Highbury & Islingtonで地下鉄を降り、寒々としたイズリントンの街を5分程歩くと、イタリアの近現代の作品を主に紹介しているEstorick Collection(エストリック・コレクション)がある。1998年にオープンしたばかりで、ロンドンの住宅用の建物をギャラリーに改造したスペースだ。今回の展示会では、Fortunato Depero(フォルトゥナート・デペロ)の初期から晩年に至る作品群が、油彩画、ポスター画から壁一面を覆うタペストリーに至るまで、3フロアー5部屋に渡り展示された。

未来派の作品に対しエンジン、スピード、暴動といった強くて好戦的なイメージを持っていた私にとって、おもちゃの国を思わせるDeperoの作品はとても意外なものだった。赤、ピンク、オレンジ、黄緑などの鮮やかな色で表されたダンサー、村娘、鳥、馬といったモチーフが作品中に模様のように描かれ、全体的に南国の夏を思わせる印象を受けた。順を追って部屋から部屋へと見ていくうちに、これらのどことなく滑稽なモチーフが、油彩画から舞台装飾用のタペストリー、オブジェ、そしてアールデコ風ポスターへとメディアを超えて登場するところに、Deperoの柔軟性と固執を見るような気がした。

私にとってこの展覧会のスターは、Rotation of Ballerina and Parrots (回転するバレリーナとオウム)。三角錐を幾つか束ねて幾何学的に表されたバレリーナとその頭の周りにコラージュされた鮮やかな3羽の怪鳥。どちらかと言うと20年代のマックス・エルンストにおもちゃ箱をあげたら出来上がるような作品に見えなくもない。

エストリックの良い点は、もちろん作品自体も満足度が高いのだが、何と言ってもいつも空いていて、作品をほぼ独り占め出来ることに尽きるような気がする。各部屋中央に置かれた長いすに腰掛けていると、部屋が小さいせいか誰かの家の応接間に居るような落ち着いた気分になれるのです。

一階の本屋さん(Zwemmer社)もサイズの割にはセレクションが決まっていていてエストリックにはぴったりの内容だ。通路を挟んで向かいのカフェテリアも素敵で、初夏になると庭に面したフレンチウィンドーが開け放たれ、花が咲き乱れている庭でお茶ができるのでお勧めです。食べ物も、メニューは限られているものの、味への気配りがありなかなかのもの。Deperoの作品と同じく、どちらかと言うと夏に向いているイメージでしょうか。

© トコ、2000年12月


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Fortunato Depero, Carnival of Colour展
001004-001222
3.50GBP, (2.50GBP) 会員無料

Estorick Collection of Modern Italian Art
39a Canonbury Square, London N1 2AN
020 7704 9522
http://www.estorickcollection.com

地下鉄:Highbury & Islington
(Victoria Line)
開館時間:水-土1100-1800,
日1200-1700

Fortunato Depero展