ジュリアン・オピー(Julian Opie)によるブラー(Blur)のメンバーの似顔絵:Alex, Damon, Dave, Graham, 2000

Lisson Galleryでの「Julian Opie」展の展示風景、1階
左から Alex, bassist、 
Damon, singer,
Dave, drummer、 Graham, guitarist, (全作2000)
Photo: © Kuma, 2001

今月8日からロンドンのLisson Gallery(リッソン・ギャラリー)でJulian Opie(ジュリアン・オピー)の個展が始まった。Opieはデミアン・ハーストらヤング・ブリティッシュ・アーティストより数年前にゴールドスミス・カレッジを卒業し、33歳の若さでヘイワード・ギャラリーで個展の経歴をもつ売れっ子イギリス人アーティストだ。記号っぽいスタイルでオフィスビルや高速道路など都会のありふれた風景を平面と立体作にしてきた彼だが、イギリスのポップミュージックグループ、Blur(ブラー)のCDジャケットを昨年手がけたことで一躍話題となった。CDショップはもちろんのこと、看板、ダブルデッカーバスのポスター、Tシャツやマグカップと、Opieのイラスト顔はロンドン中に溢れた。

Lisson Galleryのショーでも目玉はやはり似顔絵だ。1階のメインルームの壁には、Blurの4人を含むOpieの友人達の顔が大小様々なサイズで並べられている。点と線でシンプルに描かれたコミック風の顔が、プリントや壁紙、コンピュータ・アニメーションといったメディアで表されている。中でも3台のコンピュータスクリーンに表示された顔のアニメーションが面白く、首を横に振ったり、眉毛を持ち上げると言ったちょっとした仕草とそれによって生まれる表情が顔に独特な個性を与えている。機械的に繰り返されるその動きは普通ならつまらないところだが、記号っぽいの絵に妙に合っていて不思議と惹きつけられる。Opieの作品は、デジタルカメラで撮った写真をコンピュータに取り込み、それをもとにベクターグラフィックソフトで描くというプロセスで制作されている。スクリーン上のアニメーションを見ていると、壁にはられた似顔絵もプリントされるまではこんな姿だったんだなと納得させられる。

ジュリアン・オピー(Julian Opie)による立体作

展示風景、1階奥
左からKneeling on one knee、Lying on back on elbows keens up、Sitting hands around knees、Lying on fromt up on elbows、
(全作2000)
Photo: © Kuma, 2001

更に1階奥のスペースには立体作が、2階には風景画が展示されている。立体作は、積み上げられた四角いブロックの表面にヌード像を単純な線でアイコン風に描いたものだ。風景画は、例の高速道路のシーンの他に、海岸や港が新たなシーンとして加わっている。この海の作品は一風変わっていて、スポットライトや電光掲示板、あるいはサウンドシステムが、フレームされた絵画に埋め込まれている。「dogs voices silence」(2000)では、絵の下に取り付けられた電光掲示板に赤い文字が絶え間なく表れては消える。向かいの壁に掛けられた「waves birds rushed」(2000)と「waves seagulls voices」(2000)からは単調なアンビエンス系のサウンドに混じって心地よい細波の音が聞こえてくる。Flight Simulatorなどのコンピューターゲームの背景を思わせるクールなスタイルに、ライトの点滅とシンセサイザーの無機質な音がしっとりとくる。

ジュリアン・オピー(Julian Opie):

展示風景、2階
crikets music voices, 2000

Photo: © Kuma, 2001

ジュリアン・オピー展の展示風景:2階

展示風景、2
左からLying on side up on elbow(窓) 、waves birds rushes、waves seagulls voices、
(全作2000)
Photo: © Kuma, 2001

このショーで個人的に一番好きだったのは、実はカタログだ。申し込むと無料で配送してくれるこのカタログは、ディスカウントショップの通販カタログを真似して彼自身が作ったものという。ページをめくると、過去3年間に渡る作品のサムネイル写真と値段表が、まるでコンピュータを売っているかのようにレイアウトされている。従来のアートの展示会カタログとは全く趣向が違い、なんだが不思議な感じだ。何万ポンドといった高額な数字と、Take Modernをはじめとする購入美術館の名前が、場違いのように表示されている。このカタログについて、「外の世界の買い方と見方を、それが一般的でない(アートの)世界に紹介し、取り込もうとしているんだ」と彼はあるインタビューで語っている。まさになるほどという感じだが、物が物だけに簡単に電話注文とはなかなかいかないだろう。だがこのカタログを通じて、高額で一点物に限られるアートの売買がいかに特殊なものであるかを改めて感じさせられた。

伊東豊子(Toyoko Ito), 2001年2月

 

Julian Opie, "Sculpture Films Paintings"
010209-010317

地下鉄:Edgware Road (Bakerloo, Circle, Hammersmith&City Line)


Lisson Gallery London
52-54 Bell Street & 67 Lisson Street,
London, NW1 5DA
020 7724 2739
http://www.lisson.co.uk

月-金1000-1800、土1000-1700


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ジュリアン・オピー展,リッソンギャラリー(ロンドン)にて