーティスト運営のスペースJames Colman (ジェームズ・コールマン)。名前を聞いてピンと来る方もいらっしゃるかと思いますが、そう、サウス・ケンジントンにあったあのJames
Colmanの新スペースです。 フロントがガラス張りの展示スペースは、路面階と地下の2フロアーからなるもの。フラットを改造したようなスペースは決して広いとはいえませんが、部屋の一部を吹き抜けにするなど狭さをカバーする工夫がなされています。右隣はアートスタジオ、左隣は女性専門アダルトショップとご近所も個性的。
ホックストン移転を記念するオープニングは、ギャラリー・アーティスト8人によるグループ展「Upstart」。作家の関心の多様性をうかがわせるように、雑多なスタイルの絵画と立体が展示されています。(トコ)
"Upstart" 02/04/11 - 02/05/08, James Colman
4月8日
Beck's Futures 2002
Beck's Futuresのノミネート者10名の作品が先月下旬からICA(Institute of Contemporary Art)で展示されています。比較的に知名度の低いこの賞は国内で活動する若手アーティストを対象とするもので、テートが主催するターナー賞に対抗するオールタナティブ的な存在を目指して創設されたもの。スポンサーはビールメーカBeck'sの他に今回はビジュアル系雑誌Face誌が加わっています。
今回(第3回目)の選抜の特徴は、ヒップでポップでクールな作品が目立つこと。漫画、ロック、クラブ、グラフィティ、カバーガール、コーポレートロゴなどストリートカルチャーの要素を取り入れたものが多く見られます。メディアの配分は絵画3、立体2、写真1、フィルム1、映像を用いたインスタレーション3という具合。
中でも特に印象に残ったのが、David Cotterell (デヴィッド・コテレル)のドライアイスに蒸気機関車の映像を投影したビデオインスタレーション「Borrowed
Time」。スピーカーから流れてくる列車の音にのってドライアイスがもくもくと薄暗い展示室に立ち込め、その煙に蒸気機関車の3次元映像が重なってこちらに迫ってくるという演出には圧巻の一言。エンターテイメント的という非難めいた意見もあるようですが、私は現代メディアを効果的に操るCotterellの手腕に、もしJ.M.W.Turnerが今の時代生きていたら彼も「Rain,
Steam and Speed (1844)」をこんなふうに表現したかもしれないな、なんて一瞬思ってしまいました。 受賞者の発表と賞金24,000ポンドの受渡しは来月7日にBjork(ビョーク)によって行われるということです(ちなみにノミネート者全員への報奨金を含む賞金総額は65,000ポンド)。ターナー賞がマドンナとくればこちらはビョークとどうやらセレブの起用でも競い合っているようですね。おまけに審査員にはマリアンヌ・フェイスフルも加わっているということですし。(トコ)
候補者10名は以下の通り: David Cotterrell(デビッド・コテレル), Kirsten Glass(カーステン・グラス),
Paul Hosking(ポール・ホスキング), Rachel Lowe(レイチェル・ローウェ), Toby Paterson(トビー・パターソン), Dan
Perfect(ダン・パーフェクト), Nick Relph & OliverPayne(ニック・レルフ&オリバー・ペイン), Neil Rumming(ニール・ラミング),
Hideyuki Sawayanagi(ヒデユキ・サワヤナギ), Tom Wood(トム・ウッド) "Beck's Futures
2002", ICA
02/03/29 - 02/05/05 平日1.50 GBP 、土日2.50GBP David Cotterellの作品は15分おきに1時間に4回上映。
Oliver PanyeとNick Relphのフィルムの上映は1時間に2回、最終は夕方5時半。
4月8日
Tribe Art
Brick LaneにあるTruman Brewery (トルーマン・ブルーワリー)と言えば「Body
Worlds展 」の会場としてここ最近賑わっていますが、再来週、ここのボイラー室で気になるイベントが催されます。 イベントの主役は人気ポップグループBlurのCDジャケットのデザインで知られるJulian
Opie (ジュリアン・オピー)。この企画はアートとF1レースをくっ付けてしまおうというLucky Strike BAR Honda Teamによる「Tribe
Art」なるもので、その目玉がコミッション第一号を獲得したOpieのインスタレーション。イラスト風なタッチで描かれたサーキットとレーサーがボイラー室を囲むフリーズ画として展示されるという話です。
Tribe Art 02/04/17 - 02/04/19, 1200-1700 Old Truman Brewery, 146
