Barby Asante, Journey into the East 2002
The Showroomでのインスタレーション風景(部分)
photo: kuma, 2002©

イーストエンドに新しくカフェがオープンしました。真っ白のカップにテーブルクロス、爽やかな日差しが射しこむ窓際の席。静かで寛げる店内…。これじゃまるでカフェのレビューのようですが、実はこれ、カフェはカフェでもありきたりなカフェではありません。ギャラリーのなかにアーティストがこしらえたインスタレーションなのです。

カフェを作品にしてしまったのは、イギリス人アーティストBarby Asante(バービー・アサンテ)。場所はイーストエンドの住宅地にあるShowroomというギャラリーのなか。中に入ると、すぐ左手のテーブルにトワイニングの紅茶とハーブティーの箱が、その隣にはカップにスプーン、給湯器が置かれ、いかにもご自由にどうぞって感じ。お客さんと言うか来場者はたった数人しかいませんでしたが、みな本物のカフェにいるかのように自然な素振り。突っ立ったままキョロキョロしてるのも変に感じ、カップを取り席に着いてみました。

アールグレーを片手に視線を手元のプレスリリースに移すと、そこには紅茶がイギリス人にとっていかに日常生活に欠かせないものであるかという説明が。そしてさらに、その浸透ぶりは紅茶の出所と帝国支配の歴史をイギリス人の記憶から薄れさせてしまったほどと続く。何気なく壁際に視線を移すと、過去への言及なのでしょうか、棚には古めかしい金属製の茶器や紅茶の缶が並んでいました。

席を立ち奥の部屋へと行ってみると、こちらはゆったりめのソファーとテレビが置かれリビングルーム風。リモコンを操作してみると、画面に火のつかないガスコンロと奮闘している女性が登場。どうもお茶をいれようとしているような…。

カフェにリビングルーム。身近な団欒の場をギャラリー内に再現するアサンテの作品には、親近感とともに軽いコミカルさも感じられるような。しかし、他文化圏から来たせいでしょうか、カフェ=帝国支配という構図は私にはかなり飛躍的。この二つを繋ぐ手がかりをと辺りを見回しても植民地時代を匂わせるヒントは乏しく、例の茶器と紅茶の缶の陳列でさえプレスリリースの助けなしには単に喫茶店の陳列棚にしかみえなかったというのが正直なところ。ギャラリーをカフェにしてしまおうというユニークな発想にはそそられるものがありますが、もし他の人も私のように感じたとすればメッセージの伝達度の方にはやや疑問が…。

伊東豊子(Toyoko Ito), 2002年8月

Barby Asante
"Journey into the East"
010626-010804
The Showroom


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