Marcus Vater, Mirror
photo: kuma, 2002©

雑多…。というのが第一印象。ポップなドローイング。シュールレアリスト的だったり、グラフィティにマンガを混ぜたような油彩。イラスト調の肖像画を撮ったビデオ。キャンバスに書いたテクストを鏡に映したもの。テクストで覆われた提灯風の立体。煩雑なメディアとスタイルに、寄り集めのグループ展にでも足を踏み入れてしまったような感じがする。



Marcus Vater, Girl
photo: kuma, 2002©

でも、意外にもこれは個展。路線を印象づけるシリーズ物など統一感のあるプレゼンが主流の個展で、見事にもこの支離滅裂ぶり。多才さを誇示してるのかと思えば素人目にもどことなく雑なところが目に付き、一概にそうとも言えそうにない。



Markus Vater, Bedroom Wall(一部)
photo: kuma, 2002©


思いついたのが、展覧会カタログなどでよく見かける「juxtaposition」という言葉だ。「並べる」「並列する」を意味し、アートの世界では異なるタイプの作品を並列するという意味でよく使われる。作品間の違和感を強調し「予想外」の印象を生じさせることがその狙いのよう。意図的かどうかは別として、Markus Vater(マーカス・ヴェーター)はどうもこの点で成功してしまったようだ。



展示風景。
手前はアート哲学論がびっしり書かれた立体。奥の
油彩はBedroom Wall
photo: kuma, 2001 ©

一つの作風が受けるとそのメディアやスタイルに固執する一種職人的なアーティストが多いなか、様々なメディアとスタイルに挑むVaterはかなり希少な存在かもしれない。彼のアート哲学がびっしりと書かれた立体作のなかに「Art is not making products (アートは生産することではない)」というフレーズを見つけた。アートを物づくりとして捉えない彼の哲学が、特定の作風に執着しない柔軟性のあるアプローチに結びついているのかもしれないと思った。

伊東豊子(Toyoko Ito), 2002年6月

Markus Vater
020606-020630
Vilma Gold


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