作品の詳細(上から順に、ポートレートを除く)
Jeff Koons, Popeye 2003
Jeff Koons, Monkeys (Ladder) 2003
Jeff Koons, Seal Walrus Trashcans 2003-2009
Jeff Koons, Olive Oyl 2003
© 2009 Jeff Koons


テレビのニュースキャスターか、銀行のエグゼクティブか、あるいは外遊中の政治家か…? トレードマークのスーツ姿がまぶしいこちらの紳士は、実は一点あたり億の値がつくアメリカの美術家、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)。アンディ・ウォーホルの後継者と謳われ、この人がいなければデミアン・ハーストの「サメ」も生まれなかったであろうと囁かれる「BAD ART」ならぬ「YBA」の偉大なる影響源。イタリアのポルノ上がりの政治家チッチョリーナの元夫でもあるなどプライベートの華やかさにおいてもYBAのモデルとなっている御仁だ(現在そのカップル胸像をヴェネツイアにて展示中)。7月2日からサーペインタイン・ギャラリーで始まった個展「Popepe Series」のために来英し、本展のヒーローたるポパイの絵画の前にてにっこりポーズ。パパラッチに紛れて私も何枚か失敬させてもらった。

クーンズの個展会場は、先のポパイをはじめ、スーパーマン、トゥイーティなどアメリカン・コミックスのキャラクターがたちがまるでポップアートの再来のように勢ぞろい。その見どころのひとつが、カメやロブスターの形をしたクーンズ定番の浮き袋のような「空気人形」で、一見ビニール製に見えて実はアルミニウムで鋳造した後に色をつけた凝った代物。実によくできていて感心するが(特にゴミ箱や椅子との合成具合が)、その一方で、キッチュで時に下世話でもあり、まじまじと「鑑賞」しているのが恥ずかしくなるのも事実。

ポパイを展示のモチーフにした理由について、会場でもらった小冊子のなかに、世界大恐慌も何のそのの勢いで登場した大昔のヒーローを、同じく不況の嵐が吹き荒れる今、再吟味・再検証する必要があると書かれていて、思わず「冗談でしょ」と笑ったが、全般的にユーモアは抜群。展示品はおそらく一点何千万、何億もする超高級品になるのだろうが、目に見える限りは「トイザらス」の商品を巨大にした感じ。よって美術も経済も政治もすべて忘れて、しばし童心に返って見るのがベストなようだが(そうしないとキレそうになる)、ギャラリーから1キロも離れてない場所でイラン大統領選挙関連の抗議デモが大々的に行なわれているなど、そんな贅沢も言ってられない状況だ。彼らがこの展示を見たらどう思うだろうか。アート界と現実社会とのギャップとも言えるこの対比こそが実は隠れた見どころのような気がする。
(文・写真 伊東豊子)

 



Jeff Koons: Popeye Series
090702 - 090913
Serpentine Gallery


oto: Takako Jin, 2005©


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