5月22日(金)、午後4時ごろ。
テートモダンに向かう途中、ミレニアム・ブリッジの上で出くわしたミケランジェロ・ピストレット(Michelangelo Pistoletto)のパフォーマンス。子供から老人まで大勢の人たちが、新聞紙を固めた直径1メートル大のボールを転がしながら、ワッショイ、ワッショイ!ただならぬ勢いに押されて、私もいつの間にかそのお仲間に。後で傍にいたテートのキュレーターをつかまえて聞いたところ、これは 60年代後半にイタリアに台頭した前衛グループ、アルテ・ポーヴェラの中心人物だったピストレット氏が、1966年にチュリッヒで公開したパフォーマンス《Walking Sculpture》の再現版だとか。黒いスーツにパナマハット姿の貫禄のある紳士がご本人でした。






一方、テート・モダンの館内は、パイン材をふんだんに使った巨大アトラクションが出現し、大勢の親子連れで大賑わい。実はこちらも、上のピストレットのパフォーマンス同様、ミニマリズムの巨匠ロバート・モリス(Robert Morris)が1971年にテート・ギャラリーで発表した作品を、今の技術と安全基準に則って作り直した再現版。滑り台、平均台、渡り綱などの遊具をミニマルな形状のインスタレーションに取り込んだこの作品の狙いは、美術館を訪れた観客に肉体的な参加を促すこと。数年前にここで発表されたカールステン・フラーの全長55メートルの「滑り台」しかり、今では腐るほどある参加型の作品の一例にすぎないが、これが公開された当時はとても珍しかったようで、観客が過剰に興奮し、公開わずか5日目にして展示がクローズになったというエピソードが残っている。帰りしなに、インスタレーションの死角のような暗がりで流れていた、裸の女性がこれらの遊具を使って遊んでいる当時のパフォーマンス映像が目に留まったが、なるほど、これが当時のスタンダードならば、展示がクローズになってもわからなくもない。なにせあの頃は、オノ・ヨーコのお尻のクローズアップ映像とか、過激なパフォーマンスが流行った「前衛」の時代。この「ちびっ子大集合」のようなムードとは大違いだったことでしょう。

ちなみに、ここで紹介した二つのイベントは、毎年この時期のロング・ウィークエンドにテート・モダンで開催されている「UBS Openings」の一環イベントになる。
当初5月25日で終了の予定だったが、好評につき、ロバート・モリスのインスタレーションのみ6月14日まで延長されることになった。この4日間で、なんと10万人がテートに押しかけたそうだ。(文・写真 伊東豊子)


UBS Openings:
The Long Weekend 2009
090522 - 090525
(Robert Morris installation extended to 090614)
Tate Modern



Top

Exhibitions

Home


oto: Takako Jin, 2005©


fogless.net
e-mail: editor@fogless.net
This site has been designed and managed by Toyoko Ito (Toko) copy; 2000-2010 All Rights Reserved
このサイトは伊東豊子(トコ)によってデザイン及び管理・運営されています。本
サイト内で用いられているコンテンツ(文章・画像など)を無断で複製・転載・転用することはできません。