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デンマーク北欧合同館デンマーク北欧合同館
アメリカ館アメリカ館ブルース・ナウマン
英国館スティーヴ・マックイーン
韓国館
日本館
日本館
日本館やなぎみわ
チェコ・スロバキア館
アイスランド館
オーストラリア館
オーストラリア館
シンガポール館
シンガポール館
アイスランド館
ロシア館
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チリ館
チリ館
ポーランド館
オーストラリア別館

「アート界のオリンピック」ことヴェネツイア・ビエンナーレが、ジャルディーニアルセナーレのメイン会場を中心にヴェネツイア市内全体で一斉に始まった。周辺展示まで入れると120展を軽く超す驚異的な数。その多くが国や主催団体の威信をかけて、作家にとっては一生に一度の晴れ舞台といった意気込みで、1年、2年ががかりで練られた「大作」展だ。それを3日や4日たらずで消化できるはずがないし、そんな状態で偉そうに感想を書くのもやや気が引けるが、一番乗りで観てきたのでそのハイライトを国別展示から順に紹介していきたい。 お付き合いの程、よろしくどうぞ!

1) 国別展示

国別展示のメイン会場は、欧米を中心に約30カ国がパビリオンを持つジャルディーニ公園内。国別部門で金獅子賞を受賞したブルース・ナウマン代表のアメリカ館を筆頭に、オランダ館ルーマニア館など入場制限を敷いた人気館の前に今年も連日長蛇の列が出来ていたが、とくに話題になっていたのがデンマーク北欧合同館英国館の二つ。共にジャルディーニというこの会場自体の特異性を題材にしている点が興味深い。

北欧内外の作家24名(組)が参加しているデンマーク北欧合同館はアートコレクションをテーマに、二棟のパビリオンを大金持ちの豪邸へと変貌。一棟は現在売り出し中という設定で、そこを訪れた観客はさしずめ物件購入者の役。プロの不動産業者によるガイドツアーも準備されている。もうひとつの棟はヴォルフガング・ティルマンスらの作品がモダンな家具に紛れて飾られた謎のコレクター「ミスター・B」の豪邸という設定で、観客はそこに招かれたゲスト。このように何しろ発想がユニーク。そのうえに館内には高名なデザイナーの家具や照明器具が配されステージセットのように華やかだが、その一方で作品が調度品と化して目立たなかったり、コレクターがプールで溺死しているなど随所にコレクターを揶揄するような含みも読み取れ、賛美と嘲笑の間で絶妙なバランスを保っている。あらゆる面で今回の傑作。これを企画した美術家のエルムグリーン&ドラグセットは、6日の授賞式で特別賞(Special mention)を受賞している。

同じく英国館スティーブ・マックイーンの映像《Giardini》も、見た目にはポエティックだがメッセージは辛辣。1895年に開設されたこのジャルディーニという会場はナポレオンが19世紀初頭に敷設した公園内にあり、ここにあるパビリオンは当時の帝国主義の象徴と受け止められているが、そのオーラを剥ぎ取るようにカメラを休館期冬場の会場に向け、ゴミと枯れ木と野良犬の溜まり場、ゲイの逢引の場所という意外な一面を提示。ビエンナーレの虚構性が一挙に浮上。鑑賞後、華やかなオープニングとのギャップに観客はみな絶句していた(ちなみに私が訪れたオープニングの3日間は席は完全予約制でした。行かれる方、現地で要チェック)。

この英国館がある周りにはフランス(クロード・レヴェック)ドイツ(リアム・ギリック)韓国(ヘギュ・ヤン)カナダ(マーク・ルイス)ロシア(アンドレイ・モロドキン以下6名)のパビリオンなどがあり、みな長年の常連だけあって見せ方のツボを押さえている。特にロシア館などは各部屋がそれぞれの作家によってテーマパークのごとく激しく変貌。しかし、このエリアで一際目立っていたのが、建物全体を黒いテントで覆ってイメージチェンジを図ったやなぎみわ日本館だ。会場内に入ると、荒れ狂った怪女とおぼしき女性のセミヌード写真。高さ4メートルもの黒縁の写真立ての中で、少女と老女のハイブリッドが肢体をくねらせ、地獄の死者のごとく観客を制圧。特撮映画のような創り込みと逞しいイマジネーションに驚いた。

