5月16日付けの『フォグレス日誌』でも紹介した「NO SOUL FOR SALE」をもって、満10歳の誕生日をめでたく迎えたテート・モダン。14日からはじまったあの3日間のテートの有様をたとえるならば、「アートの大縁日」。神社の境内に屋台が集まるように、近現代美術で年間入場者数世界トップといわれるこの美術館のお膝元に、ノン・プロフィット団体やアーティスト・ラン・スペースなど美術界のアングラ系やインディーズたちが大集合。人情味溢れるイベントを同時に70以上も展開し、草の根魂のたくましさを見せつけてくれた

熱気に溢れかえった会場は、「へい!らっしゃい!らっしゃい!」の掛け声が似合いそうな下町のムード。金、シャンパン、白壁のパーティションが定番のアートフェアに対して、こちらはほったて小屋に張りぼて、ビニールシートにござ、まっさらなレシートが滝のように天井から吊るされた庶民性とアンチ商業主義のシンボルで充満。大道芸人風のパフォーマンスがノンストップで催されたり、パブやホットドッグスタンドを模した出店があったり、即席の美容院やテレビ局やアスレチック場も登場したりと、会場はいつになく大騒ぎ。これは、その記念すべき「アートの大縁日」の行き当たりばったり即席フォトレポート。写真が多くて少し長くなりそうなので、3回に分けてアップします。(文・写真 伊東豊子)

写真1) テート・モダン2階のブリッジからタービンホールを見下ろした風景。Kling & Bang(アイスランド、レイキャヴィーク、2003年設立))による、レシートのロールを使った白い紙の滝を中心に、70を超える団体が様々なイベントを展開。ちなみに会場となった場所は、タービンホール一階と、二階のブリッジの部分。

2) 同じくKling & Bangによる紙の滝のクローズアップ。遠くから見ると平面に見えるが、実際にはロの字型のつくりになっていて、紙のカーテンをくぐってその中に立つことができる。

3) 会場のレイアウトはこんな感じ。アートフェアと違って壁による間仕切りがなく、床に引かれた赤いラインがその代わりを務めている。

4〜5) パルプボード製のテーブルが置かれていた98Weeks Research Project(レバノン、ベイルート、2007年設立))のスペース。卓上には、フーマスが盛られた皿や、レバノン語で「らっしゃい!らっしゃい!」の掛け声が流れてくるメガホンなど庶民的なアートワーク。これらの作品は複数の作家によるもので、物々交換によってのみ入手が可能。値札のように付けられたラベルに交換したい物の条件が書かれていた。たとえば、「手作りのアーティストブックと交換」とか「ロンドン―ベイルート間の往復チケットと交換」とか。

6〜7) コロンビアのノンプロフィット団体、Casa tres patios(メデリン、2006年設立))では、毎日数本のパフォーマンスを開催。珍妙な王(王妃?)に化けたこちらの作家は、アメリカのAnya Liftig)。王笏には青く染めたチキン、王冠にはホットドッグの装飾という権威をコケにした大胆な装い。後ろのスクリーンには、過去のパフォーマンス映像を上映。デコレーションケーキを丸ごとパクついたり、ヌードで寝台に横たわって全身に塗った糊を参加者に剥してもらう「全身ピーリング」の映像などが流れていた。

8) ポップなハンバーガー・スタンド「Lucy」を開いていたのは、オーストラリアHell Gallery(メルボルン、2008年設立))のお二人。お店のなかで自家製のバーガーやビールを作って販売。それらの素材は、小学校の図画工作の授業が懐かしくなるようなカラフルな紙だが、バーガーの肉の部分は毛皮!名づけて《furgburger》。ポップなノリの裏に毒アリ。当分ハンバーガーはやめておこうという気分になります。

9) タービンホールの2階から1階に降りてきたところで出くわした「赤い箱の女」。黒い長髪に白い能面と、お顔がどことなく四谷怪談風だが、中に入っているのはSpikeというイギリス人の男性。お面の脇からチラリと見えるヒゲが強烈。立っていると、体当たりですり寄ってくる人懐っこさも不気味。所属団体は不明というか聞き忘れました。

11)Post-Museum(シンガポール、2007年設))のスペースにて。会場に来た人たちに小さな秘密事を紙に書いてもらい、それをカルタのように床に並べていたLynn Lu)のプロジェクト《Free Secret》。「昔の彼のことが忘れられない」「人目を盗んでハンバーガーを食べてます」といったごく一般的なメッセージと一緒に「本当はアートもアーティストも嫌い」「一日だけハンス・ウルリッヒ・オブリストになってもいいよ」なんてアート絡みのメッセージもあってなかなか面白かったです。

次回につづく。

 

No Soul For Sale:
A Festival of Independents
2010年5月14〜16日にわたり開催された
Tate Modern


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