Brick Lane, London E8 Julian Opieに関する情報 Lisson
Galleryでの個展 (Jan. 2001) Art
2001 (Jan. 2002)
4月5日
展覧会情報
カレンダーのページに展覧会情報を追加しました。 「メジャー展示スペース 」:Hayward
Gallery, Whitechapel Art Gallery, ICAなど6本。 「Eastendの展覧会 」:Anthony
Wilkinson Gallery, Victoria Miro Galleryなど9本。 「Westendで展覧会 」:Asprey
Jacques, Gagosian, Sadie Colesなど9本。 「テムズの南側 」:Hales
Gallery, Danielle Arnaudなど4本。 「気になる写真展 」:The
Photographers' Galleryなど3本。
4月2日
展覧会レビュー
展覧会レビューをアップしました。 「Undertow 」展:2月28日付けの日誌でも紹介しましたロンドン大学Goldsmiths
Collegeの卒業生5人による展覧会の写真入り詳細レポート。 「Fair 」展:こちらは
Royal College of Artの修士コースMA Curating Contemporary Artの生徒らが企画した国際アートフェアのレポート。日誌は3月7日付け。
「Sam
Taylor-Wood 」展:White Cube 2で昨年11月から今年1月にかけて行われたテイラー=ウッドの個展。今月末からHayward
Galleryで回顧展が開かれるという彼女。ちょっと古いレポートですがご参考までに。イメージ付きです。 「Martin
McGinn 」展:The Saatchi Gallery (Underwood St.)で現在開催中のマーティン・マックギンの絵画展のショート・レポートです。
4月2日
Tracey Eminのポスター
最近ますますテレビでの露出が目立つyBa(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)。映画俳優やモデルばりのチヤホヤされぶりは、アーティストというよりはセレブと呼びたくなってしまうほど。
なかでもとりわけ人気なのが、この人Tracey Emin (トレイシー・エミン)。私生(性?)活たっぷりの自前ベッドをターナー賞に出展して話題を掻っ攫のはつい数年前のこと。去年のホワイト・キューブ2での個展も大盛況で会場内は人の山。
そんなトレイシーの愛猫Docketが最近姿をくらましてしまったという話。BBC Newsによると、探し猫のポスターを貼って周囲に協力を求めたそうですが、500ポンドの価値と噂されるポスターは虚しくもコレクターによって剥がされてしまったとのこと。
BBCによるとギャラリー側はポスターのことを、「…コンセプチュアルな作品ではなく彼女のアートとは何も関係ない(It's not a conceptual
piece of work and it has nothing to do with her art)」とコメントしているとのこと。 まあでも、コンセプトが込められていようがメディアがポスターでもブランケットでも、彼女が生み出したものには変わりはないのですからコレクターがその気になるのもわからなくはありません。
アーティストにとってはいい迷惑かもしれませんが、これも私にはセレブ化現象の一つのような気が…。で、気になる猫ちゃんの行方ですが、無事にトレイシーのもとに戻ってハッピーエンドとのことです。
(トコ) BBCの記事(3月28日 )
4月2日
日本癒し絵協会
「アート&医学」系の展覧会を最近いくつかご紹介しましたが、先日、同じく医学の現場で活動している日本のアーティストさんからご連絡を頂きました。
ご連絡いただいたのは「日本癒し絵協会」という任意団体の会長を務める西口康弘さん。日本各地の病院やホスピスを訪ね歩いて、病に苦しむ患者さんのために絵を描いている団体の方です。「心身の病を持たれている方などに、絵で笑いと感動を伝えるため全国回っています」とメッセージを頂きました。
先日の「Saving Faces」展のように医学の現場でのアート活動が展覧会として一般に紹介されるのはまれなこと。実際にはこういった地道な福祉活動は、社会的重要性のわりには美術のなかでは評価が怠われているエリアのように思えます。
展覧会や出版物という形でしかアーティストの活動に触れる機会の少ない私達にとっては、残念なことに発表の場が全てになってしまうところがあります。 しかし、実際にアートと医学の関係を深めていってるのは、「日本癒し絵協会」の皆さんをはじめとするアーティスト1人1人の毎日の努力のように思えます。(トコ)
日本癒し絵協会のホームページはこちら
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