また同じく良かったのが、アクション映画『マッド・マックス』とグラフィティと環境問題をミックスしたショーン・グラッドウェルオーストラリア館。目印は入り口にでかでかと置かれたマッド・マックスの車V8インターセプター。これを使って行なったパフォーマンス映像が見物だ。また、道端で死んでいるカンガルーをバイカーに扮した作家が救済していく映像も、砂漠の匂いが今にもしそうなくらいオーストラリア的だ。更に、方向性はまったく違うが、そのお隣のローマン・オンダックチェコ&スロバキア館も秀逸。辺りの木々を館内に植え込み、パビリオンをワイルドなガーデンへと変貌。自然に勝るアートはないと改めて実感した。展示に飽きた頃に見ると特に効果的だ。また、ハンガリー館(ペーテル・フォルガーチ)と川向こうのポーランド(クシュシトフ・ウディチコ)館の詩的だけど社会的で芯の太い展示もおすすめだ。ここら辺の展示は気分を切り替えてじっくりと見るのがいい。

一方、ジャルディーニ外の国別展示では、アルセナーレイタリア館が作家総勢20名と華やかだ。百年際を祝う未来派へのオマージュ展となっていて、具象・抽象画と並んでネオン・クリスタルを使ったキンキラな作品が目立つ。また、カナレッジオ地区で開催中のシンガポール(ミン・ウォン)アイスランド(Ragner Kjartansson)の両館も押さえどころだ。特別賞を撮取った前者は、ウォン・カーウァイの映画『花様年華』などをベースにした映像を通じ、シンガポール特有の多人種、多文化、多言語が共存する社会をアピール。西洋人の顔をした役者が中国人の格好をし、中国語を喋る。アジア系の顔をした男性が、西洋人の女性の役に扮するなど異質な要素をミックスし、共存社会をコミカルに描写。一方、後者は、作家が期間中会場にて絵画を制作するパフォーマンスを展開。ビールのボトルがあたりに散在、バスローブに包まった作り物の彼氏がソファーで寝ているなど(似てないが本人だそうだ)ボヘミアンなところが昔懐かしの画家のステレオタイプのようで痛快。ちなみにこの展示のタイトルは意味深なことに《The End》。

また、これらと並んで静かに話題になっていたのが、水上バス、サン・ザッカリア駅近くのメキシコ館(テレサ・マルゴレス)。マフィア間の抗争で流された血を使って制作した旗や絵画を展示という凄まじさ。社会問題に言及しても分厚いオブラートで包んだようなソフト路線の作品が多いなか、一撃を飛ばすようなストレートな表現。血を混ぜた水で床をモップがけするパフォーマンスも毎日行なわれている。その他、ルクセンブルグ(ガスト・ブーシェ&ナディーヌ・ヒルベルト)ポルトガル、アルセナーレ近くのオーストラリア別館もなかなか。後者では現地在住のヨネタニ・ケンが、砂糖でできたさんご礁のインスタレーションを発表。砂糖産業と環境問題との接点を見据えながら、観客にさんご礁に似たケーキを大判振る舞いするパフォーマンスも披露。ユニークな展示になっている。(文・写真:伊東豊子)

公式企画展、周辺展編につづく。次回をお楽しみに。

La Biennale di Venezia
53rd International Art Exhibition
Fare Mondi // Making Worlds
090607 - 091122
www.labiennale.org

会場:Venezia, Giardidi & Arsenale
Opening hours: 10.00 - 18.00
Giardini: 月曜休館(11月16日を除く)
Arsenale: 火曜休館(11月17日を除く)

入場料:18ユーロ


oto: Takako Jin, 2005©


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